第325話 黒き悪魔の所業
ノワールの一方的な蹂躙が始まって早2時間!
「く、そ……」
白の騎士団を率いる団長リヒトは肩で息をしながら白剣を杖にして膝を着いてるし。
「ハァ……ハァ……」
「まさか、これ程とは……」
「想定外、です」
「バケモノめ……」
リヒト達、白の騎士団以上にボロボロな熾天使共は既に飛ぶ事すらできずに無様に地面に這いつくばってる!
「ふふふっ!」
ふはっはっはっ! どうだ人間共!!
見たか! これが私の配下たる七魔公の、大悪魔と呼ばれる存在の力なのだよっ!!
『本当に一方的な展開だったね』
「ふふん!」
当然だ! 何たって眷属では無いとは言えノワール達は私が名付けした直属の配下にして、私とシルヴィアに次ぐ古き悪魔なわけだし。
ハッキリ言って、実力では眷属の
まぁ、シルヴィアとグランの2人は別格だけど……
流石の七魔公でもあの2人には……私のお昼寝専用結界を容易く破るあの2人には敵わない!
でもミーシャ達となら互角に渡り合える程にノワール達、七魔公は強いのだ!!
『うんうん。
しかし……流石は悪魔の所業。
悪魔ちゃんよりノワール達の方が確実に魔王様っぽい事してるよ』
ぅ……ム、ムカつくけど、流石にこの光景を前にしたら言い返せない。
何せこの2時間、公都マルスに住う人間共はノワールに弄ぶように痛ぶられて殺され続けた。
『魂の根源からの絶望……ね。
輪廻の呪縛、全く邪神たる私からしても恐ろしい魔法だよ』
それはもう、一度ならず何度も何度も殺され続けた。
ノワールが熾天使ヨハンに使った輪廻の呪縛。
リヒト達も、天使共も上半身を吹っ飛ばされたヨハンを復活させたのは熾天使の1人。
主に魔法による後方支援を担ってた肩口で切り揃えられた金髪に、翠眼のペトロって女の人が使った蘇生魔法だと思ってたみたいだけど実際は違う。
ヨハンを無傷に回復させて蘇らせたのは上半身を吹き飛ばす直前にノワールがヨハンに施した魔法。
輪廻の呪縛の効果によるもの。
「輪廻の呪縛は、文字通り魂の輪廻を縛り付ける魔法」
本来なら
行使することが可能ならば、今回のノワールみたいな使い方も当然できる。
この魔法は限定された範囲内に限って例え死のうとも、対象を何度でも蘇生させる。
まぁ肉体的には完治しても、殺された記憶はそのままだから死の恐怖と痛みは鮮明に記憶に残るけど。
今回の場合、公都中の生命体を
熾天使共も、リヒト率いる白の騎士団も、そして愚かな人間共も公都内にいる限り何度殺されようとも滅ぶ事は許されずに、何度でも蘇る。
公都には結界が展開されてるから、外に逃げる事もできずに殺されては生き返って、また殺されては生き返るの繰り返し!
頼みの綱のリヒト達も、希望の光の熾天使共も目の前で簡単にあしらわれて、片手間で弄ばれる。
「あはっ!」
悲鳴を上げ! 恐怖に震えながら逃げ惑い!!
それでもノワールからは逃げきれずに結局は捕まって惨殺されては、その恐怖と痛みを魂に刻みつけられて生き返る。
既に公都マルスは人間共の血で真っ赤に染まった!
愚かな人間共はガクガクと震えながら
「あはははははっ!!」
他の都市も同様。
今のアレス公国は絶望と恐怖に満ちているっ!!
「ふぅ〜」
私とした事が、ついつい公都の上空ではしゃいじゃったわ。
まぁ誰にも見られてないしセーフ!
『まぁ、血で真っ赤になった都市の上空で高笑いしてるのは見られても問題無いんじゃ無い?』
む、確かに言われてみれば、それはそれで魔王様っぽい。
まぁ、とにかく! ノワールの輪廻の呪縛を使った上での蹂躙は人間共のココロをへし折り! 魂を恐怖に染め上げて絶望させた!!
「ふふっ」
殺しはしない。
今日この日、地図の上からアレス公国という国名は消えて無くなるけど、たとえ国民を皆殺しにしても人間はすぐに増える。
別のヤツらが誰もいなくなった跡地に居座るだけだし。
まぁ、大多数の人間共のココロと魂は既に摩耗してるから今殺さなくても次第に衰弱して死ぬだろうけど……自殺するなり、衰弱死するなり。
終わりを迎えるその日まで恐怖に魘され、震えながら、せいぜいトラウマを抱えて生きるがいい。
「さてと」
一方的な蹂躙も見てて面白かったけど……流石に飽きてきちゃったし。
クソ勇者共も2時間も同じ光景を延々と見せられて、流石に飽きてきた頃だろう。
「そろそろ、終わらせるとしよう」
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