第54話 VS死王
「図に乗るなよ小娘。
たかだが兵士共と分断した程度でもうこの死王ゲヘディに勝ったつもりか?」
いやいや、そんな訳ないでしょ。
確かに鬱陶しい程に膨大な一兵卒達とは分断したとは言え、現状は多勢に無勢だし。
それに、ここに集まっていたのはゲヘディの勢力の中でも頂点に君臨する強者達。
ぶっちゃけ、周囲と分断したところで戦力的な観点で言うと確かにそんなに意味はない。
「クックック、笑止千万! 我が魔導の前に跪くが良い!!」
だがしかし!
外部と分断すると言う事はあの大軍勢に見られなくて済むと言う事!
ハッキリ言ってミーシャとシルヴィアに頼んで隔離してもらったのはそのためなんだけど。
まぁ別に何か別に良いか。
得意げに笑ってらっしゃるし、魔導の真髄とやらを見せてくれるのならそれで良い。
「ライトニング」
スッと向けられたゲヘディの指先から青白い閃光が迸り、空気を切り裂くような音が鳴り響く。
「ほう、今のを躱すか。
クックック、面白い! いつまで躱し続けられるか見てやろう!!」
ライトニング、上位属性である雷属性魔法の1つか。
雷属性の中では初歩的な攻撃魔法だけど……流石は魔王が一柱。
我が祖国、大国と呼ばれるアルタイル王国でも雷属性魔法を使えるのは数名のみだったのに当たり前のように使ってくる。
しかも、この連射速度に一発一発のこの威力。
クソ勇者と一緒に魔王を討伐した勇者パーティーの一角たる大賢者でも不可能な芸当じゃん!
「よく避けたが……終わりだ」
「コレは……」
「やっと気づいたか?
クックック、我は無意味にライトニングを放っていた訳では無い。
貴様に攻撃を加えながらコレを描いていたのだ」
突如として頭上に現れた巨大な魔法陣。
放ったライトニングで魔法陣を描きあげるなんて……
「死ね、インフェルノ!」
インフェルノっ!!
かつて幾多もの国を滅した邪竜諸共、その邪竜が寝床としていた山を丸々一つ消滅させたとされる神話に語られる超高域殲滅魔法。
まさかここまでとは……
「けど……」
巨大な魔法陣が光り輝き、まさしく地獄の門を開いたかのように灼熱の炎が吹き荒れる。
「クックック! 灰すら残らずに消え去るがいい!!」
それはまさしく地上に現れた小さな太陽。
全てを破壊し、焼き尽くして無に還す圧倒的な熱量が解放されようとして……
「消えろ」
一瞬にして消え去った。
「なっ!?」
この程度か。
確かに予想以上に凄かったけど、想定は超えてない。
ぶっちゃけシルヴィアの方が遥かに凄まじいと思う。
「そんなバカなっ!?
貴様! 一体何をしたっ!?」
何をしたか。
答えは簡単、ゲヘディの放ったインフェルノを無かった事にしただけ。
「私に魔法は効かない」
まぁウソだけど。
私と同等か、それ以上に魔力の扱いに長けていたら干渉できないし。
シルヴィアと魔法のみで戦ったら多分負ける。
そもそも、ゲヘディって私と……と言うより悪魔と相性が悪すぎる。
いくらゲヘディが魔法に特化していて大賢者を遥かに凌ぐ強者であっても、悪魔には及ばない。
魔法的な防御が一切無い脳筋ヴィゴーレ。
完全魔法特化のゲヘディ。
四魔王の内この2人については、ぶっちゃけ負ける要素がどこにも無い。
「さてと、お仲間もシルヴィアとミーシャにやられたようだし」
「何だとっ!? っ!!」
あれ? 仲間がやられた事に気付いて無かったのね。
まぁ、幾ら他の兵士達とは一線を画する上位魔人とは言え、シルヴィアとミーシャが相手じゃあね。
「こっちもそろそろ終わりにしよう」
「っ! 最上位アンデット作成!
おぉ! 趣味の悪いこの建物に使われてた骨が巨大なドラゴンになった!!
「クックック、我がユニークスキル不死者の権能によって創造した最上位のアンデットだ!
かつてこの地に君臨した竜王のみ死体をベースに……」
長々と説明ご苦労様です。
「朽ちろ」
はい、コレで骨のドラゴンさんは土へと帰りましたとさ。
「な、何なんだ……何なんだ貴様は?」
何なんだって、降伏勧告の時も言ったハズなんだけど……まぁ良いか。
「ふふ、私はレフィー。
原初の悪魔だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます