探検隊ルイーザと不思議な物語

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「リズ、君はどうしてそこまで冒険にこだわるんだ？」

リズは、首にかけている笛を手に取り、こちらに見せた。

「この笛、異界の笛っていうんだ。始まりの異界へ導いてくれるお宝の一つだよ。」

「始まりの異界？」

リズが語るところによると、始まりの異界は数ある異界の中でも最初に生まれたとされる特別な場所だという。

全ての異界の原点とされ、そこには様々な噂があるらしい。

新しい異界が誕生する光景が見られる場所、全ての異界の秘密を知ることができる場所――ただ、誰も実際に行ったことはない。

「私の夢はその始まりの異界に行くことなんだ。どんな場所なのか、自分の目で確かめてみたい！」

リズの目が輝いている。純粋で、真っ直ぐなその姿に思わず感心してしまった。

羨ましい。彼女には自分にない熱意と行動力がある。

「ねえ、ジュン。君も一緒に冒険の旅に出てみない？」

突然の誘いに戸惑う。

「いやいや……いきなり言われても……」

「旅ってそういうものだよ！突然始まるのが冒険なんだ。」

リズは笑顔でそう言うけれど、自分には無理だ。

いくら夢を抱いたとしても、大学入学を目前に控えているのに全てを投げ出して旅立つなんて現実的ではない。

滑り止めの大学とはいえ、受けた以上は通わないと親にも申し訳が立たない。

レールを外れて生きていく勇気も、現実を捨てる度胸も自分にはない。

「……うーん。」

悩み続けていると、突然、機械音が鳴り響いた。

ビビビビビ！

リズがカバンから取り出したのは、スマートフォンのような装置だ。

「あれ、この反応は……」

「どうした？」

「発信機が反応してるみたい！」

「発信機？」

リズが説明するには、追っていた組織に関係ありそうな人物に発信機を仕掛けていたらしい。

ただし、その発信機を落としてしまった可能性が高いとのことだ。

「それにしても、何で反応してるんだろう？」

考えられる理由は一つだけ。

「……まさか、リズが追っていた組織がこの世界にいるってこと？」

「えっ！？追ってきたってこと？」

「いや、追ってきたなら今頃お前を追い詰めてるはずだろ。違う理由があるんじゃないか？」

「そうね……ここで何かをしようとしている可能性が高いわ。」

「何かって？」

「……それは分からないけど、組織がわざわざこの世界に来た理由があるはずよ。」

リズはベッドから勢いよく立ち上がった。

「まさか、行くつもり？」

「ギルドに連絡しても、この世界に来るまで時間がかかる。だったら、せめて時間稼ぎくらいはしないと！」

「いやいや、そんな簡単に言うなよ。そもそもこの世界の場所をギルドに教えられるのか？」

「あっ、無理だった……。だったらジュン、協力してくれない？」

「は？」

「お願い、一緒に来てほしい！」

それこそ無茶な話だ。

戦闘なんて経験もないし、冒険家のように動けるわけでもない。

行ったところで足手まといになるだけだ。

「……で、何をどう協力すればいいわけ？」

「要は、君が戦う力を持てばいいのよ！」

リズはポケットからバッジのようなものを取り出した。

「これさえあれば、君の潜在能力を引き出せるわ！」

「えっ？」