第327話 さらなる絶望をっ!
人間の国を滅ぼすのなんて簡単にできる。
その他に住う人間共を一人残らず皆殺しにすれば良いだけだし。
そこまでしなくても王権が主なこの世界の国々では王族とそれに連なる者達を殺すなり追放するなりすればそれだけで事足りる。
「ふふふ……」
が、しかし! 今回の一戦の目的は私達とクズ勇者共との戦いの──戦争の火蓋が切って落とされた事の周知。
そして悪魔族の力と人間共に見せつけて、恐怖を抱かせた絶望させる事が今回の目的っ!!
いつもなら前の3カ国連合の時みたいに、面倒臭いから国とトップに立つヤツらを殺して周辺諸国にその国が滅亡した事を知らしめるところだけど……今回は派手にいかないと!
「愚かな人間共に……さらなる絶望を」
恐怖しろ!
絶望しろ!
泣き叫べ!
「レフィー様。
準備が整いました」
「ん、わかった」
「っー! んん〜っ!!」
喋れないようにしてるのに煩っさいなぁ。
う〜む、仕方ない。
私は優しいのだ、最期に喋らせてやるとしよう。
「何?」
「な、何をするつもりなのだっ!?
いや! そ、そんな事はどうでもいい、それよりも私を置いてどこに行くっ!
私を助けると言う話はどうなったのだっ!!」
何だ、まだそんな事言ってたのか。
しょうもないなぁ、わざわざ聞いて損したわ。
「お前は悪魔に……原初たるこの私に願った。
相応の対価はもらう」
国民全員の命を保証するんだから、代わりに自分の命と魂くらい差し出さないと。
と言うか、コイツの命と魂だけで願いを聞いてあげる私って我ながらマジで優しいわぁ。
「ふざけるなっ!!
誰が下民共を助けろなんて言ったっ!? 私は、この私を助けろとっむぐっ!?」
はいはい、煩いからもう黙ってろ。
「さようなら」
もう必要無いから隠蔽用の結界を解除して、まだモゴモゴと何か言ってるアレス大公に優雅に一礼。
そのまま公都マルスの中心。
数時間前までお城があった場所の上空に転移っと!
「我ら七魔公、ここに!」
「ん、ご苦労様」
「「「「「「「っ!!」」」」」」」
焦ったぁ〜。
まさか転移した直後に横一列に並んで跪いたノワール達に出迎えられるとは流石に思ってなかった。
けど、私は魔王にして
『いや、心配しなくてもいつも通り表情は微動だにしてないから大丈夫だよ』
失礼な!
確かに私の表情筋は死滅して久しいけど。
今は地味にテンションが上がってるし、私はこんなにも明朗快活なのに!!
「ぅっ……な、何故、貴方がここに……?」
ノワールに片手で押さえつけられてる女熾天使のペトロ。
ノワールは跪いてるから、必然的にペトロは地べたに這いつくばる事になってるわけだけど……ぷぷっ、無様だわ!
「誰が言葉を発する事を許しましたか?」
「うぐっ……!」
「羽虫の分際でレフィー様に話しかけるなど」
「ノワール、別にいい」
「っ……か、かしこまりました。
出過ぎた真似をお許しください」
落ち込んじゃったけど……まぁあのままだとペトロの首をへし折っちゃいそうだったし……
「ありがと」
「っ!! 身、身に余る光栄ですっ!! ぐふっ、うへへっ!!」
……まぁ、別に良いか。
何かノワールからはシルヴィアと同じ性質を感じる。
「待てっ! これ以上お前の好き、には……」
「ペトロを……っ!」
「な、何故、ヤツらが……」
「これは、一体……」
あぁ、リヒト達と熾天使共がやっとノワールを追いかけて来たか。
う〜ん、一応初対面だし挨拶しておくとしよう。
「ふふっ、初めまして。
私はレフィー、原初の悪魔にして魔王だ」
「「「「っ!!」」」」
さてと、じゃあ気を取り直して……
「ふふ……」
バサァーっと純白の翼を広げて、抑えていた
「あはっ!」
刮目しろ。
そして、戦慄して恐れ慄け!
「あはははははっ!!」
なんでこんな事になったのかを、自分達が何をしてしまったのかを……後悔するが良い。
「死滅の祝福」
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