第106話 さぁ、準備は整った!
リーナとミーナにしっかりと髪を整えられて寝癖も綺麗に治ったし。
二度寝への未練も断ち切って完全に目も覚めて、服装も華麗でありながらカッコよくてバッチリ。
よし、完璧だな……では!
「こほん……」
いざ行かんっ!
リーナとミーナ、若くして高位の吸血鬼たる2人を引き連れて扉を押し開く。
これは絶対に失敗する事は許されない超高難易度任務。
ガッツリ寝坊した上に、二度寝しようとして何て事は絶対に……何があっても皆んなに知られるわけにはいかない。
バレたら確実に怒られ……じゃ無くて、私の名誉のためにっ!!
「皆んな、おはよう」
よし,我ながら完璧なキリッとした凛々しい態度。
流石にここまで堂々としてれば、まさか大寝坊した上に二度寝しようとしてたなんて思わないよね……?
うん、思わない。
何たって私はこの終焉の大地を支配する大陸統一国家
若干……かなり恥ずかしいけど大魔王の名を欲しいままにする私がそんな杜撰なんて思うハズがない。
はい、誤魔化せた!
リーナとミーナは買収……こほん、説得済だしミッションコンプリート!!
「おはようございます、レフィー様」
「さぁ、お嬢様。
こちらへ、御朝食の準備が整っております」
「ん」
ミリアとグランの目がやけに生暖かい気がするけど……まぁいいや。
ふふふ、そんな事より自分の威厳と演技の才能が恐ろしいわ。
「ご主人様、ココアです」
「ありがと」
椅子に腰掛け、足を組んで前方一面の窓から覗く
ふっ、これぞ優雅な大人の朝。
『ティーカップの中はココアだけどね』
……でも、やっぱり外の景色が見えるようにして正解だったな。
空間干渉魔法のおかげで地下迷宮内にある我が家のリビングから好きな場所を任意で見る事ができるから結構便利だし。
5年。
この国を建国して、首都を造り上げてから5年が経った。
聞くも涙、語るも涙な思い出が……そんなに無いな。
と言うか殆ど、一切思いつかない……とにかく! 長いようで短い月日が……
『あはは、何良い事言おうとしてるの?
ぷっ、あはは! 悪魔ちゃんの全く似合ってないよ!』
……こ、このクソ邪神めっ!
いいじゃん! 私だって偶には感情に浸って、渋い大人を演出してもいいじゃんか!!
と言うか、マジでやめて欲しいんですけど。
今この場にいる全員がお前の声が聞こえてるから、私が感傷に浸ってた事もバレちゃうから!!
「ご主人様、ココアのおかわりは如何ですか?」
「ん、ありがと」
程よい甘さが口の中に広がって美味しい。
朝ご飯の分厚くてふわっふわなパンケーキとも相性抜群!
「ふぅ」
落ち着くわ。
とりあえず、邪神の戯言はサラッと無視して……ボタンは無いけど、大切なのはイメージ!
てな訳で、はいポチッとな。
ボタンを押す感覚で指を弾くと同時に窓に映る光景が切り替わる。
首都フィーレに変わって映し出されるのは、大陸の四方に存在する四大都市。
戦闘や実戦と言った武力に特化した竜都ドラグニア。
魔導化学や魔法などの研究に特化した血都ヨル。
建築や工業と言った技術に特化した鬼都ヴィ・ゴーレ。
魔導の深淵を追い求める、血都よりも更に魔法に特化した死都モールデス。
そして総合的な首都フィーレ。
当初の構想通り、基礎的な知識・技術は首都フィーレで学び、それぞれに特化した進路に進むと言う仕組みは軌道に乗った。
首都と四大都市にはゲームみたいな
それ以外の街や町とかには大陸全土に敷設した魔導鉄道網を構築した。
戦備……魔導戦艦や飛行船も開発できたし。
竜種を中心とする竜牙。
吸血鬼を中心とする血鬼。
不死者を中心とする不死。
鬼人を中心とする鬼兵。
この四大軍団の他にも知恵のある高位の魔物で構成された魔獣軍団に、全ての軍団の中でも高位の実力者のみが所属できる近衛師団。
更には! 眷属たる皆んなの直属部隊に、私の直属部隊である悪魔軍!!
この5年で国力は十分に満足できる水準まで達した!
既にシルヴィアが先行して外界……人間達への接触を試みてるし。
「ふふ、準備は整った」
原初の悪魔として。
魔神たる超越者として。
大魔王として恥じない力は身に付けた!
「さぁ、復讐を始めよう」
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