1章番外編 旅立ちの準備
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リュカの厳しい指導を1ヶ月間受けた。
その訓練は骨の折れるもので、リュカの教え方は容赦がなかった。しかし、今のこの世界で生き残るためには必要不可欠なものだと自分に言い聞かせ、全力で取り組んだ。
訓練の成果は確かだった。剣や銃の基本的な使い方を習得し、実践で役立つ戦闘技術も身につけることができた。そして1ヶ月が過ぎたころ、自分の「レベル」はⅢにまで上がっていた。このレベルなら、外で生活する際の安全がある程度保証される、とリュカが太鼓判を押してくれた。成長した自分に、少しだけ誇らしい気持ちが湧いた。
戦い方だけでなく、この1ヶ月でこの新しい世界についても多くを学んだ。まず、日々の生活が少しずつ形を整えつつあるのを感じるようになった。異なる文化や価値観を持つ人々が混じり合っているため、衝突やトラブルが頻発しているが、それを支えているのがギルドの存在だ。
ギルドは各異界に存在する組織で、トラブル解決や依頼の斡旋を行う機関のようなものだという。そして、この世界ではギルドの活動が人々の生活を支えている。驚いたことに、異界同士の交流がある世界は意外と多く、自分が元いた世界のように異界間の接触がない方がむしろ珍しいらしい。なぜ自分の世界では異界の存在が知られていなかったのか。それが少し気になるところだ。
さらに、この世界が「いくつもの異界が融合した世界」である以上、そもそもどうしてこうなったのか、その理由がわからないのが不気味でもある。この世界が形成された背景や、目的とされるものは依然として謎のままだ。
加えて厄介なのは、他の異界への移動ができないという現状だ。本来、異界同士の行き来は特殊な「ゲート」を通じて行われるらしい。異界にはそれぞれ座標のようなものがあり、ゲートを使えば異界間を行き来することができる。しかし、この世界にはその座標が存在しないため、外の異界からアクセスすることも、こちらから他の異界に出ることもできないという。
この事態は、他の異界と交流して生活していた人々にとっては深刻な問題のようだ。それに、そもそもこの世界にはゲートが存在しない以上、異界間の移動手段が完全に断たれている状態だ。
異界から切り離されたこの世界。住む人々は懸命に新たな日常を築こうとしているが、その裏には大きな不安と謎が横たわっている。この世界がこれからどうなっていくのか、それはまだ誰にもわからない。
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