第7話 やっぱり、罠だった!

 抜き足、差し足、忍び足。

 はい、という事で無事に戻って来ました! 混沌の洞窟!!

 多少名称がイタいけど、細かい事は気にするべからず! 人間、生まれ育った場所が一番落ち着くのだ!!


 まぁ、人間じゃなくて悪魔だけど。

 もっといえば、別にこの洞窟で育った記憶も覚えもないけど。

 それに加えて、怪しさ満点な謎の台座と球体があるけど……あぁ、安全! 素晴らしきかな!!


「さてと」


 無事に安全地帯まで避難できた事ですし。

 そろそろ、さっき思いついてしまった妙案! 解析スキルの解析を行うとしますか!!


「はい! 解析っ!!」




 名称 : 解析

 様々な対象を解析できるスキル。

 熟練値の上昇によって、より詳細な解析が可能となる。

 より多くのモノ、より強大なモノを解析する事で熟練値が上昇する。




 ほほう。

 なるほど、なるほど。

 殆ど解析を使ってないのに、いきなりスキルの性能が上がったって事は、それだけあのクソ骸骨が強大だったと……


「ふむふむ……」


 うん、だから? って感想しか出てこない。

 いやだって、エルダーリッチって私の中ではそもそもが神話生物だし。

 あんな見た目も中身も、リアルな化け物が弱いハズないじゃん。

 そんな事はとうの昔にわかり切ってるわ!!


 しかし、困った。

 結局わかったのは、エルダーリッチが強大だって周知の事実のみ。

 う〜む、これからどうするべきか……


 ぶっちゃけ、今のままで洞窟の外をほっつき歩いて、エルダーリッチに遭遇すれば普通に死ぬ。

 かと言って、この何もない洞窟に引き篭もっていたら、待っているのは餓死一択……


 生後僅かに数時間で、既に半分以上詰んでるこの状況。

 おのれ神ぃ! 何で転生特典で転生したってのに、こんなヤバ過ぎるハードモード!?


「はぁ……」


 さっき挙げた2つの選択肢のうち、選択肢その1である洞窟近辺の探索は見事に失敗。

 となると、残るは……


「選択肢その2かぁ……」


 う〜ん、他に選択肢がないとはいえ、あんな見るからに怪しい台座と球体を触れるのはちょっとなぁ……

 ん? いや、調べるだけなら、わざわざ触れる必要はないのでは??


 こういう時の為の解析スキルじゃん!

 天の声によると性能も上がったし、名称だけしかわからないって事は流石にない!! 多分……まぁ、何はともあれ、早速行ってみましょうか!


「ほい、解析!!」




 名称 : ダンジョンコア(登録者ナシ)

 ダンジョンの核であるコア。

 貴方も今日からダンジョンマスター! さぁ世界一のダンジョンを目指しましょう!!




 ダンジョンコア、だと……!

 ダンジョンっていうとアレですか? ファンタジーでお馴染みの?



『対象を確認。

 特別チュートリアルが開始可能です、開始しますか?』



 な、なんだと……そんなんがあるんだったら、もっと早くしろやっ!!

 こちとら既にエルダーリッチに追いかけられて、死にかけたんですけど!?


 てか、さっき転生ボーナスは終了っていってたよね?

 いやまぁ、当然開始するけどさ……終わる終わる詐欺とか、銀髪天パ主人公の某少年漫画か!


「神様か天の声か知らんけど、ふざけやがって……」



『追伸・この天の声誘導システムは、現在神の手によって特別に運用されています。

 神様でも泣いちゃうからね? そうすれば、このシステムも途絶える事になるかも……』



「神様ありがとう! 大好きだよ!」


 反射的に心にもない事を言っちゃったけど……これって脅迫じゃんっ!

 仮にも神の地位にいる者が、私みたいなか弱い乙女相手に脅迫って……



『対象の同意を確認……これより特別チュートリアルを開始します。

 宝玉に触れて下さい』



 宝玉って……アレだよね?

 洞窟の中央で台座に乗せられてる、ダンジョンコアさんの事だよね……

 こんなあからさまに、罠感満載なこれに直接触れと?


 まぁ、他に選択肢がないから触るけど。

 どうせ神様は今も、おっかなびっくり宝玉に近づく私を見て笑い転げているんだろうね。


 うわ、想像したらイラついてきた。

 あぁ、やってやりますよ! そんでもって絶対に泣かせてやりますとも!

 神の敵対者ナメんなっ!!



『対象の接触を確認……』



 私が触れると同時に、突然光だす宝玉ことダンジョンコアさん。

 これが意味する事はつまり……


「やっぱり、罠だった!」

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