第151話 これは約束だから仕方ない!
とにかく! リリィーが協力してくれる事になって、一芝居打ったってわけよ。
『その芝居って言うのがさっきの……』
そう! さっきリリィーがガスターの目の前で恥辱されたアレの事。
実際にはお前も知っての通り、リリィーに一切の危害は無いんだけどね。
ここでリリィーがしていた演技をリアルタイムで、実体を伴う幻術としてあの場に映し出す。
まぁ、実態を伴う幻覚なんて超絶高度……と言うか、まさしく神話に語られるような神業なわけだけど。
ふっふっふ! 今の私に取っては児戯に等しいだよ!!
『へぇ、あの恐怖に引き攣った顔と涙が演技ねぇ』
まぁ、確かに私もリリィーの演技が想像以上に凄くてちょっとビックリした。
鬼気迫るって感じて凄かったもんね。
本当にクリスティアといい、アランといい、皆んな演技うま過ぎると思う。
あっ、リリィーの名誉のために言っとくけど、失禁云々はリリィーが本当にしちゃったわけじゃ無くて私の演出だからな!
『え? あぁ、そうなんだ』
ふぅ、まったく油断も隙もあったもんじゃ無いな。
これだから男は!
『……』
さてと、邪神にネタバラシもしてあげた事だし。
シルヴィアとリリィーが戻って来るまでの間に朝ご飯でも……
「お待たせ致しました。
ただ今戻りました」
「……お帰り」
ま、まぁ、朝ご飯はこの後皆んなで食べる事にしよう。
「リリィー、もう大丈夫なの?」
「はい、ご心配をおかけしました」
大丈夫なら別に良いんだけど……後で一応しっかりと診療した方が良いかな?
復讐を手伝ってもらったけど、ガスターはリリィーにとっては実の兄。
今となっては唯一血の繋がりのある兄に対する復讐の手助けをする負担はやっぱり大きかっただろうし。
そのせいで体調を崩したり、倒れたりされたら何か悪いし、私としても後味が悪い。
「陛下?」
へ、陛下!!
何て素晴らしい響きっ!
うん、やっぱ後でこっそりと心身共に大丈夫かどうか診療するとしよう!!
「ん! 何でもない」
ふふ、陛下かぁ……他の皆んなは何故かお嬢様とか、姫様とかとしか呼んでくれないからもう諦めてたけど。
陛下……ふへへ……
「はっ!」
危ない、危ない。
私とした事がもうちょっとでだらし無く頬が緩んで崩れちゃうところだったわ!
ここはもっと陛下……大魔王陛下と呼ぶに相応しく、真剣でシリアスな空気を醸し出さないとな!
ゆったり足を組み替えて、優雅にティーカップを傾ける。
瞑っていた目をスッと開いて……ふっ決まった! 我ながら完璧だわ!!
「それで本題だけど、本当に良いの?」
「はい、もう決めた事ですので」
「わかった。
じゃあ当初の約束通り!」
そう! これはリリィーを説得する際に私が提示して、即決で了承された条件の一つ!!
つまり、これは断じて私が強要したわけではなくて、リリィー自身が納得した上での事っ!!
「リリィーの眷属化を開始する!」
事前調査でリリィーの存在を知った時から面白いと思ってたけど。
五大国が一角であるアクムス王国を鎧袖一触する
そして、それを本当に成してしまう意志の強さ!
臆する事も侮る事もなく真っ直ぐ見つめて来る、強い意志を感じさせるルビーのように赤く綺麗な瞳!!
ふっふっふ! グランの時にも言ったけど。
私は、欲しいモノは! 一度手に入れると決めたモノは例え何があっても、ありとあらゆる手を使ってでも手に入れるのだっ!!
『悪魔ちゃん……こうなる事を最初からわかってた事を自白しちゃってるよ?』
……う、煩いわ!
だって仲間にしたいって思っちゃったんだもん! 仕方ないじゃんかっ!!
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