第311話 開戦前会議 その1

「それで……これはどういう状況ですか?」


 苦笑いを浮かべながら、そう言い放ったのは何を隠そう五大国が一角!

 流通の中心地にして商人の聖地たるアクムス王国を統べる若き国王アラン!!


 これがどう言う状況かだって?

 うふっ、うふふっ! そんなに知りたいのならば、教えてやろう!!


「会議、なのだっ!!」


「「……」」


「お、お師匠様、まさか……」


「間違いねぇな」


「こ、これはマズイのでは……」


 む? アランとグランツェ公は急にだまり込んで、エレナとガルドとクリスティアは顔を引き攣らせてどうしたんだろ?


「レフィー様、その手に持っているのは……お酒ですよね?」


「ん、そう!」


 にゃふふ! お酒が美味しい! ご飯も美味しい! すばらしいっ!!


「やはり……」


「お、お嬢! 酒は程々に、程々にな?」


「レフィー様! あまり飲み過ぎてはお身体に障りますよ!」


 ん〜、あぁ! そう言うことね。


「問題ない。

 今回はよってないもん」


 ぬふふっ、前回の別荘での宴会とは違うのだ!

 あの時は飲み過ぎて気が付いたら別荘が半壊しちゃってたけど……


「んっ、んっ……ぷはぁ〜! おさけ、おいしぃー!!」


 わたしは魔王! 同じてつはふまないのだよ!!


「これはヤベェな」


「レフィー様……もう酔っていらっしゃいますね」


「2人とも不穏な事を言わないでくれるかな?」


「クックック、アラン坊……現実逃避は良くねぇぞ」


「お父様、アラン様。

 シルヴィア様達がいらっしゃるので大丈夫だとは思いますが……念のために私の側から離れないで下さい」


「娘に守られる時が来るとは……娘の成長を喜べば良いのか、微妙な心境だな……」


 んん〜? みんなどうしたんだろ?

 しんみょうな顔をしちゃって、この通り! わたしはこれっぽっちも酔っぱらってないのに!!


「むぅ」


 コレは、みんな絶対に信じてないな。


『……まぁ、この状況ならね』


 う〜ん……まぁ、いいや!

 私は泣く子もだまる魔王様! こまかい事はいちいち気にしない主義のだ!!

 とりあえず、娘に守られる立場になってしまったグランツェ公お父様と飲んで慰めてやろう!!


「みんなも座って」


 会場は前回の宴会のときと同じく、みずうみの側にあるわが別荘!

 アランたちがとうちゃくして、メンバーも揃ったことだし……


「さっそく、会議をはじめる!」


 ふふん! ビシッと決まったわ〜!!

 かつもくせよ! いげんにあふれた魔王様然としたたいどと仕草をファルニクスと練習したこの成果をっ!!


『うん……悪魔ちゃんって、酔っ払うと無邪気になるよね』


 どういう意味だっ!

 それになんども言うけど、わたしは酔っぱらってなんていにゃいっ!!

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