第232話 準備は整ったけど、その前に

 王族や高位貴族のプライベートな会議室でアラン達と迷宮ダンジョン創造実験について話してたハズなのに、結局あの後寝てしまったようで……気が付いたらベッドの上だった。


 まっ! 怠惰者スロウスも発動させちゃってたし、いかに私と言えども抗えない……事もないけど。

 とにかく! もうコレは過ぎた事、今更気にしてもしょうがないし。


「細かい事は気にしない」


 うん、完璧な理論武装だ。


『いや、少しは気にしようよ。

 コレは最早お昼寝どころじゃないよ? 流石にちょっと寝すぎだと思うんだけど……』


 う、煩いぞ! 誰も何も言って来ないんだから別に良いじゃんか。

 コレは気にしたら負けなのだ!!


 はい! てな訳で、二度寝、三度寝も合わせて合計で約7時間。

 中々にふかふかで素晴らしいベッドでぐっすり惰眠を貪って気分爽快!


 なんでエレナの自室のベッドで寝てたのかは謎だし。

 何故かエレナとシルヴィア達、女性陣が隣の部屋で女子会みたいなのをしてたけど……それはともかく!


「さぁ、準備は整った」


 予定通り、もうすっかり暗くなって夜になってるし。

 既に周囲には認識阻害、隠蔽、隔離の結界も展開済みで準備も万端!


『しかし、王都のすぐ側にある草原って色々と大丈夫なの?』


 なんだ静かだなぁっておもってたけど、聞いてなかったの?

 その話はさっき、皆んなで夕食を食べてる時にグラン達から説明があったのに。


『ちょうどその時、私も食事中だったからね』


 ふ〜ん、どうせまた例のご友人とやらとご飯を食べにでも行ってたんだ。


『いや、今回は違うよ。

 実は今こっちも結構大変な事になっててね』


 大変な事?


『そっ、まぁ私は最高位の神だし一切問題ないんだけど、他の人たちにとってはそうも言ってられない状況なんだよ。

 それよりも悪魔ちゃん、言葉に地味に棘があるけど……ふふふ、もしかして私が友人を優先したかもって嫉妬してるの?』


 はぁ!? そ、そそそそ、そんなわけ無いじゃん!!

 この私が! お前如きのために嫉妬なんてするあり得ないっ!


『ふ〜ん、まぁそう言う事にしておいてあげるよ。

 それで、どうしてその場所になったんだい?』


 何か釈然としないけど……まぁいい。

 わざわざ説明してやるんだから感謝しろ!


『はいはい』


 私が寝てて、シルヴィア達がエレナと女子会をしてる間に行われたらしいアランとグランツェ公、グランの3名による協議の結果。

 場所は私の別荘がある国境付近の大草原じゃ無くて、王都近郊の草原に決定されたのだ!


 理由としては主に2つ。

 まず最初に、王都のすぐ側に迷宮ダンジョンができる事による莫大なメリット。


 迷宮で採取可能な魔物の素材や資源はもちろん、それらを目的とする冒険者やら商人達の動向。

 迷宮という存在によって齎されるであろう経済的利点は計り知れない。


 2つ目はデメリットが限りなく低いと言う事。

 確かに王都のすぐ側に迷宮ができれば、それ相応の危険を伴う事になる。


 だがしかし! その迷宮を管理するのは悪魔王国私達

 私達の実力を知ってるアラン達からすれば、最も懸念すべきデメリットはデメリット足り得ないと言うわけ。


『なるほどね』


 アラン曰く。

 私達でも管理しきれない程の事態になれば、王都近郊だろうと国境付近だろうと関係なく確実にアクスム王国は滅びるんだからデメリットを気にしても意味がない。

 それなら莫大な利益を生む方を選ぶのは当然、だってさ。


『彼も結構大胆な決断を下すね。

 悪魔ちゃんの影響かな?』


 何か含みがあるように聞こえるんだけど?


『あはは、そんなわけ無いじゃん』


「ふむ……」


 まぁいい。

 それじゃあ早速、迷宮ダンジョン創造実験を始めようと思う……けどその前に!


「皆んな来て」


 言うと同時に、音も無く一瞬で転移して顕現する七柱の大悪魔。


「我らがいと尊き神、レフィー様」


「我ら七魔公、御前に」


 おぉ〜! 前のシルヴィア達のもカッコよかったけど。

 七魔公の中でも最高位であるサタンとノワールが代表として口上を述べて全員が恭しく跪く…… 七魔公の皆んなのもカッコいい!!


「ん、楽にして」


「「「「「「「はっ!」」」」」」」


 実験を始める前に、アラン達に皆んなを紹介しないとな!

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