第230話 七魔公

 私の前に跪く七柱の大悪魔。

 シルヴィア達眷属の皆んなは別ベクトルとして、七魔公は私直属の悪魔軍の中でも最高位の大悪魔。

 皆んなには色々と仕事を任せてるし忙しいハズなのに、まさかこんな短時間で集まるとは……


『しかし、凄い光景だね。

 原初たる悪魔ちゃんを始め、悪魔族デーモンの頂点に君臨する大悪魔が一堂に会してるのは壮観だよ』


 まっ、ここにいるのは全員単騎でも人間の国家なんて簡単に滅ぼせる存在だからな!

 そんな眷属と、大悪魔の皆んなを従えちゃう私のカリスマ性と威厳!

 もっともっと、私の凄さをしっかり理解して私を褒め称えるが良いわ!!


『得意げな子供……』


 何か言った?


『いや! 何でも無いよ。

 流石は悪魔ちゃんだなぁって思っただけだよ』


 ふふん!

 まっ、予定と言うか、思ってたよりもかなり早いけど、こうなったら仕方ない。

 ミーシャをモフって寛ぐのはグッと我慢して、とりあえず……


「えっと、ご苦労様」


「「「「「「「っ!!」」」」」」」


 部下への労いを忘れない。

 うんうん、我ながら素晴らしい上司ぶり!

 何故か皆んな歓喜に打ち震えてるけど……まぁ、皆んなだし細かい事は気にしない!!


 ふむむ! そんなできる女! 素晴らしい上司たるこの私が七魔公の皆んなを紹介しよう!!

 まず最初は……


『いや、別に紹介されなくても知ってるんだけど』


 煩い、黙ってろ。


『……』


 こほん! じゃあ気を取り直して。


「ノワール」


 黒い瞳に、腰ほどまであるロングの黒髪。

 どことなくミステリアスで妖艶な美女。

 シルヴィアの帝位とか言う例外は置いておくとして、悪魔公の中でも最上位である公爵位の存在。


「はいっ!」


 ガバッと顔を上げて、めっちゃ嬉しそうに黒い瞳を輝かせるけど。

 正真正銘、魔界の頂点の一角に君臨する大悪魔!


「サタン」


 真紅の瞳に、センターパートの深みのある紅蓮の髪。

 女性と見紛う程の美貌と、冷静沈着で落ち着きのある大人って感じの青年。

 ノワールと双璧を成す公爵位の悪魔公。


「はい」


 次は……


「ルシフ」


「はっ!」


 輝くような明るい黄色の瞳と、柔らかみのある同色の髪。

 その瞳と髪の色と同じく、まさしく光のように周囲を照らすような明るい性格の美少年。

 幼い外見なのに悪魔公の中でも上から2番めである侯爵。


「レヴィア」


「はい」


 綺麗な薄い青の髪に、肩口で切り揃えられた流れるようなサラサラな髪。

 頭脳明晰で落ち着きのある美少女。

 伯爵位の悪魔公。


「ベル」


「は〜い」


 ゆるふわショートボブの髪に、ブラウンの瞳。

 子爵位の悪魔公でありながらもマイペースな性格で、私のお昼寝仲間のまだ若干幼さの残る美少女。


「マモン」


「はっ!」


 綺麗な狐色の髪と瞳。

 高い戦闘能力を持っていながら、戦略を駆使した搦手も得意な美丈夫。

 ベルと同じく子爵位の悪魔公。


「アス」


「はっ!」


 ピンクの瞳に、短く切り揃えられながらも所々はねた天パの髪。

 若干チャラい性格だけど、やる時はビシッと決める男爵位の悪魔公。


『ねぇ、前から気になってたんだけど。

 何でノワールは色なのに、他の六柱は違うの?』


 っ! そ、それは……何となく?

 そう! 何となくこっち方が良いかなって思ってインスピレーションを働かせて名付けたのだよ。

 別にフランス語がわからなかったとかそんな事は一切無いからな!!


『へぇ、そうなんだ』


 そ、そんな事より! こうしてみると、確かに壮観だな。

 人の姿をしてる高位の悪魔は皆んな美形だから、当然皆んなも容姿端麗だし。


『アラン達が見れば卒倒してもおかしくない光景だよね』


 何それ、面白そう!

 まだアランにエレナ、グランツェ公を始めとするアクムス王国勢には七魔公の皆んなを紹介してないし……むふふ、今度やってみよう!!


『うわぁ、悪い子だ』


 まっ、それはまた後でミーシャをモフりながら考えるとして。


「集まってくれてありがと。

 皆んなを呼んだのは……」


 ふふふ! さぁ、実験を始めよう!!

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