第316話 ショーの始まり、始まり〜!

『は……?』



 ふふふっ、愚図なヤツだなぁ。

 こんなにハッキリと言ってやったのに、私が何を言ったのか理解できないらしい。

 いや、理解したく無いって言った方がいいか。


 まぁ、何でもいいけど。

 これは決定事項。

 アレス大公……このゴミ屑が理解していようが、していまいが関係ない。



『ま、待ってくれっ!

 何故! 何故、我がアレス公国なのだっ!?』



「何故?」


 何故ねぇ。

 ふむ、まぁコイツらにそれを教えてやる必要はこれっぽっちも無いけど

 理由もわからず滅ぼされるのもアレか。


 それに……理由を知ってた方がより絶望と後悔が深く大きいだろうし!

 ふふっ、良いだろう!

 何でアレス公国なのか教えてやろう!!


「アルタイル王国の属国だから」



『は……? そ、そんな理由で……』



 そんな理由って、私は十分な理由だと思うけどなぁ。

 アレス公国はアルタイル王国の属国って立場。

 属国って言えば、寄親であるアルタイル王国に間接支配されて搾取されてるように感じるけど実態は全く違う。


 アレス公国は世界最強の超大国と名高いアルタイル王国の傘下の地位を使って周辺諸国にはデカい顔をして幅を利かせ、色々と良い思いをしてきたみたいだし。

 何より……


「お前は6年前。

 率先してクズ勇者共に追随。

 無関係な国際的な第三者として、虚偽の証言で私を貶めた」



『ッ!!』



「忘れたとは言わせない。

 地下牢で拷問されてる私の前でお前自身が言った事」


 度重なる拷問と辱めに私の精神が狂う前。

 コイツはわざわざ地下牢で鎖に繋がれてボロボロになった私を嘲笑いながら愉悦に顔を歪ませて、自分でその事を私に伝えに来たんだからな。


 まぁ、そのおかげでアレス公国はアルタイル王国傘下の属国の中でも筆頭の地位を得た。

 何だったかな? あぁ、そうだ。


「邪悪な悪魔に立ち向かって、危険を顧みずに盟主の味方をした忠義の国。

 そんなアレス公国を治める聖人アレス大公、だったっけ?」


 私を貶めて、ありもしない罪の虚偽の証言をしただけで世間では聖人とか呼び讃えられて。

 そのおかげで、ぶくぶくと醜く身体を肥え太らせる事ができたってわけだ。


「ふふ……笑わせるな。

 何故アレス公国なのか、理由はこれで十分」


 さてと! 無駄話は事くらいにして……


「ふふっ! ノワール、サタン、シルフ、レヴィア、ベル、マモン、アス。

 蹂躙せよ」


「「「「「「「我らが神の仰せのままに」」」」」」」


 七柱の大悪魔が優雅に一礼すると同時に全員の姿が掻き消える。

 愚かな人間共に! 天使共に! クソで女神に! この世界にっ! その力を見せつけろっ!!



『待てっ! 無関係な……戦う力のない無力の人々まで巻き込むつもりかっ!?』



「ふん、何の罪もない私を。

 無能とバカにされていた付与以外に何の力もなかった私を冤罪で殺したお前が言うな。

 勇者ノアール」



『っ……』


『そんなっ……!』



「ふふっ、あはっ! あはははっ!!

 お前達はそこで何もできずに、アレス公国が滅ぶ光景を見てろ!!」


 さぁ! 楽しい愉しいショーの始まり、始まり〜!

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