第229話 大悪魔、集う

 ゆっくりすると決まればやる事はただ1つ!


「むっふぅ〜!」


 思う存分、ミーシャのモフモフを堪能してするぞー!!

 あぁモフモフ、ふわふわ! ちょうどいい感じにひんやりしてて、もう触り心地最高!


『またスイーツを食べる! とか言い出すと思ってたのに……

 食いしん坊な悪魔ちゃんが食べ物に触れないなんて珍しいね』


「むっ、失礼なやつめ」


 全くコイツは私の事をなんだと思ってるのか?

 これでも私は淑女中の淑女! クズとは言え仮にも第一王子にして王太子の婚約者だった元公爵令嬢だぞ?

 そんなに食い意地は張ってない!!


『いやまぁ、確かに悪魔ちゃんは元公爵令嬢だけど……』


「ふふん!」


 わかれば良いのだよ、わかれば!

 それにだ! 私としてもケーキとかスイーツを食べたいところだけど……さっき人間共がクリスを痛めつけるのを観ながら食べちゃったからなぁ〜。


 シルヴィア保護者様を始め、皆んなもあの場所をこの場所から覗いてたから、私がさっき大量にお菓子を貪ってる事は把握してるだろうし。

 流石にこれからケーキをまた食べるのはたぶん無理。


『やっぱり……』


 ん? 何か言った?


『いいや、何も言ってないよ』


 ふむ、まぁ良い。

 とにかく! ちゃ〜んとスイーツを我慢できるこの私が食いしん坊だなんてあり得ない!!


 お菓子の、スイーツの魔力に抗ってちゃんと我慢できるとか、私って偉いわ!

 邪神もそう思うでしょ? 思うよね?


『あはは、そうだね』


 よし! 邪神の失礼な勘違いも正してやった事だし……


「うぐっ……!」


 ぇ……


「シルヴィア?」


 なになにっ!? シルヴィアが突然、胸を押さえて蹲っちゃったんですけどっ!

 ここは私の支配領域たるダンジョンの地下第100階層だし、攻撃の気配も何も無かったハズ……


『まぁ、彼女を始め皆んな溺愛してるからね。

 手をワキワキさせる見ちゃったせいだよ……いつも通り無表情だけど』


「ん?」


 それはどう言う意味?

 確かにモフ師としてミーシャをモフろうと身構えはしたけど。

 それと、シルヴィアが蹲ったのとどう言う関係があるの?


『ふふふ、まっそう言う事だよ』


 いや、だからどう言う事だよ!


「あの、シルヴィア……大丈夫?」


「も、申し訳ありません。

 私は大丈夫ですので、ご心配なく」


 それなら良いけど。

 何事も無かったようにスッと立ち上がったし、本当に大丈夫そうかな?


「ミリア、リリィー」


「はい! 準備万端です」


「お任せください、シルヴィア様!」


 何の話をしてるのかは全くわからんけど、いつも通り何やら2人に指示を出してるし。

 シルヴィアの魔素にも魂にも異常は無い。

 うん! 大丈夫そうだな!! じゃあ、改めて……


「モフモ……」


「大変お待たせいたしました!」


 突然、嬉々とした弾んだ声が鳴り響く。


「我らが偉大なる神、レフィー様」


 黒髪の美女。

 ノワールを筆頭に横並びになって跪く七柱の大悪魔。

 確かに……確かにさっき招集するって言ったけど……


「貴女様の招集の命を受け。

 我ら七魔公、ただ今御前に参上致しました」


 いくら何でもこれは早過ぎる!

 まだノワールに招集するって伝えてから2、3分なんだけど!?


『シルヴィアもだけど。

 悪魔の皆んなは悪魔ちゃんの命令を受ける事を至高としてる節があるからね。

 悪魔ちゃんの勅令を受けて張り切っちゃうのは仕方ないよ』


 うぅ、今からミーシャを思う存分にモフッてリラックスしようと思ってたのに……

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