第15章 魔国侵入者編
第263話 声が出ちゃうのは仕方ない
「ふん、ふん、ふ〜ん」
『ご機嫌だね』
「……変態」
『何でっ!?』
はぁ、お前さぁ。
ここを何処だと思ってんの?
『何処って、お風呂でしょ?』
そう! お風呂だぞ、お風呂!
今私は心地良い湯船に浸かってるわけじゃん。
正真正銘、一矢纏わぬ全裸なわけじゃん!
覗きって全力で叫んでやろうか? この変態スケベヤロウがっ!!
『あ〜、なるほど。
ふふん、叫びたかったから叫んで良いよ?
まっ、尤も私は悪魔ちゃんみたいなお子様ボディを見ても何も思わないけどね』
「っ!」
な、な、何だと貴様っ!!
だ、だだだ誰がお子様ボディじゃっ!
『ふふふ、おっとごめんごめん。
つい本音が……』
よし! わかった。
それがお前の考えってんなら良いだろう……受けて立つぞゴルァ! 戦争じゃあっ!!
「はい」
「むっ」
「では、のぼせてしまってはダメですから、そろそろ湯船から上がりましょう。
さぁレフィーお嬢様、お髪を洗いましょう」
『あはは、憤りながら立ち上がるのと同時に抱っこされちゃったね』
むぅ、シルヴィア……
くそっ、もう良い! せっかくフェリシアに復讐して、その余韻に浸りながら気分良くお風呂に入ってたのに。
「ふふっ、ではこちらにお座りください。
今日はお忙しくてお疲れでしょうし、お髪を洗った後はマッサージをいたしますね」
「ん」
ふぅ、落ち着け私、我慢我慢。
お風呂を上がったら、夜ご飯を食べて、デザートにケーキを食べて、ミーシャのモフモフに堪能して。
邪神のせいで荒んだこの苛立ちを鎮めなければ。
『まっ、とりあえず闘聖位戦優勝ならびに、闘聖位獲得おめでとう』
ふん! そんなの開始前からわかりきってた事だし。
今更そんな事言っても私の身体をお子様ボディって侮辱した事実は変わらないからな!
『あはは、そんなに照れちゃって。
悪魔ちゃんは素直じゃないなぁ』
べ、別に照れてないし!
私は事実を言ったまで。
いくら六英雄のフェリシアと愛弟子のエレナが出場してようとも、あのメンツなら私の優勝は最初から決定してた。
私の優勝を阻止したいのなら、魔国でお留守番中の竜神でも連れて来い!
まっ、無理だろうけど。
それに仮にファルニクスが出場してても私が勝ったけどな!
『流石の悪魔ちゃんでもそれは厳しいでしょ。
現に今まで何度もファルニクスと手合わせしてるけど、一度も勝てた事がないじゃん』
うっ……そ、それは、アレだ!
そう! アレはファルニクスの竜神としての立場を考慮して手加減を……
『ふ〜ん、手加減ねぇ』
そ、それよりも!
最近……と言うか、だいぶ前からだけど、お前ちょっと私に対して失礼だぞ。
初対面? 会ってないけど、とにかく! 最初の頃はもうちょっとちゃんとしてたぞ!
そもそも私を誰だと思ってんの? 私は原初の悪魔にして、全ての魔を統べる魔神!
終焉の大地では魔国を統べる女王にして大魔王様、こっちの大陸では魔王様なんだけど。
『そりゃあ初対面と知り合いとでは態度も変わるよ。
と言うか、それをキミが私に言っちゃう?
それを言うと、私は悪魔ちゃんよりも位の高い神なんだよ?』
だから?
何でこの私が、邪神如きにへこへのしないといけない?
私は例え王様だろうが、神だろうが、誰だろうと、決して下手に出る事はないのだよ!!
『……はぁ、堂々と宣言する事じゃないよ。
そろそろ本当に傲慢のスキルも獲得するじゃない?』
ふん! 当然だな。
だって私は大罪の悪魔だし。
今は暴食、強欲、怠惰の3つだけど、いずれ残りの傲慢、嫉妬、色欲、憤怒の七つの大罪全てをコンプリートしてやるわ!
『はいはい……いや、見ての通り傲慢だし。
結構、嫉妬深い上に、前世の事で憤怒も、それに色欲も……お子様だけど容姿は完璧。
うわぁ、冗談じゃなくてコンプリートしてもおかしくない気がしてきた』
何ぶつぶつ言ってんの?
今なんかお子様とか失礼な事が聞こえた気がするんですけど。
『いや、何でもないよ。
ちょっと悪魔ちゃんの素質に呆れただけだから』
はぁ?
『それより、本当に良かったの?
せっかく観客達の目の前フェリシア達の罪を暴いたのに、彼らの記憶を消してさ』
あぁ、それね、別に問題ない。
どのみち、まだ世間にバレるわけにはいかないから口止めする必要があったし、それなら記憶を消した方が確実。
エレナとの決勝もやりたかったし。
『まぁ、確かにあの後じゃあ決勝戦ってわけにはいかなかっただろうしね』
それにだ。
記憶を消したのは観客席にいた一般の観客と実況を含む人間のみ。
フェリシアはもちろん、はなから事情を知ってるガスターとマリアナ、そしてフェリシアの近衛である十騎士共の記憶は消して無い。
「ふふふ……」
せいぜい、自分が犯した罪に。
自分の身勝手な正義感のみで、大した証拠も無いのに周囲に流されて六英雄としての権力を、影響力を、力を使って!
無実の少女を! その家族を! 少女の大切な人達を皆殺しにした事実に罪悪感に苦しむが良いっ!!
「ん、ふぃ〜」
「どうですか? 気持ちいいでしょうか?」
「ん」
「ふふ、ではもう少しお寛ぎくださいませ」
「ん」
ふふっ! ガスター、マリアナ、クリス、フェリシア。
4人に対する
次はいよいよ……
「ふへぇ〜」
前世、公爵令嬢だった頃の祖国、アルタイル王国!
ふふふ、クソ勇者ノアールにアバズレ聖女リナ。
せいぜい首を洗って待っていろ、次の標的はお前達だ。
『マッサージされて、気持ちよさそうな顔でそんな声を漏らしながらじゃあ威厳がない!
いまいちビシッと決まってない!!』
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