第269話 女王の帰還っ!

 はい! という訳で、帰って来ました。

 我がホームグラウンド! 我が悪魔王国〜っ!!


「……」


 と、まぁテンション上げて言ってみたは良いけどさ。


「ねぇ、ファルニクス」


 別荘で朝食を食べて、暫くゆっくりしてから首都フィーレにある王城。

 我が家マイホームの第一階層に転移して帰って来たわけだけど……


「どうかしましたか?」


 なんで未だに抱っこされてんの?

 流石にいい加減、下ろして欲しいんですけど!

 しかも、しかもだ……


 もう一度言うが、ここは地下の自室。

 私達のプライベートエリアじゃ無くて、表層の王城にある謁見の間!

 つまりっ!!


「お帰りなさいませ、お嬢様」


 グランを筆頭に、私の専属メイドの1人にして諜報活動もこなすリーナとミーナの母親であるセシリア。

 竜都ドラゴニアからはアーグベルやミランダにメアリーの3人。


 血都ヨルからは見た目は美青年にしてセシリアの旦那さんであるアルフォンス。

 鬼都ヴィ・ゴーレからは細マッチョのバラン。

 死都ゲヘディからはアンデットなのに聖騎士っぽいドレイク。


 各都市から四大都市の重鎮達が数名。

 そして、さらにその後ろには王城であったり、その地下にある迷宮で働いてる人達が一斉に跪く。


 いやぁー、壮観だなぁ。

 コレは流石にちょっとやり過ぎだと思わなくも無いけど、女王の帰還なわけだし。

 大魔王様なわけだし! ふふふ、まっ私くらいになるとこの光景も当然なのだよ!!


『今の悪魔ちゃんは大魔王様って感じじゃ無いけどね』


「っ!!」


 やめろ!

 せっかく現実逃避してるんだから、言わないでっ!!


「うぅ……」


 私の女王としての、大魔王としての威厳がぁっ!

 いやまぁ、向こうの大陸ではまだしも、悪魔王国では私の威厳なんてあってないようなモノだけど。


 この人数に出迎えられるって事は、逆に言うとこの人数にファルニクスに抱っこされている光景を見られてるって事だよ!?

 は、恥ずかしすぎて死ぬぅ……!!


「た、ただいま。

 あの、その……あ、あんまり見ないで……」


「「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」」


「総員、即時解散っ!!」


「「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」」


 グランの指示が謁見の間に鳴り響くと同時に、それまで謁見の間にいた殆どの気配が消え去る。


「……」


 もう大丈夫かな?

 気配は無くなったけど……流石に羞恥心で赤くなってるだろう顔を見られるわけにはいかないし。

 ゆっくりと確認して……


「ん」


 よし! 謁見の間に残ってるのは一緒に帰ってきたシルヴィア達と出迎えたグランのみ。

 ふぃ〜、助かったぁ。


『ふふ、赤くなってる目をギュッと瞑って、羞恥心で俯きながらぷるぷる震えてる悪魔ちゃんは結構かわいかったよ』


 だ、だだだ黙れバカっ!!

 バーカ! バーカ! 死ねっ!!


『あはは、そんなに恥ずかしがらなくても良いのに。

 シルヴィア達眷属だけじゃなく、悪魔王国の住人はみんな悪魔ちゃんの可愛いところを知ってるんだからさ』


 何言ってんの? バカなの??

 ふふん! 私が可愛いのなんて当然じゃん!!


『……うん、やっぱり悪魔ちゃんは面白いね』


 何か地味にバカにされた気がするだけど?


「まぁまぁ、レフィー。

 邪神様の相手をするのはそれくらいにして」


 っと、そうだった。

 邪神の事なんかよりも今は侵入者!


「ふふっ」


 さてさて、記念すべき悪魔王国初の侵入者はいったいどんなヤツかな〜?

 女王として盛大にもてなしてやらないと!!


「では、私の方からご報告いたします」


 報告?

 なんでシルヴィアが??



 パチン!



 シルヴィアが指を鳴らすと同時に、空中に映像が浮かび上がる。


「……」


 気のせいかな?

 な〜んか地味に、と言うかめっちゃ知ってる顔がいる気がするんだけど。

 それに、アイツらは……


「侵入者は六魔王が一柱、獣王レオンと3名の配下に加え、ネフェリル帝国が皇帝ショウとその一行です」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る