第98話 保護者には逆らえない
「う〜ん、ここはこうやって……」
「お嬢様」
「こっちは……」
ふふふ、いい感じ!
後もうちょっと……
「レフィーお嬢様!!」
「わっ!?」
あー、ビックリした。
至近距離でいきなり大声出されたからドキッてしたわ! 心臓がめっちゃバクバクしてる!!
「ふぅ……」
一瞬心臓が止まったかと思ったわ。
まぁ、止まっても何も問題ないけど……
「あれ? シルヴィア……それに皆んなも」
何故ここに? 住人を募集するために四方に散ったハズでは??
「あぁ、助かりました。
レフィーさん、私が何を言っても一切反応してくれなくて途方に暮れていたんですよ」
「……」
特に話しかけられた記憶は無いんだけど……まぁいいや。
そんな事より、シルヴィア達はどうしたんだろう? 忘れ物かな?
「レフィーお嬢様……」
「ん?」
あれ? 気のせいかな?
何かシルヴィアが若干呆れたような雰囲気を醸し出して、残念な子を見るような目られてたような気がするんだけど……
「よく周りを見て下さい」
周り……?
ふむ、我ながら素晴らしい街並み!
まだ完成はしてないけど9割方はできてるし、丁度いいから皆んなに自慢を……
「あれ……?」
そう言えば、辺りは真っ暗。
空には綺麗なお月様。
うん、何処からどう見ても夜だわこれ。
おかしい、さっきまで昼だったのに……まぁでも、ここは終焉の大地。
いきなり夜になっても不思議じゃない……のかな?
『いや、普通にあり得ないからね』
「む」
なら何で突然夜に……?
「はぁ、グラン」
「御夕食の準備をしてまいります」
「頼みます。
ミーシャとミリアはレフィーお嬢様の湯浴みの準備を」
「了解しました!」
「お任せ下さい!」
シルヴィアの指示を受けて、そう答えるや否やグラン達3人の姿が掻き消える。
流石に一切の無駄がない転移……じゃなくて! むぅ、まだこの自信作を自慢してないのに……
「さて、レフィーお嬢様。
まずはお部屋に戻ってお着替えいたしましょう」
「着替え?」
別にそれはいいけど。
それならもうちょっとで完成するから、先に首都を完成させて……
「さぁ、参りましょう」
「あっ……むぅ、降ろして。
もうちょっとで終わるから」
「ダメです。
ご食事と休憩をしっかりとお取りして下さいと言う私の言葉も時間も忘れて熱中していらしたようですし。
こう言う時のレフィーお嬢様のもうちょっとは信用できません」
「……うそ」
「はぁ、本当です。
レフィーお嬢様は一日中このソファーにお座りになって街の設計と建造に夢中になっておられたのです」
「何度も声はかけたのですが……力及ばず、申し訳ありません」
「いえ、ファルニクス様が謝罪なさる必要はありません。
レフィーお嬢様は昔から一度熱中すると周りが見えなくなるのです」
む、失礼な!
確かに公爵令嬢だった時も、地球で生きてた時も何かにハマったら結構集中するタイプだったのは認めるけど……
「そこまで酷くない」
『「「酷いです」」』
「むぅ〜!」
解せん! 非常に解せない!!
「とにかく、レフィーお嬢様は一度休憩さなって下さい。
お嬢様が造り上げられた首都や、我々の結果報告などはその後です。
いいですね?」
「……はい」
シルヴィアにイイ笑顔でニッコリ微笑まれて頷いてしまったのは仕方ないと思う。
断じて! 断じて、熱中して周囲の事が何も見えなくなる事は認めないけど……
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