第109話 さぁ、魔国の名を知らしめよう
「ふぁ……」
眠い。
めちゃくちゃ眠い。
ベッドに入ったら3秒で寝れると断言できるほどに眠い。
「レフィー様、眠たそうですね」
「ココアをご用意致しましょうか?」
「ん、お願い」
ココアにはカフェインが入ってるらしいしミーシャの提案は非常にありがたい。
ありがたいんだけど……ミリアと2人して頭を撫でないで欲しい。
いや、別に嫌じゃ無いけど。
むしろ気持ち良いくらいだけど。
ただでさえ眠いのに、頭を撫でられたら余計に睡魔が!
てか、ミーシャとミリアに加えてシルヴィアもだけど、事あるごとに頭を撫でるのはやめて欲しい。
いつもめっちゃ自然な感じで撫でられるけど、流石にちょっと恥ずかしいし。
でも……この前ちょっとだけシルヴィアにやめて欲しい事を匂わしたら、めっちゃ悲しそうな顔をされたしなぁ
う〜ん、まぁ流石に人前ではシルヴィア達も撫でて来ないし、別にいいか。
「お待たせしました。
アイスココアをご用意しましたよ!」
「ありがと」
程よく冷えていて美味しい。
流石は氷属性を司る大精霊たる氷魔猫! 完璧な温度調整っ!!
『正真正銘、氷結系の魔物で最上位。
伝説に語られる雪猫の上位種である氷魔猫の力をココアの温度調整に使うのは世界中を探しても悪魔ちゃんくらいだよ』
え、何言ってんの?
ココアの温度調整に力を使ったのは私じゃ無くてミーシャのなんだけど……
『いや、まぁそうなんだけどね。
そう言う事じゃなくて……』
まっ、それだけ私が凄いって事だな!
「ミーシャ、おかわりが欲しい」
「ふふ、かしこまりました」
「じゃあ私はシルヴィア様とグランのお手伝い行ってきますね」
「いってらっしゃい」
ふぅ、危なかった。
あれ以上撫でられたら寝落ちしてたわ。
「よし!」
寝ちゃわないように気合を入れないと!
せっかく1週間前にセラフィル王子達をうっかり殺しかけちゃった事は何故か怒られなかったのに。
今寝落ちして予定を遅らせたら流石にマズイ。
しかも、その理由が昨日は珍しく今日の用意でいつもは護衛も兼ねて一緒に寝てるミーシャがいなかったから、すぐに寝ずに夜更かししてたから何て事がバレたら……
「絶対に寝るわけにはいかないっ!」
と、なるとだ。
うっかり寝落ちしちゃわないために、スイーツを食べて用意が終わるのを待つのは仕方ないよね?
じっとしてたら寝落ちしそうだったから手伝うって言ったのに、皆んな断固して許可してくれなかったし。
寝落ちしないためにスイーツを食べて優雅に時間を潰すのは仕方ない事だな、うん!
「ふふふ!」
こんな事もあろうかと、実は亜空間にスイーツを大量にストックしているのだ!
皆んなの準備が終わるまでミーシャと二人で優雅なアフタヌーンティー!!
「そうと決まれば、早速ミーシャに連絡してっと」
いざ! 至福のスイーツタイムっ!!
*
「じゃあ、いただきま……」
「お待たせ致しました。
恙無く準備が完了しました」
グランとミリアと一緒に転移して来たシルヴィアの言葉を受けて、固まっちゃった私は悪く無いと思う。
せっかく戻ってきたミーシャと一緒にテーブルをセッティングし終って、いざ食べようとしてたところだったのに……
「うぅ……」
またしても! またしてもスイーツタイムがっ!!
目の前に、すぐそこに光り輝くショートケーキがあるのに……!
「わかった」
仕方ない。
本当に! 本当に仕方ないけど……スイーツタイムはお預け。
我慢しないと……
「っ! レフィーお嬢様!!
スイーツを我慢するなんて、偉いですっ!!」
「流石はご主人様です!」
「よく頑張りましたね。
これが終わったら好きなだけスイーツを食べましょう!」
偉い。
スイーツを我慢する私は偉い。
しかも、これを終わらせたら好きなだけスイーツを食べていい……
「ぐふふ……」
ふふふ、そうと決まったらとっとと終わらせないと!!
「お嬢様、準備はよろしいですか?」
この5年間で多少は人目に晒される事にも慣れて、今は人前でもそれなりに喋れるようにもなった私の威厳を見せてやろう!!
「うん、問題ない」
魔国……
「さぁ、始めようか。
アクムス王国に向けて出発!!」
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