第312話 開戦前会議 その2

「あ、あはは……しかし、驚きましたよ。

 まさか……お2人がレフィー様の眷属になっていたとは」


 ん? そういえば、2人のことはアランたち言ってなかったな。


「紹介する!

 セラフィルとアリシア、新しいわがけんぞくなのだ!!」


 ふふんっ! きまった〜。


「ほら、レフィー。

 これも美味しそうですよ」


 おぉー!!


「おにく!」


「はい、あ〜ん」


「あ〜ん、んんー!」


「ふふ、美味しいですか?」


「ん!」


 おにく、おいしい!

 おさけも、おいしい!


「それは良かった」


 ぐふっ、ぐふふっ!

 いい! いいぞ! もっと私においしいごはんをささげよ!

 そして、もっと私のあたまをナデナデするがいいっ!!


「さ、流石はファルニクス様。

 泥酔なされているお師匠様を手懐けていらっしゃいますね……」


「あ、あのぉ……エレナ様?

 あのお方はどなたなのですか? 凄まじい力の波動を感じるのですが……」


「あぁ、アレはヤベェな。

 ったく、まだあんな化け物がいたのかよ」


 おにくっ! スイーツっ! おさけっ!

 そっして、おさけのさかなに朝にみたクズ勇者共のマヌケなかおっ!!


「にゃははっ!!」



 バシバシッ!!



「う、ウソだろ……お嬢に叩かれて何とも無いのかよ……」


「エレナ様はあの方をご存知なのですか?」


「はい、以前お会いしました」


 ん〜? エレナたちがこっちをみてるー?


「う〜ん」


「レフィー、次はあれを食べますか?」


「ん!」


 にゅはははっ! こまかいことはきにしない!!


「しかし、久しぶりですね。

 セラフィル王子、ヘルヴィール嬢」


「ご無沙汰しております」


「お久しぶりです、アラン陛下、グランツェ公爵。

 ですが、私はもう王子ではありませんので、どうかセラフィルとお呼びください」


「私もヘルヴィールの名は捨てました。

 私はお姉様の眷属であるアリシアですので、どうかそのようにお呼びくださいませ」


「ふふん!」


 どうどう? うちの弟妹たちは! もう、2人ともかわいい!!


「っと、これ失礼。

 セラフィル殿、アリシア嬢」


「しかし、先程陛下も仰っておりましたが、まさかこの場でセラフィル殿とアリシア嬢に会うとは思いませんでした」


「私もまさかアラン陛下とグランツェ公爵殿に会うとは流石に思わなかったです」


「アクムス王国が悪魔王国ナイトメアと同盟関係にある事は存じておりましたが……この会議にご参加なされるという事は……」


「遠慮する必要はありませんよ、アリシア嬢。

 お2人の想像通り、表向きは単なる同盟国ですが、実際には我がアクムス王国はレフィー様達が率いる悪魔王国の傘下に降っています」


「となると、やはり……最初からですか?」


「いかにも」


「我々も6年前の本当の事を知っていますし。

 それに何より悪魔王国と……レフィ様と敵対するのは自殺行為ですからね」


「ははは、流石のご慧眼です。

 私の両親……勇者ノアールと聖女リナにも見習って欲しいです」


「ふふっ、その若さで五大国が一角であるアクムス王国を統べる賢王の名は伊達ではありませんね」


「おや、神童の呼び声が高いセラフィル殿とアリシア嬢にそう言って貰えるとは光栄です」


 アランたちはさっきからなんの話を……


「むぅ〜」


 わたしをのけ者にしてたのしそうに……そもそも! もう会議ははじまっているのだ!!

 なのに、みんなじゆうすぎる! これはゆゆしきじたいだ!!


『それは悪魔ちゃんが酔っ払ってるからじゃ……』


 よっぱらってないもんっ!!


『いや、もんって……』


 えぇい! うるさいぞ! だまるのだ!!


「あっ! お姉様!

 皆様にファルニクス様のことをご紹介した方がよろしいではないでしょうか?」


 ファルニクスを〜?

 う〜ん、そういえばエレナいがいはしょたいめん?


「アリシア嬢は随分とレフィー様のことを好きなようですね」


「ははは、それはもう。

 私が嫉妬してしまうほどですよ」


「ふふっ、はい! 私はお姉様が大好きです!」


「っ!」


 ぬふっ、にゅふふ……にゃはっはっはっ!!


「ふふん〜!」


 しかたないな! ファルニクスのことをしょうかいしてやるとしよう!!


『ちょろい』


「こいつはファルニクス。

 けっこうつよい、わたしのなかまなのだ!!」


「ふふ、よろしくお願いします」


 これでよし!


「いや、あれは仲間って言うよりも……」


 ガルドがなんかいってるけど、きにしない!


「シルヴィア!」


「かしこまりました。

 では、僭越ですが、ここからは私が司会進行を務めさせていただきます。

 まず最初に今後の予定ですが……今日より1週間後に七魔公による襲撃を行い、それをもって開戦といたします」

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