第6章 魔国進出編

第105話 恐ろしい一族めっ!

「んぅ……」


 うん、起きた。

 実に爽快な目覚め! こんなにもスッキリした目覚めは昨日ぶり!

 うん、割と毎日ぐっすり寝てるわ。


「水、水」


 とりあえず、冷蔵庫で程よく冷えた水を飲んで喉を潤して……


「ふぅ」


 美味しぃ〜!

 流石は我がダンジョン、魔神の試練内に充満する濃密な魔素を多分に含んだ水!!


 邪神やファルニクス曰く。

 この水をコップ一杯飲むだけで並の人間なら魔力を全回復するだけの最高位アイテムらしいけど……うん、まぁ気にしたら負けだ。


「ふぁ〜……さてと」


 華麗に二度寝と洒落込むとしよう。

 朝起きたら乾いた喉を潤して二度寝する。

 これぞ至福! 惰眠を貪る怠惰な時間っ!!


 いつもだったらこの至福の時間を阻止しようとする宿敵。

 この世界に降臨した大いなる大悪魔シルヴィアとの神聖な攻防戦が開始するんだけど……


 ふ、ふふふ、ふはっはっは!!

 かの破壊神! 我が惰眠を邪魔する保護者は今ここには居ない!

 我が大いなる眠りを邪魔する者は誰もいないっ!!



 コン、コン



「……」


 い、いや、そんなハズ無い。

 聞き間違い、そう! 今鳴り響いたノックはただの聞き間違い! 空耳!!

 という訳で、気を取り直して布団の中に……



 バンっ!



「失礼いたします」


「お嬢様、朝でございますよ!」


「……」


 ま、まずい。

 ベッドに入って、お布団に潜り込もうとしてたのに、ガッツリ目が合っちゃった……


 お、落ち着くんだ私!

 扉を開けて入って来たのはかの破壊神シルヴィア保護者じゃない。

 ここはとりあえず自然に視線を逸らして……


「あっ! ダメですよ!!」


「ミーナ! お嬢様の二度寝を阻止しますよ!!」


 ふっ! 破壊神シルヴィアじゃ無いのであれば恐るるに足らず!!

 小さき吸血鬼の双子姉妹、リーナとミーナよ!

 我が大いなる眠りを阻止できるものならしてみるが良いわ!!


「ふふふ、2人には我が結界は破れない!」


 ふっ、決まった。

 まぁ、セシリアの娘でシルヴィアの弟子。

 私のお世話係メイドでもある2人には申し訳ないけど……ふふふ、私は怠惰の悪魔!

 ゆっくりと惰眠を貪……


「確かに私とミーナにはお嬢様の結界を破る事はできません。

 ですが、よろしいのですか?」


「私達はシルヴィア様がご不在の間のお嬢様のお世話をシルヴィア様から直々に任されています。

 つまり、私達が何かミスを……例えばお嬢様をお起こしする事ができなかったりすると、後でシルヴィア様のお耳に入る事になるのです」


「ぇ……」


 や、やばい、これは非常にやばいっ!

 もしだ、もし仮にここで二度寝を決め込んで、後でその事がシルヴィアにバレたりなんてしたら……


「「シルヴィア様に怒られる事になってもよろしいのですか?」」


「ぅ……良くない」


 仕方ない、二度寝は諦めざる得ないか。

 まぁ、元々今日は予定が入ってたし。

 別にシルヴィアに怒られるのが怖いとかでは断じてないけど、ここは大人の対応で素直に起きよう。


『あはは、この2人も悪魔ちゃんの扱い方が上手くなってきたね。

 見た目は悪魔ちゃんと殆ど変わらないのに……女子高生にお世話されてる子供にしか見えないよ』


 な、なんだと……!?

 た、確かにリーナとミーナよりもちょっと、ほんのちょっとだけ身長が低いけど!


 くっ、第一回魔国会議から約半年後。

 初めて2人に会った5年前はまだ10歳の女の子で、私よりも小さくて可愛かったのにっ!!


 今となっては私よりもちょっとだけ、ほんのちょっぴりだけとは言え身長も高いし。

 何より……


「お嬢様、早く朝の支度を致しましょう」


「今日は竜神様とのお約束があるのですよね?」


 くっ! 悔しいけど私とは比較にもならない戦闘力!!

 私は5年前から一切成長してないのに、この2人のおっぱいは……流石はセシリアの娘、恐ろしい一族めっ!

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