第6話 跳んで、走って、転がってっ!

「不可侵領域である混沌の洞窟から、感じた事がない気配を感知してわざわざ見に来たというのに……」


 はぁ、って溜息つかれたんですけど。

 しかも、心底ガッカリしたご様子で……溜息つきたいのはコッチじゃ!


 けどまぁ、この骸骨のおかげで、あの洞窟が混沌の洞窟とかいう、厨二全開な場所って事はわかった。

 言葉は通じそうだし、ここはファーストコンタクトを図ってみよ……


「見たところ、大した力も持たぬ下等生物。

 期待外れもいいところよ、面白味も何もない。

 ふむ、完全なる無駄足だったわけか……まぁいい、取り敢えず殺すとするか」


 ホワッツ?

 え? 何、今なんて言った?

 私の耳がおかしくなかったら……今この謎生物、殺すって言ったよね!?


 誰を?

 私を?

 いやいやいや、ないないない。

 それは流石にないわー。



 ゴォウ!!



 うわー、何か骸骨の手の上に、真っ黒い炎みたいなのが出てきたー。

 そんでもって音の発生場所である、私の足元の抉れた地面。


 こってあれだよね?

 ゲームとかでもテンプレな、チュートリアルにある初めての戦闘ってヤツじゃ……


 いやー、初っ端からこれは荷が重すぎるわっ!?

 運営しっかりしろよ! チィっ、こうなったら仕方ない……とりあえず、先手必勝っ!!



「解析!!」



 エルダーリッチ

 名前 : ???



「……」


 嘘でしょ?

 エルダーリッチっていうと、殺される以前の記憶では神話とかで語られる存在だった気が……

 最初の戦闘っていったら、スライムかゴブリンでしょ普通!?

 それが何? 何でこんな神話生物なわけっ!?


「さぁ死ね、下等生物」


 くっ、こうなれば覚悟を決めるしかなさそうだ……















 もちろん全力で逃げましたけど何か?

 いやー、あんなのとまともに戦えるはずないじゃん。

 アレと戦うとか、クリ◯ンが宇宙の帝王と一騎打ちするみたいなものだよ!?


 そんなの、自殺行為でしかないから。

 まぁ何にせよ、あの骸骨がバカで助かったわ。

 あのヤロウ、ドンパチ魔法撃ってきやがって……危うく死にかけたよこっちは!


 まぁ、そのおかげで爆炎に紛れてクレーターに飛び込み、土に埋もれて九死に一生を得たわけだけどさ。

 私のこの逃走劇を言葉にしてみると……跳んで、走って、転がってっ!

 とまぁ、こんな感じかな?


 いや〜我ながら良くあれだけ動けたな。

 人間、死ぬ気になれば何とかなるもんだなぁ……まぁ私、もう人間じゃなくて悪魔なんだけど。



『ぴろん!

 スキル・解析の性能が上昇しました!』



 ……え? 確かにさっきは文句言ったけど……

 というか性能の上昇? いやまぁ、私的には非常にありがたいけど……ちょっと訳がわかりません。


 前世でもファンタジー世界よろしく、当然のようにスキルは存在した。

 でもスキルの熟練度って、こんなに簡単に上昇したりはしないハズなんだけど……


「あっ」


 これは、閃いてしまった!

 スキルの事がわからんのなら、解析スキルを解析すればいいじゃん!!


 となれば、早速……と言いたいところだけど。

 あの骸骨こと、エルダーリッチも不可侵領域とか言ってたし。

 うん、今はとりあえず、あの洞窟に避難しよう。

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