第55話 しねぇのかよっ!!
「ふぃ〜疲れた」
ビバ! 愛しの我がベッドよ!!
「お疲れ様です、レフィーお嬢様。
しかし、事ある毎にベッドにダイブするのは淑女として如何なものかと」
「「っ!?」」
ま、まさか! シルヴィアが!?
ビックリしたぁ、心臓がドキってしたよマジで。
ミーシャもネコ耳をピーンって立ててシルヴィアを見つめてるし……とにかくっ!!
「シルヴィアが……シルヴィアがまともな事を言ってるっ!?」
「まさかシルヴィア様がご主人様に苦言を呈する時が来るなんて……!」
本当! マジでミーシャに共感ですっ!
何と言っても悪魔になって人間だった頃よりも欲望に忠実になったシルヴィアは……ねぇ?
確かに仕事ができて美人だしスタイルもいい。
完璧なメイド! 従者の鏡にして最高の侍女……って、あれ? 趣旨がズレてるような気が……
まぁとにかく! ここ最近のシルヴィアは変態で残念な感じだったのにっ!!
「……お2人は私を何だと思っているんですか?」
「「っ!!」」
こ、コレは……シルヴィアのこの貼り付けたような微笑みはっ!
『うわぁ、コレは完全にキレてるね』
やっぱり!!
「精神的に傷付いたレフィーお嬢様のために。
クズ共に受けた仕打ちによって心身共に傷付いたレフィーお嬢様のお心が少しでも軽くなるならと思い、多少の事には目を瞑って参りましたが……」
「シ、シルヴィア! あの……」
「ふふふ、申し訳ございません。
要らぬ心配だったようですね」
ヤバイヤバイヤバイ! これはかなりヤバイ!
微笑みを浮かべてるハズなのに、表情にも声音にも温かみが含まれてないっ!!
「これからは僭越ながら私が、今は亡き奥様に代わって今一度レフィーお嬢様を立派な淑女にしてみせましょう」
「ヒィッ……」
そうだった。
かつてクソ勇者の婚約者になったばかりの頃……
お兄様と一緒に外で……と言ってもお屋敷のお庭だけど、とにかく走り回って遊ぶのが大好きだった。
まだまだ5歳とかだったし。
元気なのは良い事として、お父様にもお母様にも外で遊ぶ事は止められなかった。
とは言え、それは淑女とはとても言えないお転婆娘だった訳で。
王子の婚約者として相応しい礼儀作法を身につけるため、急遽開始されたお母様や専属メイドで姉みたいな存在だったシルヴィアによる淑女教育!!
ぶっちゃけ、おっとりしたお母様よりも当時から完璧な侍女だったシルヴィアの方が遥かに怖かった。
おかげで社交界では淑女の鏡とか言われたけど……
あの淑女教育で何回シルヴィアに怒られ、苦言を呈され、泣かされたかわからない……
「あ、あの……その」
悪魔に転生してからのシルヴィアがアレ過ぎてスッカリ失念してたけど……シルヴィアは本来めっちゃ厳しいんだったっ!!
「ごめんなさい」
「……はぁ、仕方ありませんね。
そんな泣きそうなお顔をしないで下さい。
もう怒っていませんから」
「怒ってない?」
「はい、死王と戦いで頑張られたレフィーお嬢様にご褒美です。
ご覧下さい、レフィーお嬢様がお好きなスイーツをご用意しましたよ」
こ、コレはっ!!
スイーツパラダイスだとっ!?
「シルヴィア大好きっ!」
もう抱き付いちゃいます!!
「もうレフィーお嬢様、お行儀が悪いですよ……ぐふふ……」
確かに怒ったらちょっと怖いけど、やっぱりシルヴィアは優しいわ!
『悪魔ちゃんの反応を見て楽しんでるね。
今も萌えに悶えそうになってるし……』
「まぁ、シルヴィア様ですからね」
「何か言いましたか?」
「『いえ、何も』」
ん? スイーツの天国を見つめるのに夢中になり過ぎて何の話か聞いてなかったわ。
けどまぁ、重要な話なら教えてくれるだろうし。
今はそれよりも早速スイーツを、といきたいところだけど……
「よし」
幸いまだ時間は十分にあるし、スイーツパラダイスは後にして。
まずはゲヘディの魂を食べないと。
「ふふふ」
もうスイーツタイムを邪魔されるのはうんざりだ! ゲヘディの魂はそのまま食べるっ!
そしてその後でゆっくりと心ゆくまでスイーツを食すっ!
ふっふっふ、もう誰にも私のスイーツタイムは邪魔させない!!
「と言う訳で……頂きます!」
もぐもぐ……ふむ、流石は魔王。
手を加えてない
自他共に認めるグルメである私の舌を唸らせるとは……!
やっぱり進化する可能性がある最上級の魂はスイーツにしないで食べるべきだわ。
「ご馳走様でした」
さぁ、我が
「……」
あれ? おかしいな。
天の声さんが聞こえないんですけど……
「進化しませんね」
「そうですね」
「……」
いや、進化しねぇのかよっ!!
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