第271話 舞い降りし魔神

「おはようございま〜す!」


「ショウ様、レオン陛下及び他の皆様も、おはようございます」


「おはようございます」


「おはよう」


「ふふ、おはようございます」


 ネフェリル帝国皇帝ショウが連れている5人の美少女、美女達がある者は元気よく、ある者は楽しげに、ある者は柔らかな微笑みを浮かべながらテントから姿を表す。


「ソル、シャルル、アヤ、ヒュー、ユミル。

 5人ともおはよう」


 元気一杯な美少女ソル。

 礼儀正しく、しっかり者のの美女シャルル。

 楽しげな笑みを浮かべる、ソルよりも年上の美少女アヤ。

 ソルよりも幼なげな美少女ヒュー。

 柔らかな微笑みを浮かべる美女ユミル。


 ソルとヒューは貧乳で、アヤは普通。

 ここまではまだ許せるが……シャルルとユミル! テメェら巨乳は敵だっ!!


『悪魔ちゃん、それは完全に私怨だよ」


 ふっ! 私は悪魔だよ? 原初の悪魔なんだよ??

 私怨で何が悪いっ!

 むしろウェルカム私怨! 私怨バンザイっ!!


『はぁ……彼らを悪魔王国の女王として出迎えるんでしょう?』


 むっ、まさか邪神に正論を言われるとは。


『キミは私の事を何だと思ってるの?』


 まっ、それはさておきだ。

 ソルはまだいいとしてもヒューはまだ子供にしか見えないんだけど。

 そのヒューとも……とか、変態ロリコンじゃんか!


 ネフェリル帝国の皇帝ショウ。

 ハーレムを作ってる上にロリコンで変態とか……ムリ! 生理的にムリ!!


 これからアイツの前に出ていかないとダメだと思うと鳥肌が立つし。

 皇帝ショウには多少の興味があったけど、やっぱりもう無視して帰ろうかな?


『散々な言い草だね。

 ちょっとだけあの皇帝くんが哀れに思えて来たよ』


 だってロリコンの変態野郎だよ?

 もし私が姿を見せれば、どんな目を向けられるか。

 考えただけでも気持ち悪い。


『でも、ここで頑張ると後でシルヴィア達からご褒美がもらえ……』


 よしやろう!

 今すぐやろうっ!


「ふふふ……」


 変態がなんだ! ロリコンがなんだ!

 私は原初の悪魔にして全ての魔を統べる魔神。

 この大陸統一国家たる悪魔王国ナイトメアの女王なのだ! そんなモノは纏めて叩き潰してやるわっ!!






 ***






「マズイな」


 この感じ。

 さっきまでの悪寒なんかじゃねぇ。

 何処かからかはわからねぇが、確実に見られてるな。


 やっぱ怒ってるかなぁ?

 怒ってるだろうなぁ……余計な事は喋るなって言われてたのに、ショウ達と一緒に悪魔王国に来てるわけだし、そりゃあ怒ってるわな。


「レオン様?」


「もしやまた……」


「今すぐ周囲の索敵を」


「いや、待て。

 今は動かねぇ方がいい」


 俺達が既に捕捉されてるのは確実。

 そもそも、この大陸に上陸した時点で捕捉されてたって考える方が自然か。


 上陸してから一夜を明かしてるってのに、未だに魔物の一体すら邂逅していない。

 普通ならこの大陸でそんな事はあり得ない。

 悪魔王国のヤツらに誘導されてるのはわかってたが……


「単独行動を取るのは危険すぎる」


 この視線。

 間違いねぇ。

 あのお嬢ちゃん……お嬢はヴァリエ騎士王国にいたハズなんだが。


『ふふふ……』


「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」


「来たか」


 ショウもお嬢の視線に気付いてたか。


「鬼が出るか蛇が出るか。

 世界を動かす魔神の力、どれ程のモノか見せてもらおうか」


 果たしていつまでその余裕の笑みを浮かべてられるか、見ものだな。


「来るぞ……」


「不法入国の侵入者共よ。

 ようこそ、我が悪魔王国ナイトメアへ」


 いつ、何度見ても。

 この俺ですら思わず見入っちまう程に整った美貌。

 白銀の髪に、美しく輝くアメジストの瞳。


 晴天だった朝を夜に染め上げる闇を背負い。

 その闇とは真反対の純白の翼を広げ。

 アメジストの瞳で無機質にこっちを見下ろす魔神が舞い降りた。

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