第43話 スパンは半年から1年ほど
決まった。
これ以上なく完璧に決まった。
うん、もう満足だわ。
お腹も膨れたし、モフモフも堪能できた! 今日はもうベッドの上で自堕落に過ごそう!!
「あ、あの、ご主人様?
大陸を統一なさるのでは??」
「レフィーお嬢様。
お嬢様にお仕えして長い私はともかく、ミーシャにはしっかりと説明をしてあげて下さいませ」
「あ、そうだった」
……確かに、作戦を言っただけで内容を一切説明してなかったわ。
いつもは作戦の概要を言うだけでシルヴィアが完璧に察してくれるから、すっかり忘れてた。
う〜ん、慣れって怖い!
「ミーシャ。
今は何もしないのが、確実かつ最善の策。
だから私達からは何もしない、OK?」
「レフィーお嬢様……そんな言葉足らずな説明でOKな訳がないではありませんか。
それでは結局、何もしないと言う事しかわかりませんよ」
酷い。
これでも結構頑張って喋った方なのに……けどまぁ、シルヴィアの言う通りだし仕方ないか。
とは言えだよ? これ以上喋るのはちょっと面倒、じゃなくて難しいんだよなぁ。
ぶっちゃけ、私のモチベーションはもうゴロゴロする事に向いているのだよ!!
「仕方ありませんね。
ミーシャ、お願いします」
「承知致しました」
2人のやり取りに首を傾げていると、不意にミーシャが淡い水色の光と共に消えてしまった……
「ミーシャ?」
「はい、ご主人様。
ミーシャはここにおります」
そんな声と共に、ぴょんっと私の膝に飛び乗ってきた真っ白な子ネコ。
こ、これはまさかっ! ちょこんと座って真っ直ぐに見上げてくる子ネコ!?
「か、かわゆい!」
これは堪りませんわ!
モフモフ動物耐性が皆無な私にこんな! もう悶絶しそうです、ありがとうございます!!
な、撫でても良いのかな?
落ち着け。
ゆっくりだ、ゆっくりと慎重に手を伸ばすんだ……!!
「みゃあ」
恐る恐る伸ばした手に自ら頭を擦り付けて来たっ!!
ネコ様! 子ネコ様! ミーシャ様っ!!
じゃ、じゃあ! 次はあれだ! 喉を撫でてゴロゴロってっ!!
「レフィーお嬢様、落ち着いて下さい」
「あぁ……」
ミーシャが……ミーシャがシルヴィアに取られてしまった。
私もまだ抱っこしてないのに!
この私を出し抜くなんて……シルヴィア、恐ろしい子!!
「これで緊張する事なく説明できるでしょう。
ご説明をお願いします」
そうだった。
私とした事が、ミーシャ子ネコVerを見て舞い上がってしまった。
「わかった……」
「如何なさいましたか?」
「あ、あの。
ミーシャを抱っこしてて良い?」
説明はする。
するけど、子ネコミーシャを抱っこもしたいんです。
お願いします!
「私で良ければ」
「かしこまりました」
やった! 人生初の子ネコ抱っこ!!
むふふ、自然と頬が緩んじゃうわ。
今なら長文でも喋る気がする!
「こほん、じゃあ説明する。
現状この大陸の四方に存在し、覇を競う4勢力は拮抗している。
だから、小競り合いはあっても本格的な衝突には発展してない」
ようは三竦みならぬ四竦みな状態な訳だ。
「そんな状況で、不可侵領域だった大陸中央部に入れるようになった事がわかったら?」
大陸の頂点を目指して覇を競っていながらも、互いに拮抗してるこの状況。
「当然、他の勢力から一歩リードするために是が非でもこの場所が欲しいはず」
しかも、今までは足を踏み入れる事ができなかった謎の場所。
「それに加えて、その場所を保有してるのはとるに足らない勢力である私達。
きっと我先にと敵が大挙して押し寄せる」
まぁ、エルダーリッチとかを始末してるから多少は警戒してるだろうけど。
ふふふ、のこのこと間抜けにやって来た時点で私の勝利は揺るがない。
この迷宮は最初は簡単に進めるけど、当然奥に行けば行くほどに迷路はより複雑になり難易度が上がる。
それに加えて定期的に迷路の通路が変わるし、3階層からは即死級の罠が至る所に仕掛けてある。
「定期的に通路が変わるから脱出する事もままならない。
この迷宮に足を踏み入れたら最後、死ぬまで彷徨う事になる」
しかも最下層までたどり着けたとしても……そこはただの行き止まり。
この迷宮は裏道を使わないと絶対に攻略できない構造になってるんだよね。
そして、敵が迷宮内で彷徨えばそれだけでDPが転がり込んでくる。
しかも、敵の数が多ければ多い程。
強ければ強い程に大量のDPが手に入る。
そんでもって、そのDPを使ってダンジョンを強化するから更に攻略が困難になると言う連鎖。
「ふふふ、無駄な努力をするバカ共を飼い殺しにして、私達がより強くなるための養分にしてくれる」
まぁ、それと同時に魂が食べたくなったら昨日までみたいに適当に獲物を狩るつもりだし。
「半年、長くても1年。
それで4勢力を潰して、この大陸を統一する」
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