第231話 これぞ! ミッション・インポッシブル

 ノワール達、七魔公を招集してから一夜明け。

 思う存分! もう満足のいくまでモフモフを堪能したし。

 グッスリ惰眠を貪って、やって参りました! アクムス王国〜っ!!


「ふぁ〜……そういう訳でだから、よろしく」


「いや、ちょっと待って下さい。

 何が、そういう訳なんですか?」


「んぅ……」


 眠い。

 非常に眠い!

 グッスリ惰眠を貪ったと言ってもまだ早朝だし、アランが何か言ってるけど気にならない程に眠い。


『もう昼前だよ?』


 ……とにかく! 瞼が重い、目がしょぼしょぼする。

 気を抜くと意識が飛びそうだし、これは身体がもっと寝ろと訴えかけているっ!


「ちょっ! 何の説明も無しに突然押しかけて、それだけ言って寝ないで下さい!!」


「ん、寝てない」


 アランもこの私を相手に結構言うようになったな。

 ふむ、仕方ない。

 ここは原初の悪魔にして魔神! 魔王が一柱ヒトリとして、ビシッとカッコよく威厳たっぷりに決めてやろう!


「王都フェニル近郊にある草原か、3カ国連合と戦争した国境付近の大草原」


 悪魔王国……というか、主に私による蹂躙だったけど、アレは戦争と呼んで良いのかな?

 う〜ん、まっ別に細かい事はどうでも良いや。


「そのどっちかに迷宮ダンジョンを創造する」


 王都フェニルは言うまでもなく、国境付近も魔国私達の影響で密偵が結構な数いるし。

 昼間に突然、迷宮ダンジョンが出現なんてしたら当然人目についてめっちゃ目立つ事は確実。


 だからこの実験を開始するのは夜になってから、結界を展開して行う予定だし。

 まぁ、それでも日が明けたら突然、迷宮ダンジョンがあるわけだから騒ぎになるだろうけど……


 それはもう仕方ないから諦めるとして!

 とにかく! ビシッと迷宮ダンジョン創造を告げた今、夜になるまでは特にすることも無くて暇。


 という訳で、もう寝ても良いよね?

 こうしてアラン達に説明もしたし……この心地いい睡魔に身を任せてお昼寝しても問題ないハズ!


「ふぁ〜」


 快眠スキルこと、怠惰者スロウスを発動して……はい、おやすみなさい!


迷宮ダンジョン、ですか。

 それは一体、どういったモノなのですか?」


 ちょぉ〜っと待てぃっ!

 今寝ようとしてたところ! もうちょっとで心地いい惰眠を貪れるところだったのに……


 くっ、もう既に怠惰者の権能も発動済みだし。

 この場面から強引に睡魔を断ち切って意識を保つ事は困難。

 ましてや面倒な迷宮ダンジョンの説明を詳しくするなんて限りなく不可能に近い!!


 これぞ、まさに極めて困難な任務、ミッション・イン・ポッシブル!

 が、頑張れ、頑張るんだ私……


「……」


「レフィー様?」


 はっ! 今一瞬、意識が飛んでた。

 威厳あるできる女として! 大人の女性として、しっかりしなければ……あ、やっぱりムリ……

 首が……勝手に首が船を漕いで、瞼が落ちる。


「ははは……」


「ふふふ、アラン様」


「ん? どうしたエレナ?」


「レフィー様はどうやらお疲れのようです」


「確かに。

 この姿を見ると、とても悪魔族の女王とは思えないね」


「私はレフィー様を寝室のベッドへお連れして参ります」


「では、私が同行致します」


 あれ? 何か喋ってたみたいだけど、もしかして抱っこされた?


「ご主人様の護衛も必要ですし私も行きます」


「じゃあ私も!」


「あっ、なら私も同行します」


「ふふふ、かしこまりました。

 では皆様こちらです」


「はい。

 では私達はレフィーお嬢様を寝室へとお連れするので、グランはアラン王に迷宮ダンジョンの説明をお願いします」



 バタン



 和気藹々と嵐のように女性陣が退出して扉が閉まり……


「「「はぁ……」」」


 残された男性陣。

 グランとアランにグランツェ公爵、3名のため息が重なった。

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