第95話 第二目標!!

「むふふ〜」


 流石はシルヴィアが作った特製ケーキ!

 あぁ〜幸せ! 自然と頬が緩んじゃうわ〜!!


「はっ!」


 危ない、危ない。

 シルヴィアに連れられて部屋からは出たけど、それは断じてスイーツやご馳走につられた訳ではない!


 仕方なく!

 本当に仕方なく部屋を出たのは、勇者共への復讐と安住の地である魔国を発展させるため! それに……


「んっ! んん〜っ!!」


 こっちも美味しいっ!!

 ま、まぁ部屋からは出たからには当然スイーツは堪能するけど。

 とにかく! 私はまだ現在進行形で怒っているのだ!!


 その事をしっかりとアピールするためにも、ここは努めて毅然とした振る舞いをしなければ!

 けど……そうは思っていたとしても! この甘味に頬が自然と緩んじゃう〜!!


 くっ! 表情筋が殆ど死滅して無表情には定評があるこの私のポーカーフェイスを容易く撃ち破るとは!!

 確かにこの1週間、部屋に引き篭もってスイーツ類を一切口にして無かったけど……スイーツ、恐るべき魅惑の存在っ!!


 しかし、しかしだ!

 ここで心底嬉しそうにスイーツを食べたりなんかすれば……私がこの程度で簡単に機嫌を直すような単純なお子様だと……


 それどころか! スイーツが食べれなかった程度で1週間も拗ねて部屋に引き篭もる程に食い意地が張っていると思われかねない!!


『思われかねないも何も、全くもってその通りでしょう?』


 だ、だまらっしゃい!

 確かにそれもちょっとはあったかもしれないけど……とにかく!

 これだけは何としても回避しなければ! 私の名誉のためにっ!!


「こほん、私の目標は勇者共への復讐もだけど、最終的な目的は平穏な……好きな事をして暮らす事。

 魔国の発展はその基盤作り」


 ふっ、どうよ? 完璧に真剣な雰囲気を醸し出してるわ!


『手は変わらずに動いてるけどね』


 いちいち煩い!

 目の前にスイーツがあるのに無視なんてできるわけないじゃんか!!

 これは不可抗力なのだよ。


「この前、皆んなには魔導化学の知識を共有したと思うけど」


「すみません」


「はい、ファルニクス」


 おっ、なんか今私、先生みたいじゃなかった?

 ふふふ、何かちょっと気分いいわ! さぁ、何でもこのレフィー先生に聞くがいい!!


「その魔導化学とは何でしょうか?」


 そう言えばファルニクスにはまだ教えてなかったか。


「今教える」


 脳内にある魔導化学についての知識を一つにまとめてっと……


「付与者」


「っ! これは……」


「知識、記憶の他者への付与」


 ふっふっふ! 私にかかればこの程度児戯に等しい。

 イージーだわ! まぁ、やってる事はただのコピペみたいなもんだけど。

 とりあえず詳しい説明は後でするとして……


「まずはライフラインを中心とした生活水準の向上。

 次に大陸全土への鉄道の敷設、そして軍備……戦艦と飛行船の造船」


 そして、外界への進出。

 第一目標である大陸の統一は半年程度で達成したけど。

 第二目標たる国力の発展は、魔導化学っていう初めての試みを試さないとダメだし……


「早くて5年、長くても10年。

 これで国力を高めて外界へと進出する!」

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