第14章 悪魔姫の復讐・姫騎士編

第241話 根に持ってるけどなにか!?

「ん〜!」


 馬車から降りて、長旅で凝り固まった体をほぐす。

 何故か周囲の視線を思いっきり感じるけど……まぁ、私みたいな超絶美少女が来たらそりゃあ皆んな見ちゃうよねー。


 ふふん! 確かにちょっと鬱陶しいし、中にはニタニタ笑って舐め回すような気持ち悪い視線を向けてくるロリコン野郎もいるけど。

 人間共が魔神たる私の美貌に魅了されるのは仕方ない事、ここは寛大な心で許してやろう!!


『いや、まぁ間違ってはないけど。

 と言うか、そもそも長旅で凝り固まった体をほぐすって、悪魔ちゃんさっきまで自宅のクッションで寛いでだよね?』


「……」


『馬車で遥々やって来たって演出のための偽装工作のついでに、彼らを魅了するのは流石によろしくないと思うよ?』


 う、煩いな!

 いいじゃんか別に!

 魅了といっても、いつもは抑えてるだけで、これは魔神へと至った原初の悪魔である私が本来持ってる特性みたいなものだし。


 ふん! どうせ私は身長150あるか無いか程度のチ……チビだし、胸もほとんど無い小娘ですよ!!

 またこの前のモブロ伯爵家のクソガキみたいな失礼なヤツがウザ絡みしてくる前に先手を打ったまでの事!


『まだ根に持ってたんだ……」


 根に持ってるけどなにか!?


『まぁ、確かにその言い訳の筋は通ってるけど。

 悪魔ちゃんなら、そのウザ絡み……冒険者ギルドでのテンプレができるっ! って喜びそうだけどなぁ〜』


「っ!」


 そ、それは……


『あはは、まっ深く聞くのは止めておいてあげるよ』


 こ、こいつめ……邪神のくせに調子に乗りやがって……!


「むぅ」


「っ! も、申し訳ありません。

 お出迎えしようと思っていたのですが……」


 ん? 何か受付嬢がメッチャ焦った様子で謝罪して来たんだけど。


『そりゃあ、悪魔ちゃんがムッとしたからだよ。

 他の冒険者達の不躾な視線に怒ったと思ったんじゃない?』


 ふ〜ん、なるほどね。

 出迎えようと思ってたって言ってるところをみると、アクムス王国王都フェニル支部のギルドマスター。

 ガルドからの連絡はちゃんと事前に伝わってるみたいだし、受付嬢さんのこの反応も納得だわ。


 ガルドが何て連絡したのかは知らんけど。

 私達の実力は伝えてるハズだし、現役のSランク冒険者でもあるガルドを瞬殺できる力を持つ私達を怒らせたく無いのは当たり前だなわ。


「別にいい」


 未だに気色悪いロリコン野郎の視線は幾つか感じるけど、殆ど視線は既に感じないし。

 そもそも私の魅了が原因なわけだし!

 なんか男達が女冒険者に睨まれたり引っ叩かれてしてるけど……細かい事は気にしないっ!!


「よ、よかった……」


 明らかにホッとしてるな、この受付嬢さん。

 まぁ、気持ちはわかるけど……ふっ、こんな簡単に顔に出しちゃう何てまだまだだな!


「改めまして、冒険者パーティー純白の翼の皆様。

 冒険者ギルド、ヴァリエ騎士王国王都シュヴァリエ支部へようこそお越し下さいました」


 佇まいを正して頭を下げる受付嬢の言葉を受けて、周囲の冒険者共にどよめきが起こる。

 ふっふっふ〜ん! もっと驚くがいい!!


「こちらへ、ギルドマスターと副ギルドマスターがお待ちです」

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