第270話 遊んでやろうっ!!

 侵入者はどんなヤツらかと思えば……


「……」


 レオンにネフェリル帝国のハーレムパーティーかよ。

 まぁ、確かにアイツらなら大陸全土を覆う国土結界の一部に穴を開けて悪魔王国ナイトメアに侵入する事はできるだろうし。


 レオン……と言うか、六魔王には私の記憶を付与してるから当然、悪魔王国の場所も知ってるわけで。

 うん、考えてみればコイツらが侵入者ってのは別に不思議でも何でもないわ。


「でも」


 レオンめ。

 アクムス王国に世界樹を創る前に余計な事は喋るなって忠告したのに。

 何でネフェリル帝国のヤツらと一緒に国土侵犯してくれちゃってんの?


「むぅ」


 この私が!

 せっかく直々に忠告してやったのに! 無視するとか……ふざけやがって。



『うぉっ!』


『っ! 如何いたしましたかっ!?』


『レオン様っ!?』


『ご無事ですか!!』


『いや、問題ねぇ。

 ちょっと悪寒がしただけだ』


『あはは、レオンでも悪寒がなんか感じるんだな』


『お前なぁ、俺を何だと思ってんだ?』



 ふ〜ん。

 そうですか、そうですか。

 私との約束を破って、そんなハーレム野郎と仲良くしちゃってる訳ですか。


「ふん」


「よしよし。

 そんなに拗ねないでください」


「拗ねてない」


 たかだかレオンに約束を反故にされただけだし、その程度でこの私が拗ねる訳がない。

 ただちょっとイラッとして、ムカッとしただけ。


「あの者達は、大陸西部の海岸から上陸。

 現在は南西の竜都ドラゴニア、北西の血都ヨルの間に広がる樹海の中にて野営中です」


 ふ〜ん、野営ね。

 見たところ皇帝ショウのハーレム5人衆はまだテントの中みたいだし。

 昨日の夜はお楽しみだったのかな?


「神眼」


 うっわ、ガチで5人とも服を着てないじゃん。

 我が悪魔王国に無断で侵入した上に、夜にはお楽しみだったってか。

 ふふふ、こっちが放置してやってるからって調子に乗りやがって……


「私が始末してきましょうか?」


「いい」


 アイツらには。

 敵陣で盛る、こっちをナメ腐ってるバカ共も。

 私との約束を破ったレオンにも……悪魔王国の女王たるこの私が思い知らせてやるわ!



『うぉっ、また!』


『っ!? 今のは……』



 ふふふ、私との約束を破って!

 私じゃ無くて下半身野郎を選んだ事を後悔するがいいっ!!



『この感じは……はは、バレちまったか』


『バレた?

 魔神にか?』


『ん〜、なぁに?

 何の話をしているんですか?』


『ん? あぁ、悪い起こしちゃったか?

 ちょっ! お前その格好っ!!』


『ふふふ、大丈夫ですよ。

 ちゃんとマントを羽織っているので肌は見えてません』


『バカッ、ここにはレオンもいるんだぞ!

 早く着替えて来いって!』


『ふふふ、かしこまりました』



 私は一体何を見せられてるんだろ?

 まぁ、ハーレム5人衆の準備が整うまでは待ってやるか。

 っと、そう言えば……


「シルヴィア、勇者共は?」


 世界樹の創造に、聖位闘技大会とここ最近はちょっと忙しかったし。

 クズ勇者達の動向をチェックするの忘れてたわ。


「奴等なら温泉で有名な小国に滞在中です。

 どうやらアナスタシア教国から帰国後、聖女が息抜きにバカンスに行きたいと言い出したようで」


「……」


 えぇ、バカンスって。

 アイツら仮にも国王と王妃なのに?


「必要な執務などは転送魔法を用いて、宿泊先で行なっているようです。

 最初は反対していた宰相も、自分たちを襲う奴なんていないという勇者と聖女の主張を受けて納得したとの事です」


「マジか」


 まぁ確かにアイツらにとっては勇者達は最強の存在なわけだし。

 その主張もわからなくも無いけど国王、王妃たる者がそんな主張をするとは。

 しかも、宰相もそれに納得しちゃうとか、色んな意味であの国大丈夫か?


「まぁ、いいか」


 どのみち、クズ勇者とアバズレ聖女はアルタイル王国にはいないみたいだし。

 今は侵入者であるレオンとハーレム野郎達と軽く遊んでやるとしようっ!!

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