独り言

宵闇(ヨイヤミ)

第1話

“私は何故小説を書いているのだろう”


頭の中にふと浮かんだそれについて、私は過去を振り返ってみる。

初めて物語を書いたのは、小学校の頃の国語の授業だった。作品を書くということを授業でやっていたのだ。正直最初は面倒だと思った。

その時の私は読書などに興味はなかった。

ただ幼い頃から読んでいた童話は読みやすかったこともあり、昔から何度も読み返していた。


小説を書くというのは、聞いているだけでは単純な事のように思えるのだが、実際は難しかった。何より書き始めがまず分からない。

内容と終わり方が決まっていても書き始めがさだまらず、結構時間を使ってしまった。

その小説は今では何処にやったのかすら分からないが、それをきに私が読書にハマったこを今でもよく覚えている。

だが色々な小説を読むうちに“面白い”と思える作品が見つからなくなってきてしまった。周りの友人らにお勧めの作品はあるのかと尋ねると、皆口を揃えて“小説を読まない”と答える。よく読書をしている友人に聞くも趣味が合わず面白いと感じることが出来ない。

感動物を読むも涙は流れない。恋愛物を読むも共感する事が難しい。ファンタジー物は手が出しにくくなかなか読めない。

私は自分が“面白い”と思える作品をひたすらに探した。学校の図書室や近所の図書館、本屋に行った時に棚を見ては興味をそそられる作品を探していた。


するとどうだ。どこにもないではないか。

そして中学2年生のある日、私は“興味をそそられる作品が無いのなら自分で書けばいいじゃないか”という結論に至ったのだ。


小学生の頃に書いた時の気持ちとはまた違う。

私自身が読みたいが為に、自分の好きな流れの物語を好きなように書くのだ。誰から評価される訳でもないのでとても書きやすかった。


すらすらと筆が進む。

キャラクター達がその世界で生活している。

私の好きなように動かせる。


最初は自分が読むだけの物だった。


だが何時からだろうか。

小説投稿サイトやアプリに投稿するようになり、周りが求める作品とは何かを考えるようになった。どのような展開がいいのか、どうすれば皆の興味を引けるのかを考え物語を構成していく。すると最初に書いた物語よりも格段に面白くなった。単純な展開はそこにはもうなかったのだ。ただ主人公がハッピーエンドで終わる世界もあれば、バッドエンドで終わる世界もある。それは書き手によって決められる。

だが私はそれに納得がいかない。


終わり方は確かに書き手が決める。

だが、本当にそれでいいんだろうか?

書き手が良いと思う、読み手が面白いと思う。

それでいいのではないかと思える。

しかしキャラクター達はどうなる?

我々の“良い”はキャラクターからしたら“悪い”かもしれない。終わりは違うルートがいいと思われてるかもしれない。


もしキャラクター達の声が聞けるのならば、私は彼らの意見を聞きたい。どういう展開にして欲しいのか、終わり方は何がいいのか、全てをキャラクターに聞きたいと思う。

それで自分が納得し、読み手も面白いと思える作品が完成したならば、それはその書き手の最高傑作と呼べるだろう。



小説を書いている時点で我々はプロ・アマチュア関係なく“小説家”や“作家”と呼ばれる者になる。私は個人的に友人から依頼されて何かを書くことがある。その場合に周りには本名や学校での身分ではなく“作家の○○です”というように名乗る事が極稀にある。正直その名乗り方もどうかと思うが、それ以外に言い方が無いのだ。

私からしてみればその友人にはそう名乗る必要性は全くないのだが、私はその友人からと言うよりも、友人が部長をやっている部からの依頼という風に扱っている。だから他に名乗らなくてはならない場合がそれなりにあるのだ。

私はそれを肩書きだけにはしたくはない。

いくらアマチュアで語彙力も文章力も無かったとしても、それを名乗る以上はそれに恥じぬようにしたいと思っている。



ここまでくると、何が言いたいのかが書いている自分自身ですら分からなくなってくる。


ただ一言、言わせて欲しい。



小説を書くなら楽しんでくれ。


無理に書いたって自分が辛くなってきてしまうだけだ。だから書くのならば楽しく、好きな時に好きなように書いて欲しい。






これは私の長い独り言である。


だから、気にしないでおくれ_____

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