第286話 竜は嫉妬深いらしい
訓練場を一望できる一室にて。
誰もが見惚れるであろう美しい所作で足を組み替え。
ミーシャが用意してくれたココ……こほん、大人なブラックな飲み物が入ったティーカップを傾けて一口。
「ふっ」
これぞ、優雅な午後の過ごし方っ!
これぞ、魔王にして
「うわっ、何これメッチャ美味しいっ!!」
「ソル、お行儀が悪いですよ。
貴女も少しはレフィー様の美しく優雅で完璧な所作を見習いなさい」
ふふん! もっと褒めるがいいっ!!
「うっ、ごめん……でも、本当に美味しいから、シャルルも食べてみなよ!」
「はぁ、全く貴女は……っ! お、美味しいっ!!」
「でしょ! でしょ!」
「あっ、す、すみませんレフィー様。
私まで騒いでしまって……」
「別に気にしなくていい」
シルヴィアが作ったケーキには劣るとはいえ、このケーキを作ってるのはシルヴィアに師事する我がお城のシェフ達。
そんなケーキが美味しくないわけがない!
何せシルヴィアのケーキを食べ慣れてるこの私ですら思わず唸る程に美味しいケーキだし。
いかにネフェリル帝国で最高級のモノを食べているだろうとは言え、ソル達が驚くのも仕方ない事なのだよ!!
「ソルとシャルル。
アヤ、ヒュー、ユミルも、好きなだけ食べていいよ?」
「ふふ、ではお言葉に甘えて」
「いただきます!」
「ふふふ、レフィー様も一緒にいただきましょうね」
当然!
せっかくのアフタヌーンティーなのだ! ぐふふ、胸焼けするまで食って食って食いまくってやるわっ!!
「あのぉ……一応、俺もいるんですけど……」
「ふん!」
バカ皇帝のことなんてか知るか。
この私の事をハブって、今もまだ訓練場で今度はグランと遊んでるレオンと一緒に楽しんでた変態ロリコン野郎が!
「あぁ〜、やられた! やられた!
完膚なきまでにボコられたぜ!!」
「レオン、煩い」
「いきなり酷くねっ!?」
何が酷いものか。
せっかくの優雅なアフタヌーンティーの場に大声で騒ぎながら入ってきやがって。
「レオン以外の皆んな、おつかれ。
こっちで一緒にケーキを……こほん、お茶しよう?」
「あの、お嬢……俺は?」
「……そっちでそこの変態と一緒に食べれば?」
さぁ! 煩わし男共の事は忘れてアフタヌーンティーを楽しむとしよう!!
「これは、相当お怒りだな」
「おい、レオン。
俺達、何かしたか?」
「お嬢の逆鱗はイマイチわかりずらいからなぁ……」
「はぁ……」
「まっ、こうなったら仕方ないな。
地道にお嬢の機嫌を取るしかねぇ」
さっきから聞こえてるんですけど?
全く……この私を
このバカ男共が……! その身体に己が罪を刻み込んでやろうかっ!!
「ムッとしてるレフィーも可愛いですが」
「わっ!」
「ほら、他のお嬢様方が戸惑ってしまわれますよ」
「む、ファルニクス」
なに颯爽と転移で現れて、ナチュラルに私を膝の上に座らせてんの?
いきなり抱き上げられたから変な声が出ちゃったじゃんかっ!!
そもそも! シルヴィア達以外の皆んなが驚いて戸惑ってるのは突然お前が現れたからだし!!
ほら見ろ! 全員不審者を見る目でお前を……あれ? 何で皆んなして、そんな生暖かい目で苦笑いしてんの?
いや、そんな事はどうでもいいわ! 今重要なのはただ1つ……
「下ろして」
「ふふ、恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ」
なにが大丈夫だ!
私の魔王としての! 偉大な女王としての威厳が無くなっちゃうじゃんか!
「ダメです。
レフィー、
へぇ、それは初耳だわって! そんな事はどうでもいいの!
と、とりあえず、この生暖かい空気をどうにかしなければ……!!
「ファルニクス、何の用?」
「ふふ、こうしてレフィーを愛でに来たついでに変な虫が付かないように牽制をしに来ました」
「変な虫?」
何それ?
ふむ、ファルニクスはたまに何をしたいのかイマイチ理解できない事をするな。
「とまぁ、それは半分は冗談ですが。
レフィー、あの2人が目を覚ましたよ」
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