第49話 まさか……このデジャブはっ!?

 ふっ、決まった。

 やっぱ、これだけは言っとかないと!


「レフィーお嬢様、お疲れ様でした。

 四魔王が一柱を相手に圧倒するお姿!

 そして何より、冷たい面持ちで死ねと告げるレフィーお嬢様のお姿にシルヴィアはもう胸の高まりが止まりません!!

 あぁっメイド服の下が大変な事に……ぐへへ!」


「……」


 シルヴィア……本当にこれだけ無ければ美人で仕事もできる完璧なメイドなのに……


「ご主人様、お疲れ様です。

 四魔王が一角、鬼王ヴィゴーレをこうも容易く始末なされるなんて流石はご主人様です!」


「ありがとう」


 ミーシャの尻尾が嬉しそうに揺れているっ!!

 ミーシャはイヌ科じゃなくてネコ科なハズなんだけど……まぁ、細かい事はどうでもいい!


 モフりたい。

 めちゃくちゃモフりたいけど……流石に四方八方を敵軍に囲まれたこの状況でミーシャの尻尾に抱き付く訳にもいかないぃ!

 うぅ、何という生殺しっ!!


「作戦の第一段階はクリアしましたし、帰って休憩に致しましょう」


 帰って休憩。

 イコール、敵がいない場所。

 イコール、ミーシャの尻尾を思う存分モフれる!!


「うんっ!」


 よし、帰ろう!

 今すぐ帰ろう!!

 っと、その前に……


「シルヴィア」


「はっ!? 申し訳ございません、妄想に浸っておりました」


「う、うん」


 すました顔で何言ってんの。

 見た目は凛としたクールビューティーなのに普通に、言ってる内容がちょっと……ねぇ?

 まぁ、最近ではそれでこそシルヴィアって気がして来たけど……


「さて、行こうか」


 本当はすぐにでも帰って存分にミーシャのモフモフを堪能したい所だけど。

 流石に無言で帰る訳にいかないし。

 帰る前に挨拶ついでにちょっと焚き付けてやらないと。


「ふぅ……よし。

 シルヴィア」


「かしこまりました」


 黒鳴によって形成されたクレーターから景色が切り替わり、目の前に広がる大軍勢。

 うん、やっぱり胃が痛いな。


 けど注目を集める為には包囲の中心部になってるダンジョンの上空が一番だし。

 仕方ない。

 これもモフモフを堪能するため! モフモフ天国が私を待っているっ!!


「こほん、我らに敵対する者達よ。

 私達に敵対すると言う事の愚かさお前達に教えてやろう」


 よしよし、かなり動揺してるな。

 まぁ、当然か。

 いくら強者たる魔人の軍勢であっても、統率者の一角が崩れた事を知れば士気の低下は免れないだろうし。


「四魔王が一柱、鬼王ヴィゴーレは私が始末した。

 残る3名の魔王に告げる……降伏せよ。

 降伏して服従し、我らの仲間となるのならばその勢力は助けよう。

 しかし尚も私達に敵対するのならば……コイツと同じ運命を辿る事になるだろう」


 さてさて、残りの三魔王はどう出るか。

 本当に降伏して仲間になってくれれば嬉しいんだけどなぁ……


「猶予は1日。

 降伏するのならば、今から24時間以内に我らの拠点に赴きその主旨を伝えよ。

 三魔王よ、貴殿らの賢い選択を期待する」


 ……


「ふぃ〜」


 あぁ、緊張した!

 言う事を言って転移で帰還。

 当初の予定通りだけど……とりあえず、会いたかったよ我が私のベッドちゃんっ!!

 そして……


「モフモフっ!!」


 我が至高の癒しよ!!


「むふふ! もふ、もふ」


「ふふふ、仕方ありませんね」


 なんかちょっと子供扱いされてる気がしないでも無いけど……我満足なり!

 ふわふわなベッドでモフモフなミーシャの尻尾をモフる。

 これぞ、至極の時間っ!!


「レフィーお嬢様。

 完成いたしましたよ」


「っ!」


「ふふ、さぁご覧あれ!」


「おぉっ!!」


 う、美しぃっ!

 流石はシルヴィア、もうパティシエとして生計立てれる気がするわ。


「鬼王ヴィゴーレの魂を用いた特製パンケーキです!!

 どうぞ、ご賞味下さいませ」


「うん!」


 むふふ、では早速!!


「んっ! んぅー!!」


 めっちゃ美味しい!

 頬っぺたが落ちるとはまさにこの事っ!!

 モフモフを堪能して、このパンケーキを食べれるだけで頑張って軍勢の前で演説した甲斐があったわ!


 ……あれ?

 何だろうこの感じ。

 何故かちょっと既視感が……ま、まさか! まさかこのデジャブはっ!?


『ぴろん!

 対象の総魔素エネルギー量が限界を突破しました!

 これより、対象の進化が開始されます』

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