第277話 諸君を招待しよう!

「ふん」


 本当に悲鳴まで耳障りな声だわ。

 まっ、今のはただ単にアナスタシアの依代を破壊しただけじゃ無い。


 依代とのリンクを伝ってアナスタシア本体にも多少のダメージが入っただろうし。

 無断で私を覗き見しようとした無礼はこれで手打ちにしてやる。


「「「「「「「「「……」」」」」」」」」


 ん? ショウまで、皆んなしてポカンとしちゃってどうしたんだろ?


「クックック! 流石だな、お嬢」


「?」


 何が面白いわけ?

 意味がわからないんだけど……


『悪魔ちゃんの力を目の当たりにして驚いてるんだよ』


 あぁ〜、なるほど。


「ふふん!」


 やぁっと、私の凄さが少しはわかったようだな!


『それに、黒い光でアナスタシアの依代を消し去ったからね。

 悪魔ちゃんの外見とのギャップもあると思うよ?』


 ふ〜ん、何がそんなに以外なんだろ?

 まぁ、確かに私の翼は何故か真っ白だし、髪も白銀だけど……


 私は歴とした悪魔なわけだし。

 魔力とか魔素とかが黒いのは当然っていうか、デフォルトなんだけどなぁ。


『でも、白い光を放つ魔素を纏ってる時もあるよね』


 まぁ、こう見えて私も神様の一柱だし。

 魔素も魔力も本来は無色で、当人のもつ魂の資質によって色が決まる。


 火なら赤、水なら青って感じで、得意な魔法の属性に沿った色が多いけど……

 原初悪魔にして神である私は黒も白。

 邪悪と神聖の相反する両方を併せ持っているのだよ!


「これで邪魔者はいなくなった。

 レオン、ちょうど良い時間だからお前達も一緒に来て」


「来てって、どこに行くんだ?」


「私のお城」


 お昼前だし。

 シルヴィア達ならお城でレオン達の分もお昼ご飯の用意をしてくれてるハズ。


「お嬢のお城って、悪魔王国ナイトメアの王城だろ?

 俺達を案内して良いのかよ?」


 それは全くもって問題ない。

 もし暴れるようなら力尽くで黙らせればいいだけだし。

 その際に大怪我したり、運が悪かったら死ぬかもしれないけど……それは自己責任って事で。


「お前達をランチに招待する!」


 不法侵入者とはいえ、レオン達は悪魔王国初めての外界からのお客様なわけだし。

 女王としてしっかりともてなして、レオン達に私の威厳を見せつけないとな!



 パチン!



 指を鳴らしつつ、レオン達と一緒にシルヴィア達が待ってる謁見の間に転移。


「うおっ! これがお嬢の城かぁ」


「「「「「「「「「……」」」」」」」」」


 さっきからレオン以外の9人が黙り込んでるのが気になるけど……まぁ、驚いてるみたいだし良しとしよう。

 それでだ……


「「「「「「お帰りなさいませ」」」」」」


 一応お客の前なわけだし、シルヴィア達がビシッと出迎えてくれたのは良い。

 何故かエレナまでメイド服を着てるのは謎だけど、それはまだ良い。


「レフィー、お帰りなさい」


「……ただいま」


 何でファルニクスが当然のように私の玉座に座ってるわけ?

 ちょっと釈然としないんだけど。


「おい、お嬢。

 アレは誰だ? 凄まじくヤベェ感じがするんだが??」


「気にしなくて良い」


 レオンが若干頬を引き攣らせて苦笑いを浮かべてるけど、ファルニクスの事は今は無視だ。

 まぁ、後でしっかりとお仕置きはするけど。


「ふむ」


 レオン達はさっきまで樹海にいたわけだし、鎧にマント、剣に杖とフル装備なわけだけど。

 これじゃあ私が主催する優雅な昼食会に相応しくない。


 魔王にして大魔王。

 原初の悪魔たる魔神。

 悪魔王国を統べる女王たるこの私の昼食会に相応しい服装にドレスアップしないと。



 パチンっ!



 再び指を鳴らすと同時に、ポンっ! っと小気味いい音を立てながら一瞬でレオンやショウ達の服装がドレスコードに沿った正装に切り替わる。


「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」


 無論、指を鳴らすのも、ポンっ! って音を鳴らしたのもただの演出だけど。

 ぷぷっ、レオンまで押し黙っちゃって! むふふっ、わざわざやった甲斐があったわ!!


「いや、マジでお嬢は規格外だな。

 もうあんまり驚かなくなってきたわ」


 失礼な!

 それじゃあ、私に常識が無いみたいじゃんか!!

 むぅ……文句を言ってやりたいところだけど、私は昼食会のホストだし今は甘んじて我慢してやろう。

 ただし……!


「さぁ諸君! 私の昼食会へようこそ」


 この昼食会が終わったら存分にレオンの目の前で、レオンのお嫁さんと娘さん達をモフッてやるっ!!

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