第284話 合格だ!
「「ッ!!」」
さっき造った玉座の肘掛けに頬杖をついてビシッ!!
まぁ、2人がここに来た要件は知ってるし。
わざわざこんな事聞かなくても、セラフィルとアリシアが何を知りたいのかはわかってる。
だがしかしっ!! 一応の様式美ってのがあるし?
2人が知りたい事を。
セラフィルの両親であるクソ勇者ノアールとアバズレ聖女リナに露見しないように手間をかけてまで隠蔽してる事を知りたいって言うのなら……
「ふふ」
相応の覚悟を持ってもらわないとね!
さっきレオンがやってたみたいなお遊びの軽い威圧とはわけが違う。
2人が立っていられる限界ギリギリの威圧。
しかも、これはただ
2人の脳裏に浮かんでいるのは明確な……圧倒的強者による抗うことのできない絶対的な死のイメージ。
まぁ、手加減してるし。
いかに私の威圧とは言え、流石にこの程度の出力だったら死ぬ事は無いし。
意識が飛ぶ事もまず無いハズ。
「さぁ、セラフィル・エル・アルタイル。
そしてアリシア・ヘルヴィール、お前達は何を私に聞きたいのか。
何を知りたいのかを答えるが良い」
さてさて、この恐怖に抗って、耐え抜いて答えられるか。
それとも恐怖に屈して地面に膝を着くか。
これは2人の覚悟を見る試練であると同時に、2人の器をはかる試練でもあるからなぁ。
『覚悟云々はわかったけど、2人の器をはかる試練って?』
ふふん! そんなに知りたいのなら教えてやろう。
2人が危険を犯してレオンの居城に来てまで知りたがってるのは、6年前の私が処刑された事の事実。
それを2人に教えるとなると、当然話は長くなる。
つまり! 口頭で話すんじゃ無くて、さっきショウ達にしたみたいに、いつも通り記憶情報を付与する事になるわけじゃん。
『あぁ、なるほど』
ふっ、どうやらお前もわかったみたいだな。
記憶情報の付与は脳に掛かる負担が大きい、今までは敵だったり大人だったりで遠慮なく付与してきたけど……
セラフィルとアリシアはまだ子供も子供の6歳児。
どれだけ早熟だろうと、どれだけ子供に見えなかろうが、まだまだ発展途上の子供である事には変わりない。
そんな未発達の脳に、現状ではただでさえ負担の大きい記憶情報の付与なんてすると廃人になる可能性がかなり高いし。
最悪の場合は死にかねない。
外部に漏れないために元どうりにしてやったとは言え。
現に以前クリスへの復讐の際にアナスタシア教国の首都である聖都デサントにいた人間全員に付与した時は死者こそ出なかったけど廃人が量産されたし。
まぁ、あの時は定着させるための追体験を省いて時間をかけずに付与したし。
今回2人が知りたがってる私の公開処刑の事以外にも世界の状況だったりとか情報量がかなり多かったから、今回とはかなり状況が違うけど危険な事には変わらないからな。
『ふふふ、意外と優しいね』
ふん! セラフィルとアリシアには、私がクソ勇者共をぶっ潰した後のアルタイルを治めて復興してもらわないとダメってだけ。
『あはは、恥ずかしがっちゃってぇ〜。
しかし、悪魔ちゃんでも記憶情報を脳に付与するのは難しいんだね』
今はまだ、な!
今までは記憶情報を付与する際の負担なんて気にして無かっただけだし。
私がちょっとその気になって真剣に練習すれば、数回もあれば負担をゼロにできると断言しよう!!
とまぁ、それはまた今度やるとして。
確かに現状での記憶情報の付与には子供では耐え切れないだろう大きな負担がかかる。
が、この世界には魔力やら魔法やらって言うファンタジーな要素がある。
セラフィルは当然としてアリシアも六英雄と面識があって、それなりに鍛えてるみたいだし。
さっきレオンの威圧に耐えた事からも、2人はそこらの大人よりも強い事は間違いない。
だから多分、2人に記憶情報を付与しても問題ないとは思うんだけど。
一応こうやって、2人が記憶情報の付与に耐える事ができるのかを魔王覇気による威圧ではかってるってわけよ。
『6歳児とは思えない立ち振る舞いの2人に対抗して威圧してるわけじゃないんだね』
そ、そそそそんなわけないじゃん!
2人の前ではお姉さんぶってたし、死んでるとは言え生きてたら2人より年上のしかも同郷のお姉さんだし。
ちょっと魔王としての? 魔神としての威厳を見せつけようとか、そんな事は一切ないからっ!!
『あはは、やっぱりね。
悪魔ちゃんの事だからそんな事だろうと思ったよ』
だから違うって言って……
「わ、私達は! 6年前に起こったことの事実を!
あの公開処刑の真実を知りたい……いいえ、知らなければならないのです」
「フィ、フィル様の言う通りです。
私達はこれからアルタイル王国の導く者として、真実を知る必要があるのですっ!!」
ナイスタイミングっ!! だじゃ無くて。
「よく私の威圧に耐え抜いた」
「私達はあの時の同じように合格、ですか?」
「ふふっ、良いだろう。
合格だ! お前達の知りたい事を、6年前の事実を教えてやろう……〝付与者〟」
「ぐぅ、これは……」
「ぅ! あ、頭が……」
気絶したか。
「……なぁ、お嬢。
あの2人、死ぬんじゃねぇか?」
「大丈夫……だと思う。
多分」
「多分かよ……」
まぁ、この2人なら死ぬ事は無いと思うけど……一応、安静にできる場所に連れて行ってあげるか。
「レオン、行くぞ」
「行くってどこに……」
はい、転移っ!!
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