第4話 悪質な詐欺だよね?

 とは言ったものの、流石にこんな場所で寝れるわけがない。

 だってここ野外だし、どこなのかすらわかんないんし。

 か弱い乙女が、こんな場所でそう易々と寝れるかっての。


 そもそも、快適な睡眠の為には必須といえる、ベッドが無いんじゃ話にならない。

 せめて布団があれば考えないでもないけど、それすら無いとなると最早考える価値すらない。


「それにしても、これは……アレだな」


 転生した特典でまた転生。

 つまり現在、絶賛2度目の転生を果たした直後!

 確かにライトノベルじゃそういうの多いけどさぁ、悪役令嬢がループするやつとか。

 でも……流石にこれは、どうよって思うわけよ。


 気が付いたらいきなり、何処ぞの洞窟の中ってどんな状況?

 転生の説明は? 白い空間の女神様は、どこに行ってしまったのでしょう!?

 1回目の時に地球の担当だって言ってた、泣き虫な女神様に会ってるし、神様が存在する事は間違いないのに!!


 まぁ、無いなら無いで別に良いけどさ……

 けどまぁ、転生したっていうのなら! せっかく前世の……いや、前前世の記憶が戻ったのなら!!

 これだけは言っておかなければならないっ!!


「ステータスオープンっ!!」



 …


 ……


 ………



 わ、わかってはいたさ。

 あぁ〜! ダメだ恥ずかしい……もうヤダ死にたい!

 いや死にたくはないけど、穴があったら入りたい!!



『願いの全プロセス終了を確認。

 これより、確認作業に移行します……』



 えっ? これって、もしかして脳内に直接響いてる?

 って事はアレですか、数々の某ライトノベルに登場する世界の声ってヤツですか?


 そんなのがあるのに、ステータスプレートはないの?

 ファンタジー界では割と王道な、ステータスの存在を誰も知らないだけのパターンとかならまだわかる。

 現に公爵令嬢にして、第一王子の婚約者だった私も知らなかったし。


 でもさぁ、現代知識の記憶を思い出した、今となっては思うわけよ……

 普通、異世界っていったらステータスプレートなり何なり、出てくるもんじゃないんですか!?


「これだからテンプレがなってない世界は嫌なんだよ、まったく……

 はぁ、せめて定番の解析ツールとかあればなぁ」



『対象の希望意思を確認しました。

 対象がスキル・解析の獲得を申請……成功しました。

 これにて転生ボーナスを終了します』


『ぴろん!

 スキル・解析を獲得しました!』



「……は?」


 いやいやいやいや、ちょっと待って欲しいんだけど。

 今なんて? 転生ボーナスとか言ってた気がするんだけど……えっと、転生ボーナスってあれですか?

 無敵の魔力とか、最強の聖剣とか、特別なスキルなんかを貰ったりできるアレの事!?


 えっ、嘘でしょ。

 そんなボーナスを解析スキルに使っちゃったわけ? いや、まぁ確かに〝俺〟の時はいらないって断ったけどさぁ。

 私として生きて、殺されて、色々と思う所があるわけよ……


「ないわ〜」


 まぁ、終わった事は仕方ないとはいえ。

 やり用によっては、ずっとゴロゴロしていられるユートピアを成立させる事すら可能だったかもしれないのに。


「ホント、ないわ……」


 てか、何なんだよ、転生ボーナスって。

 事前に本人が知らなきゃ、それ意味あんの?

 今のって最早詐欺だよね? 私、訴えてもいいよね?


 何処に訴えを申し出るのかも、誰を訴えるかもわからんけどさ……

 いや、地球にも神様が居たんだから、この世界の神様に直接訴えたらいいのか。


 まぁ、その神様が何処にいて、どうやったら会えるのか知らんけど。

 そして、その神様はきっと今、何処かから間抜けな私を見て笑い転げていると……


「いつか絶対泣かせてやる」


 とは言えだ。

 ラノベとかでは解析スキルとか、鑑定スキルは追い追い重要になってくる。

 そのことを考えれば、目先の武器やスキルよりも需要の高い解析でよかったのかもしれない。



『ぴろん!

 称号・神の敵対者を獲得しました!』



「やかましいわっ!!」

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