第13話 転生先はチートだった
『うわぁ、今鳥肌が立った。
悪魔ちゃん、凄く邪悪な笑顔になってるよ』
「あぁ! なんて凛々しくて、ご立派なお姿!!
ゾクゾクして、濡れてしまいそうですっ!!」
邪神はもうこの際どうでもいい。
ぶっちゃけ、もう慣れた。
けど……シルヴィアさん、ちょっと怖いんですけど……
ご丁寧にクッション性能が素晴らしいソファーに、移動させてくれた事はありがたいけど。
頬を紅潮させて、恍惚とした表情で内股になってクネクネするのはどうかと思う。
少なくとも、リアル幼女になってしまった私に見せていい光景ではない。
不覚にもちょっと引いてしまった……前のシルヴィアは冷静沈着な完璧超人だったのに。
いやまぁ、稀にちょっと本性が見え隠れしてたけども!
それでも! シルヴィアはこんな18禁丸出しの、変態では断じてなかったた!!
『それは彼女がキミと同じ、悪魔になったからだろうね』
そう言われても意味不明なんだけど。
邪神も仮にも神なんだったら、もう少しわかるように説明して欲しい。
『えぇ、どうしようかな?』
この邪神に期待した私がバカだった。
しかし、現状把握が大事なのもまた事実。
何せ昨日の半ば詰んでいた状況から、色々と変わり過ぎてるし。
もはや洞窟ではなく、立派な部屋と表現すべき程に豹変した洞窟。
私の専属メイドだったシルヴィアが眷属として、悪魔となって召喚された事。
部屋の隅の方で、瀕死の状態で簀巻きにされてるエルダーリッチ……とか。
それに、今後どう動くべきかの方針も立てないと。
急ぎはしないけど、復讐自体は絶対に果たす。
だからこその『一に平穏、ニに堕落! ついでに復讐を果たしたい!!』だし。
思い付きで決めたスローガンだけど、誰にも文句は言わせない!
だって事実、的を射てるし。
これは断じて私がだらけたい訳ではないのだ! 断じてっ!!
「シルヴィア」
「かしこまりました。
では、私が現在知り得ている、悪魔についての情報をお話しいたします」
流石はシルヴィア。
鬱陶しいだけが取り柄の邪神と違って、マジで頼りになるわ。
「まず悪魔とは、人間などとは異なり精神生命体です。
本来、精神生命体は物質界……つまり、この現世にて活動する事は困難なのですが。
私やお嬢様は自らの魔力で肉体を構成する事で受肉し、こうして物質界に顕現しているのです」
へ〜なるほど、なるほど。
「また、身体自体が魔力体であるため、人間や獣人、エルフといった他の種族よりも遥かに魔法の扱いに長けた種族でもあります」
「エルフよりも?」
「はい、エルフも竜人も天使や
マジですか。
人間よりも遥かに魔法の扱いに長けるエルフや竜人。
そして、そのエルフ達でさえ軽くあしらう程の叡智を持つといわれる古竜や、天使よりも上って……想像以上に悪魔ヤバくないですか?
「それに加えて精神生命体であるため、たとえ肉体を破壊されようとも消滅する事はありません。
さらには魂の扱いにも長けており、相手の力量によりますが敵の魂に干渉したりする事も可能です。
そして、ただ敵を倒すだけではなく、倒した敵の魂を食する事で、その魂を吸収し飛躍的に成長する事ができるのです!」
つまりは、死なない上に天使や古竜よりも魔法の扱いに超絶長けていて、尚且つ魂にまで干渉できると……
ヤバイどころじゃないわ。
そんなのただのチートじゃんっ!?
『まぁ、私なら今の悪魔ちゃん程度、簡単に消滅させられるけどね』
まぁ仮にも神だし、邪神だし? そのくらいできて当然じゃない?
それにしても精神生命体ね……つまりは精神の核である、
『ご名答。
よく分かったね』
はっ! この私を誰だと心得る!?
私は察しの悪いラノベ主人公達とは違うのだよ。
入院生活があまりにも暇すぎて、数々のラノベを読破した〝俺〟の知識を持つ私に死角はない!!
『まぁそれ以外では、たとえ肉体を消し飛ばされようとも、復活まで時間は掛かっても消滅する事はないからね。
十分に反則なんじゃないかな?』
「ふふふ、そんな悪魔の始まりにして、始祖になってしまわれるなんて!
流石はお嬢様です!!」
またシルヴィアがクネクネしてるけど……うん、見なかった事にしよう。
なんか
まぁ何はともあれ、そういう事ね。
なんで未だに部屋の隅で、エルダーリッチさんが簀巻きにされてるのか謎だったけど……
「私の、ご飯かぁ」
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