六課六格
春嵐
第1話
「さて、一発豪快に、行くか」
「やめてください。予算が飛びます」
「ええ。せっかくお気に入りの映画見てテンション上げてきたのに」
「また、なんかよく分かんないけど色々燃える映画見てきたんですか。そろそろ映画館行かずに配信のやつとか買ったらどうなんですか」
「映画館で見るのがなあ、良いんだよ。上映してるうちは映画館行くね俺は」
「1年前の映画のくせにロングランしてるなあ」
「大人気なんだよ」
「そんなことはおいといて。いいですか。最近弾丸足りてないんで。なるべく省エネでおねがいしますよ」
「はい。省エネね」
「今回の目標は、このダムです」
「はい。ダム」
「治水条件としては最高ですし、かなりの大雨にも耐えられるぐらいの容量になってます」
「いいじゃん。ダム」
「水底に高レベルのラジオアイソトープ埋まってます」
「は?」
「水は全てやばいことになってます」
「え、うそ。これ、全部?」
「なので、中和させます」
「できんの?」
「よく分かんないですけど、なんかアイソトープ同士をぶつけて半減期を早めるとかなんとか。詳しくは私も知りません」
「で、それまでの時間を稼げと」
「その通りです」
「どれぐらい?」
「三日間。不眠不休で」
「省エネとかいう問題じゃないじゃん。徹夜じゃん」
「私もやるので、寝る時間ぐらいはあると思いますけど」
「いやうん、助かるけど。省エネは無理だよね、これ」
「そこをなんとか。予算が」
「だってさ、あの水全部だめってことは、あれでしょ。一滴レベルまで管理して予想流入地点出さないといけないんでしょ?」
「はい。やっぱり、だめですか?」
「だめですね。じゃんじゃん使います」
「うええ」
銃に弾を、込める。まずは3発。
「はじめるぞ」
撃った。ダムの壁に刺さる。
「ダート起動」
ラップトップが起動する。同時に、回り一面に画面。
「水流の情報に接続」
全ての水流をせき止め、同時に新たな放流を停止。
「あ、そだ。明日と明後日の天気」
音声認証で、ラップトップが天気を表示する。
「曇りときどき雨か」
微妙。大雨でないことをよろこぶべきか、降雨をかなしむべきか。
「え、三発でいいなら省エネじゃないですか。さすが六課の六格さん」
「ばかいえ。なんで三発残したと思ってんだ」
「え?」
「これ全部、毒であり同時に爆発物なんだぜ。わるいやつが襲ってくるに決まってんじゃん」
「あ」
「寝る時間あるかも実際わかんねえよ」
「うええ」
「まあ、派手になるなら、それはそれでいいけど」
六課六格 春嵐 @aiot3110
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