第65話 VS竜王 決着

「竜王グラン、何処へ行く?

 もう勝ったつもりか?」


「馬鹿な……」


 むふふ! いいね、いいね!

 グランも含めて、さっき邪魔してくれたモブ君達も驚いてくれたようだ。


 邪魔されたせいで、回避もできずに上半身を消し飛ばされちゃったし。

 どうせやられるなら、わりい おれ死んだって言いたかったけど……この間抜けな顔を見れば溜飲も下がるわ!


「貴殿は今し方、我のブレスを受けて死んだハズ……」


 きたっ!


「最初に言ったハズ。

 このダンジョン内において、私が死ぬ事は有り得ない」


 決まったぁー!!

 ふっふっふ〜! そう、このダンジョン内で私が死ぬ事は絶対に有り得ないっ!!


 そもそも悪魔とは精神生命体であり、肉体に縛られないから寿命もなく基本的に死ぬ事もない。

 受肉してる肉体を破壊されようがそれは同じ。


 まぁ肉体を破壊される程のダメージを受ければ、当然弱体化はする。

 だから魔力を用いて再び肉体を作り出すのに時間はかかるだろうけど、それだけだ。


 そして! 私の場合はダンジョンと言う名のエネルギーの貯蔵庫が存在するのだ!!

 それに加えて魔素エネルギーを捕食し自身のエネルギー源とへ変換できる暴食者グラトニーの権能があれば……


 ダンジョンに蓄積されてるエネルギーを捕食して瞬時に肉体を作り出す事が可能となるっ!!

 そんな訳で瞬時に復活したわけだけど……


暴風轟雷テンペスト


 上位属性である暴風と轟雷の複合魔法。

 広範囲に幾多もの竜巻が巻き起こり、途切れる事なく黒雷が地面へと降り注ぐ。


 四魔王最強と名高い竜王グランとその側近達を翻弄。

 上空にて天使の翼を真っ黒に染め上げたような漆黒の翼を広げて、その様子を静かに見下ろす……ヤバイ! 我ながらめっちゃカッコいいわっ!!


「凍りつけ……白銀世界シルバー


 荒れ狂う幾多もの竜巻が一瞬にして凍り付き。

 ボス部屋内部が激しい嵐から、静寂が支配する銀世界へと切り替わる。


「さてと」


 竜巻もろとも凍らせたけど……



 ピシッ……



 やっぱり流石にこの程度で封じるのは無理か。

 まぁグランはともかく、これで側近どもの動きは封じた!

 ふっふっふ、同じミスはしないのだっ!!


「クックック、クハッハッハッ! 面白い、面白いぞ!!

 半身を失ったハズの貴殿が、何故五体満足で生きておるのかはわからんが。

 今度は誰にも邪魔はさせん! 今一度、心ゆくまで殺り合おうではないかっ!!」


 グランが地面を蹴り上げると同時に、足場となっていた氷柱が砕け散る。

 確かに速いけど、真っ直ぐな切迫なんて……思考加速も森羅万象もフル稼働してる今の私には通用しないっ!!


「っ!」


 迎え撃とうと迎撃に意識を向け……グランの姿がかき消え、足を振り上げた状態で背後に現れる。


「落ちろっ!!」


 翼で全身を包み込んだ瞬間……到来する凄まじい衝撃。

 グランめ……こんな幼気な美少女の顔に傷を付けるどころか、上半身を消し飛ばし。


 挙げ句の果てには思いっきり踵落としを叩き込むなんて……この鬼畜畜生めっ!!

 踵落としも、地面に叩き付けられた衝撃も、咄嗟に翼でガードしなかったら地面のシミになってたよマジで!?


「バレット」


 さぁ、お返しだ。

 叩き付けられたまま地面に寝転び、上空に向けて腕を掲げて……はい! バレット乱射っ!!


「遅い!」


 チィッ、小癪なっ!

 けど避けられる事は想定済み。

 と言うか、避けられる事が前提だから速度はそんなに出してねぇんだよバカめ!!


「っ、これはっ!?」


 バレットを使って作り上げた五重積層魔法陣!


「お前も落ちろ、グラビティ」


「ぐっ……!!」


 いくら竜鱗があろうが関係ないっ!!

 4乗に強化された重力魔法の超重力圏からはそう簡単には逃げられない。


「潰れ…… っ!」


 まさか一瞬で魔法陣が吹き飛ばされるとは……


「この古竜王グランをナメるなよ?」


 人間の姿よりも本来のドラゴンの姿に戻った方が強いってか?

 むぅ〜! 悔しいけど、やっぱりカッコいいっ!!


「さぁ、今度は邪魔は無い。

 我が最強の一撃の前に敗れ去れ!!」


 言わせておけば!


「魔刀・虚無ノ太刀」


 さっきは邪魔されたけど、今度こそ斬り裂いてやるわ!!


「喰らえ! 古竜王ノ咆哮ノヴァっ!!」


「断魔一閃」


 全てを破壊し尽くす白き閃光を漆黒の斬撃が迎え撃ち……一瞬の拮抗の後、白き閃光が2つに割れた。

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