第18章 聖魔大戦・開戦編

第310話 血祭りにしてやる!

『我等はこの世界の主神である女神アナスタシア様に仕えし者』


『我ら5翼の熾天を始めとする天使。

 微力ながら魔神レフィーを討ち滅ぼすため、貴方達に力をお貸ししましょう』



「ふん、羽虫共め」


 足を組んで、頬杖を着き。

 尊大な態度で見下すように言い放つ……


「どう?」


「結構良かったと思いますよ?」


「ふふん!」


 そうだろう、そうだろう!

 何たって私は本物の魔王様だからな!!


「ふふ、流石はレフィーですね」


「ん」


 もっと褒めろ、もっと頭を撫でるがいい!


『……何やってるの? キミ達』


 ん? 何って、この状況を見てわかんないの?

 そんなの決まってるのに、だからお前はモテないんだよ。


『わからないって言うか……でもシルヴィア達もいないし、ファルニクスと2人っきりだし……まさか……」


 ふっ、やっとわかったようだな!

 そう! そのまさかだ。


『へぇキミ達、いつの間にそんな関係になったの?』


 いつの間にって、もう結構前からだけど?

 ファルニクスとはもう数年来の仲だし。


『数年来っ!? うっそ、全く気が付かなかったよ』


 まぁ、お前は鈍感だからな。

 私とファルニクスのこの関係はシルヴィア達も知ってるし、公然の秘密と言うやつなのだ!!


『ほ、保護者まで公認とはね……まぁいつかはこうなるかなぁって漠然と思ったたけど。

 まさか既にそう言う関係だったとは……なるほどね、それで2人っきりでそんな事をしたたんだ』


 まっ、そう言うわけ。

 ふっふっふ、バレてしまっては仕方ない。

 こうしてファルニクスと2人で威厳あるカッコイイ魔王様の仕草を特訓していたのだ!!


『……え?』


 まぁ、わかってた事とは言え、今日の事で改めて痛感させられたからな。

 私の見た目には魔王様としての威厳が圧倒的に足りない。


 魔王が一柱たる魔神だって名乗った時、王都ペイディオの人間共の反応をリサーチしたけど。

 殆どのヤツらがあの子供が? とか、あの女の子が? って感じの反応だったし。


 何より! 私の姿を見て最初に持った第一印象って何だったと思う?

 女神だぞ! 女神!!


『……』


 魔王だった事前に名乗ってるにも関わらず女神って……まぁ、私は可憐でカッコよくて美しい超絶美少女だし。

 翼を広げた神々しい私を見て人間共がそう思うのもわからなくは無い、と言うか当然だけど!


 とにかくっ!

 そんな訳で、こうしてファルニクスとカッコよくて威厳に溢れる魔王様の仕草を特訓しているのだ。

 まぁ、特訓自体はしょっちゅうやってるんだけど……ん? さっきから黙り込んで、どうかしたの?


『えっ? いや、まぁ……うん、何でも無いよ』


 ふ〜ん、変なヤツ。

 しかし、我ながら今のは中々に魔王様然とした威厳と貫禄があったと思う。

 ふふん! 流石は私!!


 ただ1つだけ、私が座ってるのがファルニクスの膝の上ってのがネックだけど。

 まぁ、実際に誰かの前で魔王様ムーブをかましてやる時は流石にファルニクスの膝の上じゃ無いだろうし、細かい事は別にいいや。


「ふむ」


 それにしても、やっぱり出てきたな。

 まぁ、あれだけ大々的にやったわけだし。

 人類を守護する主神としてお優しい女神様が動くのは分かり切ってた事だけど。


 しっかし、熾天使ねぇ。

 精神強化の魔法を使って大混乱に陥っていた人間共の精神を落ち着けたみたいだけど。


「羽虫風情が」


 私を討ち滅ぼす? 不愉快な奴らめ。

 確かにそれなりに強いみたいだけど……私の展開した結界を突破できずに宣戦布告に介入すらできなかったくせに、クソ女神の尖兵の分際で調子にのりやがって。


「ふふっ、面白い」


 ぶっちゃけ、人間共だけだと一方的過ぎる展開になるし。

 これで少しは面白くなるかな?


「シルヴィア」


「はい、如何致しましたでしょうか?」


「皆んなを集めて」


「かしこまりました」


 人間共。

 そしてクソ女神の愚かな尖兵たる天使羽虫共。

 せいぜい必死になって、みっともなく醜く全力で足掻け!!


「ふふ……血祭りにしてやる」


『特訓なんてしなくても、十分魔王様だよ』

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