第328話 祝福
「なん、だ……?」
「何も起こらない?」
死滅の祝福。
この魔法は私が使う魔法の中でも最高位にして最強の一つ。
何も起こらない? とんでもない!
「ふふっ」
心配しなくても、ショータイムはこれから始まる!!
全てを消し去る
死滅の祝福はこれらの魔法とは少し違う。
「ひっ……! そ、それはナニ?」
ノワールに押さえつけられて一番近くにいたペトロが最初に気付いたか。
熾天使様ともあろう者が顔を青ざめさせちゃって。
まっ! コレに気付いちゃったんなら当然の反応だけど!!
死滅の祝福は、さっきノワールがお城を崩壊させた黒滅の祝福のオリジナル。
ノワールが原本たる死滅の祝福を再現した魔法が黒滅の祝福。
つまり! 七魔公が一柱にして
まぁ、死滅の祝福はただの魔法じゃなくて付与魔法だし。
それを劣化版とは言え普通の魔法のみで再現して自分の技に昇華してみせたノワールも十分にヤバイけど。
ふふんっ! 流石は私直属の配下!!
『悪魔ちゃんよりも魔王様っぽいしね』
シャラップ!
確かに人間共を蹂躙するさっきまでのノワールの姿は悔しいけど私よりも遥かに魔王様ぽかった。
けど! 私だって負けてないもん! これから魔王としての威厳を人間共に見せつけてやるっ!!
「っ!! な、何だ、アレは……」
「どうかしたか? バルト……っ!」
「アレは……」
「白い、水滴?」
ご名答!
まぁ水滴では無いけど、私の顔の前にぷかぷかと浮かぶ一滴の白い球体。
「あっ、あぁ〜っ! な、何と美しいっ!!」
「ノワール、キミね……」
「僕も綺麗だと思う!」
「流石はレフィー様……!」
「凄いですよね〜」
「何という力の奔流。
何度見ても圧倒されてしまう」
「あのぅ、皆さん? ちょっと私語は慎んだほうが……」
基本的に自由人が多い七魔公の
ノワールが恍惚そうな表情でちょっと凄い事になってるけど……まぁ良いや。
ふふん! もっと私を褒めるが良いっ!!
これは神へ至った超越者。
魔神たる私が地上に齎す神の祝福。
死滅の祝福の起点となる限界まで圧縮した
そしてこの魔法の最も大きな利点は、その対象と効果範囲と任意で選定できる事。
「さぁ……」
指定範囲はアレス公国全土!
対象は熾天使共と人間を省く全ての生命!!
「思い知れ」
ゆっくりと。
熾天使共も。
リヒト達、白の騎士団も。
誰も動く事ができずに固唾を呑む中、静かに祝福がお城の跡地に落下し……
「私の憎悪を」
弾けて魔素が瞬時に地面を。
アレス公国の大地を駆け巡って。
「「「「「──っ!?」」」」」
雫の落下点を中心に一瞬で大地が、瓦礫が、残っていた建物が。
人間共の血で真っ赤に染まっていた公都が……世界が純白に染まる。
「そして……」
建物や瓦礫が、公都を囲う防壁、生い茂る草木に至るまで。
大地を省く純白に染まった物体が音もなく静かに崩壊を始め……
「自らの罪を」
まるで世界が綺麗にリセットされたかのように。
真っ白に染まった大地のみを残して全てが消え去る。
「思い知れ」
白き世界が出来上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます