第339話 到着式典!!
「お嬢様、只今より入港致します」
「ん、わかった」
シルヴィアに抱っこされて扉を潜った先。
アクムス王国の前国王であるピ、ピ……豚を始末した時にも乗ってた戦艦の、司令室を見下ろせる場所にある私のためだけの特別室で寛ぐ事数分!
ついに到着するようだな。
「ん」
「っ……!」
ん? どうしたんだろ?
「抱っこ」
さぁ! グランよ、私を抱っこして運ぶのだ!!
ふふふっ、一歩も自分で歩く事なく怠惰に移動を行う。
これぞ怠惰の悪魔たる恐るべき所業っ!
「私としましてもお嬢様を抱っこして差し上げたいのですが……それはできないのです。
申し訳ありません」
っ!? な、なんだってっ!!
「なんで?」
「もし仮に私がお嬢様を抱っこすれば、ファルニクス様の怒りを買う事になりかねません」
「?」
何でここでファルニクスが出でくるんだろ?
それに、シルヴィアとかミーシャとかはいつも私の事を抱っこしてるのに?
「それ程までに竜の嫉妬は深く激しいモノなのです」
「ふむ」
ちょっと意味がわから無いけど、古竜王であるグランが言うんだし。
そう言うモノなんだろう。
「わかった」
シルヴィアは私をこのふわっふわなソファーに座らせた後、転移で先に行っちゃったし。
ミーシャ達も向こうで待ってるらしい。
むぅ、こればっかりは仕方ない。
面倒だけど自分で歩くしか無いなぁ。
ファルニクスめ! この借りは今度返して貰うからな!
「じゃあ、行こう」
私もシルヴィア達みたいに転移で直接出向きたいんだけど。
今回のクズ勇者共との戦争は総力戦!
圧倒的な個の力だけじゃ無くて、
それもあって、悪魔王国の女王として軍艦で港に乗り付けて悪魔王国の武力を誇示するってのはわかるし、1週間前の会議ではそう決定したからな。
面倒くさいけど……ふふふっ、やってやろうじゃん!
私が今乗ってる戦艦は、女王にして大魔王。
神へと至った超越者たる魔神である私が乗るために造られた、全長300メートルを超える白亜の特別艦!
当然、内部は空間魔法で拡張されてるから実際にはもっと広大な面積を誇ってるわけだけど。
地球の船と比べても最大級の巨艦だ。
さぁ! 人間共よ、刮目せよっ!!
コレが! コレこそが、お前達が敵対している悪魔王国の技術力!!
世界最強と称されたアクムス王国の海軍とは比べ物にならない圧倒的な武力なのだっ!!
「ふふっ」
詳しくは知らないけど、シルヴィア達が色々と準備をしてるらしいし。
この入港の式典? は、多くの人間達が見てるらしい。
人間共の呆然と驚愕に目を見開く様が目に浮かぶわっ!!
むふふっ! この扉を開ければ、愕然とする人間共の顔が……
「「「「「「「「ワァァァァッ!!!」」」」」」」」
「……」
何コレ?
思ってた反応と全然違うんですけど……
「グラン」
「如何致しましたか?」
「コレは……」
戦艦にかけられた綺麗な氷の階段に、その階段の上から地面まで真っ直ぐに敷かれた真っ赤なカーペット。
そのカーペットの左右で整列するそれぞれの軍服に身を包んだ悪魔王国の精鋭達。
そして、階段を降りた場所にて跪いて待機するシルヴィアを始めとする眷属達。
至る所に悪魔王国の国旗も掲げられてるし……いやまぁ、それは良い。
それよりもだ……
「皆、お嬢様のご到着を喜んでいるのです」
そう! 何でこんなに歓声が上がってるの? 何でこんなに歓迎されてるわけ?
私は三カ国連合を滅ぼした張本人なんだけど……
「我ら七眷属が一同、御前に」
「シルヴィア……」
「ふふふ、お待ちしておりました。
さぁ、準備が整っておりますので参りましょう」
何かウキウキしてるシルヴィアを始め、皆んなメッチャ機嫌がいいし。
もう意味がわからんわ……
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