第216話 滅されろ

「けど……」


 アナスタシア、ねぇ。


「ふむ」


 今も天界……アナスタシアが作った自身の神域からここを覗いてるけど。

 ぷぷぷっ、何か知らんけど、めちゃくちゃ焦ってるみたいだな!


『いや、悪魔ちゃんのせいでしょ……』


 まぁ、私が支配下においたせいで、アイツはこの聖都デサントに干渉できなくなったわけだし。

 確かに私のせいか……ふふふ、ざまぁ!!


『ざまぁって、初対面なのに悪魔ちゃんはアナスタシアの事が嫌いみたいだね』


 当然だ!

 だって見てみろ! アナスタシアが動くたびに激しく揺れ動くあの無駄な脂肪の塊を!!


 私への……超絶カッコよくて、神々しい登場をした私に対する当て付けか!?

 あの揺れ動くおっぱいで、「ふっ、そんな貧相な身体で女神? ちょっと人間達に勘違いされた程度でいい気になるな!」って雄弁に主張してやがる!!


 おのれ、女神アナスタシア……いや、巨乳めっ!!

 許さん! 絶対に許さないぞ! この私が密かに気にしてる事をこれ見よがしにバカにしやがって……!!


『悪魔ちゃん……それは完全にただの私怨だよ……』


 ……と、まぁ冗談はこれくらいにして。


『いやいや、今のは完全にマジだったよね?』


 こほん! 女神アナスタシア。

 この世界における人間共を含む人類種を管理、守護する管理者の一柱ヒトリ

 そして、この大陸、安息の大地を管理する存在。


 終焉の大地を管理していたファルニクスを始め、この世界に存在する11柱の管理者達。

 まぁ、私を入れれば12柱だけど……


 とにかく! アナスタシアは管理者の中でも唯一下界に直接介入して人類を手助けする慈愛の女神。

 全ての人類を我が子のように愛するのは勝手だけど。


 人類を愛するがあまり、旧魔王システムによって恐怖に怯えて死んでゆく人々を憂いたコイツは勝手に救済処置を発案し。

 勝手に異世界召喚と言う最終手段を人間共に授けた。


「つまり……」


 女神アナスタシアは慈愛という名の身勝手な自己満足で!

 私の大切な人達が皆殺しにされ、私が冤罪で公開処刑されるきっかけを作った張本人!!


 そして異世界からこっちの都合で召喚してしまった。

 被害者だからって理由でアバズレ聖女に加護を与えて守護しながらも。

 増長したアバズレを止める事も、それに同調した周囲を止める事もしない最低な女!


 別にアナスタシアが巨乳だとかそんな事は関係なく、コイツの事を私が好きなハズが無い!

 何が、人としての正しい道を外れた哀れな魂だ! お前のせいだっての!!


「せいぜい、無様に慌てふためきながらそこで見てろ」


 さ〜て、何やら勝手に盛り上がってる人間共を手っ取り早く黙らせて! 恐怖を与えて!

 この私の事をあんな最低なアナスタシアだと勘違いしていたと言う事実を理解させる方法……


「ふふっ!」


 それは簡単!!

 人類を、人間を愛し、守護する女神アナスタシアでは無い。

 魔神たるこの私の力を見せつけてやれば良いっ!!


「さぁ……」


 愚かで醜い。

 自分の信じたい事だけを盲目的に信じ、不都合な事は信じようとしない人間共!

 恐怖しろ! 泣き叫べ! 無様に地に這い蹲り、命を乞え!!


魔神の力を思い知れ。

 滅光魔法……」


 せっかくだし、派手に行こうか!!


「滅槍」


 白き輝きを放つ、全てを滅し、全てを消し去る滅光の槍の大きさは全長約20メートル。

 ふふふ、これなら聖都デサントのどこからでもしっかりと見える。


 ぶっちゃけ、この滅槍は大きいだけで滅光魔法を槍の形に押し留めただけ。

 威力で言えばもっと高くする事もできるけど……聖都デサントを含めたここら一帯を消し飛ばす程度は余裕で可能!!


『っ!?』


 ふふっ! 焦ってもこの場所に干渉できない女神お前じゃあどうしよう無い。

 指を加えて天界そこで見てろ!


「全てを消し去る滅光によって滅されろ」

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