第326話 滅びの時
1番の目的だった低位悪魔達しか知らない人間共に、
「うふふ」
熾天使共を。
そしてリヒト率いる白の騎士団を軽くあしらって、弄びながら! 人間共の血で真っ赤に染まって、誰一人として人の姿が無い公都マルスの大通りを妖艶な微笑みを浮かべて悠然と歩くノワール。
私よりも遥かに魔王様っぽい感じがするのは悔しいけど……これで愚かな人間共は
てな訳で、ノリノリで殺戮と蹂躙を楽しんでるところ悪いけど……
「こほん……
「「「「「「「っ!!」」」」」」」
うんうん通信感度、良好!
まぁ、電波とかじゃ無くて単純に念話だから当然なんだけど。
「そろそろ、終わらせる」
「「「「「「「はっ!!」」」」」」」
あとは……
「ノワール」
「はいっ!」
「未来予知の天使は捕虜にして」
クソ女神の尖兵である熾天使共。
確か……五大熾天とか言ったっけ?
まぁ名称は何でもいいけど、もはやお馴染みの霊峰ルミエルにある神殿でクズ勇者共と一緒にいるクソメガネ天使ことパウロ。
そんでもって、ノワールに上半身を吹き飛ばされて目を付けられた哀れな長髪男のヨハン。
小柄ではあるけどスピードが速くて剣を使っての接近戦をノワールに仕掛けるも簡単に剣を受け止められた上に砕かれた女のフィリ。
細身のくせに身の丈ほどもある戦鎚を振り回してるリーダー格っぽい銀髪の男、バルトロ。
そして、今回捕虜とする未来予知の使い手!
聖なる領域とか言う、神聖属性である自分達は強化しつつ魔に属するノワールを弱内化させる魔法を使った後方支援を得意としてそうな金髪翠眼の女天使ペトロ。
まぁ、見たところあの場にいる天使共は魔素で造った肉体に意識を憑依させてるだけ。
本体はクソ女神の神域にあるだろうし、ぶっちゃけここで殺したところで大した意味は無い。
例え負けたとしても魔素で造った依代が消滅するだけで何の被害もないって思ってるんだろうけど……ふふふっ、悪魔族は魂の扱いに長けた種族!
捕虜にする事が確定事項のペトロは勿論として、他のヤツらも……
「ふふっ」
この私に敵対しておいて、そう簡単に。
ただで逃げ切れると思うなよ。
「愚かな
「うふふっ、かしこまりましたっ!」
うんうん、ノワールも張り切ってるしこっちはこれで問題ないな。
さてと、次は……
「っ!? こ、これは一体……ひっ、ひぃぃっ!!」
煩いなぁ。
ちょっと公都の上空に強制転移させただけなのに一々騒ぐなよ。
まぁこれから目の前で自分の国が滅亡するんだし、このくらいは超絶寛大な心で許してやろう。
「ようこそ、アレス大公」
「っ……お、お前はっ!!
た、頼む! 助けてくれ!
金なら! 金なら幾らでも払うっ! お前の望む物は何でもやろうっ!!」
「何でも?」
「そ、そうだ!
だからどうか、どうか助けてくれっ!!」
「……良いだろう」
「っ! ほ、本当かっ!?」
「お前が差し出す対価は……お前の命と魂」
「は……? な、何を……」
「お前の願い通り。
お前の国の人間共の命は助けてやる」
「ま、待ってくれ!
さっきから何を言って……」
何って寛大な私がお前の願いを聞いてやるって話だけど?
コイツの願いは助けてくれ、誰をとは指定されてないし。
国を治める者なら国民の事を第一に考えるのは当然だからな。
『悪い人だね。
最初から助ける気なんて無かったくせに、わざと上げてから落とすなんて』
ふふん! 何たって私は悪魔だからな!!
私にそうあれと願ったのはコイツらなわけだし、コイツも本望でしょ?
「は、話が違うっ!
下民共の事なんてどうでもいい! だから私をっ……!!」
「〝黙れ〟」
「っ!?」
さてと! これで静かになった事だし。
「ふふっ! 喜べ、アレス大公。
特別席を用意した」
「〜っ! っ!!」
うんうん、アレス大公も喜んでくれてるようで何より!!
「最期の時まで。
目の前で国が滅ぶ様を見せてやる」
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