第315話 最初の贄

『お前はっ……!』


 ふふっ、あははははっ!!

 驚いてる、驚いてる!

 ぷぷっ! 各国の国王、救世の六英雄、クソ女神麾下の熾天使ともあろう者共が、全員してマヌケな顔をしちゃって!!


 うんうん、良いねぇ。

 ガスターとマリアナ、フェリシアはやっぱりかって感じの苦笑いだけど……国王共の顔に浮かぶ恐怖の色!

 クソ勇者とアバズレ聖女、教皇クリスと熾天使パウロの驚愕の表情!!


「ふふっ……」


 おっと、危ない危ない。

 ついつい笑っちゃいそうになったわ。

 パウロ以外の熾天使共がいないけど……まぁ、別にいいや。

 邪魔するなら叩き潰すだけだし。


「こんにちわ。

 魔神レフィーだ」


 にっこりと魔王様スマイル!

 ふっ、完璧に決まったわ。


『いやいや、いつも通り微動だにしてないからね?』


 煩いぞ、邪神。



『神剣ワールドっ!!』


『神杖オリジンっ!!』


『聖なる光の元に滅っされなさい。

 戒めの聖槍』



 クズ勇者が振るった剣から真っ白な斬撃が飛び。

 アバズレ聖女が翳した杖から光の波動が広がって、熾天使パウロが作り出した光の槍が殺到する。



『『……』』


『ふん、所詮は愚かな悪しき者。

 浅はかにもわざわざ自らこの場に出向くとは』



 熾天使パウロは何か既に勝ち誇ってるけど、クソ勇者とアバズレ聖女は流石に今のでやれたとは思ってないか。



『お、おぉっ!!』


『やりましたかっ!?』



 あぁ〜あ、バカな各国国王共が非常にわかりやすいフラグを立てちゃった。

 まっ! 無能な国王共のフラグ云々以前にこんな攻撃は無意味だけど!!


「ふふふ、いきなり攻撃なんて無礼なヤツらめ」



『『っ!』』


『なっ!?』



 土煙が晴れて露になった……微動だにする事なく椅子に座る私と、その背後に控える七魔公の姿にクズ勇者共が息を呑んで熾天使パウロが驚愕の声を漏らす。



『ば、バカなっ!

 矮小な悪しき悪魔風情が、この私の攻撃に耐えただと……』



 この残念なメガネ天使は、本気であの程度の攻撃如きでこの私がどうにかできるとでも思ってたのかな?

 確かに今まで結界とかで天界……クソ女神の勢力には私の力を見られないようにしてたから、天使共が私の力を正確に把握できてないのはわかる。


 けどこれは流石に……あっ、まさか……いや、まさかな。

 うん、まさかクソ女神から私の事を何も聞いてないなんて事はあり得ないだろうし。

 あのクソ女神上司にしてこの配下ありって感じかな?


 と言うか、そもそも! 周囲の床とかは砕けてるのに、私が座ってる椅子はなんとも無い事に疑問を抱かないって……この観察眼のなさ、これで女神配下の最高戦力とか嘆かわしいわ〜。


「残念だけど、お前達の攻撃は全部無意味」


 だってそもそもな話。

 私が今いるのは悪魔王国にあるお城……魔王城であって、クズ共がいる会議の会場にはいないし。



『うそ……まさか、ホログラム……?』



 おっと、流石にアバズレ聖女は気がついたみたいだな。

 その通り! これは光魔法と幻覚魔法に私のユニークスキルである神眼を組み合わせて創り出したリアルタイムの立体映像なのだ!!


「ふふふ……そう言う事。

 さて、愚かな諸君に告げる。

 これより我ら悪魔王国は侵攻を開始する」



『私がそれをさせると思うか?』



 うん、カッコつけてるところ悪いけど……


「お前達は何もできない」



『何だと?』


『転移魔法を使えば……まさか』


『っ! 転移魔法が使えないっ!?』



 今更気がついたか、バカ共め!

 ふふふっ、私の隔離結界を破れるものなら破ってみるがいい。


「お前達は何もできずに、そこで観てろ」


 っとまぁ、バカ共を嘲笑うのはこのくらいにして。

 そろそろ、ちょっと真面目にやるとしよう。


「こほん、アレス大公」



『っ!』



 ふふふ、そんなに怯えなくても良いのに。


「アルタイル王国が傘下の属国……アレス公国。

 喜べ、貴国が最初の贄に選ばれた」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る