第287話 感想は?

「……」


 セラフィルとアリシアが目を覚ました。

 アフタヌーンティーを楽しむ私の代わりに2人の様子を見てもらっておいて何だけどさ……


 私を愛でるだの、変な虫が付かないように牽制するだの。

 変な言い訳をして私を膝の上に座らせて頭を撫でるよりも先に、そっちを報告して欲しかった。


「リーナとミーナが今あの2人をこの部屋に案内していますから。

 ふふ、2人が到着するのを待ちましょう」


「……」


 最初にそれを言え!

 そして、私を膝の上からさっさとおろせ!! って意味を込めて睨んでるのに……

 何故か微笑ましそうにまた頭を撫でられたんだけど。


『あはは、流石の悪魔ちゃんもファルニクスの前ではタジタジだね』


 煩いぞ! はぁ、もういいや。

 ファルニクスは竜種ドラゴンってだけあって我が我が儘だからな。

 ここは大人な私が折れてやるとしよう。

 ただし……


「2人が来たら下ろして」


「ふふ、仕方ありませんね」


 そうと決まれば……


「ん!」


 さぁ、もっと頭を撫でろ!

 私の頭をナデナデ撫でられる事を光栄に思って、感謝しながら撫でるが良いっ!!


「はぁ……お嬢、いい加減その御仁のことを紹介して欲しいんだが」


 そういえば、レオン達を招待してこのお城に転移して来た時に会ってるけど紹介はしてなかったか。


「コイツはファルニクス。

 私の……」


 そういえば、ファルニクスって私の何になるんだろ?

 神化してからの戦闘訓練とか、修行とかをやってるし師匠? ……いやいや、師匠は無いな。


「私はレフィーの番だよ」


「「えっ?」」


「「「「「まぁ!」」」」」


「違う」


 誰が番じゃ!

 レオンとショウはマジで? って顔をするな!

 そして女性陣は目を輝かせるな!!

 ったく、女性陣は冗談だってわかっても、レオン達男共は結構バカだから信じるだろうが!


「ファルニクスは、竜神ってだけのただの仲間」


「竜神ってだけって……」


「ちょっと、詳しく聞きたいんですが……」



 コン、コン



「「失礼いたします」」


 女性陣が何やら面白がるような視線を向けて来て。

 若干頬を引き攣らせて苦笑いを浮かべたレオンとショウの言葉をぶった切ってノックされた扉が開く。


「「お2人をお連れ致しました」」


 リーナとミーナが、声と動きをピッタリとシンクロさせてスッと頭を下げる。


「ありがと」


 まぁ、本来ならノックの後に返事を待たずに扉を開けたらダメ何だけど。

 私達ならノックされる前に感知できるし。

 何より一々返事をするのが面倒くさい。


 てなわけで城主たる私が許可してるから問題いんだけど、レオン達に説明するのを忘れてたな。

 まぁ、それは後々に誰か手が空いてる人に説明しといてもらうとして。


「ふふ、セラフィル、アリシア。

 2人ともよく眠れた? 調子はどう?」


「おかげさまで、かなりマシになりました」


「私はまだ少し頭痛がします……」


 ふむ、セラフィルはまだしも。

 アリシアはかなり顔色が悪いな。

 まぁ、まだ6歳の、それも公爵令嬢にして第一王子の婚約者である御令嬢だしね。


 鍛えてはいるようだけど。

 他の令嬢達からの妬みや嫉み程度はあっても基本的に他者からの直接的な悪意を受けた事は少ないだろうし。

 拷問やら陵辱なんて無縁だろうかなぁ……仕方ない。


「〝健やかなれ〟」


「「っ!!」」


 ふふん! 体調を整えてあげたのだ。

 寛大で優しい私に感謝するが良い!!


「で? 知りたかった真実を知った感想は?」

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