舞花さんのエッチな画像
3人でバンドに使うものを買いに行った翌日。みんなで俺の部屋に集まって練習をしている。8時にはすでに集まっていて、それから3時間ほどはぶっ通しで練習をしていた。
やはり、勉強とは違って雨乃の飲み込みは異様に早く、逆に彩雪はいまだに音を上手に出していない。ベースだから、当たり前だろうと思っていたのだが、雨乃がやってみるとあたかも当然のようにリズムを付けながら引いて見せた。これには彩雪も泣き顔になていた。
しかし、彩雪も初日のようにイヤイヤやっているわけではなく、新しい自分専用のピックに心躍らせながら、という風なので見ていて微笑ましくも思える。それにしても、持ち方やはじき方はあっているのにどうして音が出ないんだろうか……
今は、3時間の間涼しい部屋にいたとはいえ、何も飲まずに居るわけにはいかないので1階のリビングにて休憩をしている最中である。俺はキッチンの冷蔵庫から炭酸飲料を持って来て、コップに注ぐ。
天乃は注ぎ終わると間髪入れずにコップを手に取って飲み干した。
「ぷはぁ! さいこー!」
天乃はコップを持ち上げながらそう言った。妙におじさん臭いな……
「ハルちゃん! もう1杯!」
「残念ながら今のが最後の1杯だ」
「なっ! そんな殺生な! ハルちゃん、GO!」
「どこにだよ」
「コンビニで買ってきて~ 私外に出たくない~」
「はぁ…… 仕方ないわね。私のをあげるからみっともない真似はよしなさい」
彩雪はそういうとコップごと雨乃に渡して、逆に雨乃が飲んでいたコップをキッチンに持って行った。立ち上がりながら「お水もらうわね」とだけ行った。
声優をやっているから、炭酸はまずかったのかもしれない……
彩雪が戻ってきてからは、1学期にあった他愛のないことを話しながら、休憩をとった。
ちなみに、俺には話すことはなかったです。はい……
休憩も程々に練習を再開してしばらくしてからその問題は起こった。
机に置かれているパソコンに通知が来た。俺のパソコンは仕事の依頼が来た時に、すぐに対応できるように作業中以外は通知が表示されるようにしている。
その通知がちょうど今、入ってきたわけなのだが…… 俺の部屋には今、彩雪と雨乃の2人とも居る。雨乃には気が付かれている可能性が高いが、仕事のことについては両親以外の誰にも言っていない。また、2人にはまだ言おうとは思っていない。
ここで2人が通知に気が付いてしまったら、正直に面倒くさいことになるだろう。
2人は演奏に集中しているので、まだ通知に気が付いていない。問題はパソコンを使用していないときは通知が消えないようにしているということ。なんとか通知を消したいのだが…… そもそも、誰からの連絡だ?
目を凝らしてみると、その通知は舞花さんからのものだった。そういえば2人は昨日舞花さんと話していなかったな……
昔から、2人は僕の女性関係を気にすることがある。今回も大げさな反応をすることになるだろうから、あまりこの通知を見られたくない。
2人の横を通れば、2人の視界からパソコンを隠すこともできるだろうし、通知も消せるようになるだろう。彩雪に教えようとするフリをしながら行けば大丈夫だろう。
「彩雪、ちょっといいか? そのコードの弾き方なんだけど……」
彩雪に教えるフリをして(実際教えてはいるのだが)、パソコンの置いてある机に近づく。彩雪にアドバイスをして、その通りに弾いてもらう。それを見ているふりをして、マウスに手を伸ばす。
まだ2人とも気が付いていない。マウスに手が触れたら、それを慎重に動かして、カーソルを通知欄のところに合わせる。あとは『×』のところをクリックするだけだ。
しかし、俺の不審な動きを察知したのか……
「ハルちゃん? どうしたの?」
雨乃が俺の方を向いてながらそう聞いてきた。
「い、いや! 何でもない!」
やばい、雨乃がこっちを振り向いた! とりあえずは早く通知を消そう! 焦った俺はすぐさまマウスをクリックした。
「ハルちゃん? これはどういうことなのかなぁ?」
「私たちに、キチンと説明するまで今日は帰さないわよ」
「いや、ここ俺の家なんですけ……」
「「は?」」
「ヒィッ」
どうして!? 本当のことを言っただけじゃないか!? 怖くて目を合わせられなかった俺は、意を決して2人の顔を見る。
そこには、般若のような顔をした彩雪と雨乃の2人が俺を睨みつけていた。
あ、もうだめだ……
この状況だけを見せても、何があったか分かる人はいないだろう。ということで、あの後に何があったのかを教えることにしようと思う。
俺は慌ててマウスをクリックした。そうすると、通知欄の表示は消えた。そうしたのは束の間。誰かがこのままじゃつまらないとでも思ったのか、通知欄の代わりに連絡用のアプリが開いたのだった。
そのアプリは元々はスマートフォン用に開発されたもので、いまや使っていない人のほうが少ないとも言われる。チャットタイプで会話をする事が出来て、動画や音声ファイル、写真までも送ることができる。また、グループを作って、そのメンバーのスケジュールを合わせたり、投票をしたりすることもできるという優れたものだ。
俺たち3人も連絡を取る時や、暇なときに3人のグループを使って話したり、好きな動画を共有したりと便利に使っている。まぁ、俺が開いてしまったのとは別のアカウントなのだが……
そして、どうしてこのアプリが開いたのかというと…… 単純に焦った俺が『×』の部分を押せずに通知欄の上でクリックしてしまったからだ。
そうすると、パソコンの仕様上、自動的にアプリが開き、舞花さんとのチャットルームが開かれた。
そのチャットルームには舞花さんとの作曲について話したりしたログが残っている。しかし、そこにある文章を読んで2人が怒ったわけではない。そこには目が惹かれるものがあったのだから……
もとから丈の短い服を裾部分を唇でつまみ持ち上げている舞花さん。そこにはピンク色のレースの下着が少しだけ出ている。また、下も下でお揃いのピンク色の下着が見え隠れしている。
そんな舞花さんのお色気写真は消されることなくそこに佇んでいた。
これが今送られてきたのか……
舞花さんは時々このような写真を送ってくることがある。ログをさかのぼれば、ほかの種類の写真も出てくるのだが、2人にはまだバレていない。
どうして消さないのかって? 俺だって健全な男子高校生なんだよ。
とにかく、こんな写真が送り付けられたので、2人が怒り狂っているわけだ。
そして、場面はさっきの所まで戻る。
「ハルちゃん。この人はいったい誰なの? ちゃんと、分かるように、説明して、ね?」
「え、えっと、その人は知り合いで……」
「そりゃぁそうだよね。 私が聞きたいのはそういうのじゃなくてどういう関係なのッて話」
え? ちゃんと『知り合い』って言ったよね? それって十二分に説明なってるよな!?
「はぁ、ハルちゃんに聞いても無駄かな…… この人に直接聞いてみよう」
雨乃はそう言って、アプリ上にて舞花さんとチャットをするべくパソコンに向かった。
「はぁ!? ちょ、ちょっと待て!」
舞花さんと雨乃が話したら、それこそ終わりだ。舞花さんが話しているのが俺じゃないと分かった瞬間、必ず煽ってくるはずだ。
「え? なんで? やましいことがないなら別に問題ないよね? ね?」
「いや、そういうのじゃなくて!」
パソコンに向かおうとする雨乃を後ろから覆いかぶさるようにして、動きを止める。
「雨乃! お願いだから、ちょっと落ち着いて!」
「私は落ち着いているよ? サユちゃん!」
雨乃は彩雪の名前を叫ぶと同時に力技で俺をベッドに押し倒し、動きを封じ込んできた。
雨乃に呼ばれた彩雪はパソコンのほうに向かい、チャットのログを確認する。もちろんその間、俺は雨乃の拘束を振りほどこうとするのだが、肩から手で押し込まれていているうえ、馬乗りするように俺に乗っているので、身動き一つとれない。
こんなことになるなら、普段から運動するんだったな……
俺が抵抗している間、彩雪はログを確認し終えたのか「もういいわよ」とだけ言った。
「サユちゃん、報告」
「怪しいところは何もなかったわ。 音楽で知り合った人らしいわ。写真に関しては完全に悪ふざけだったけど、今回限りのことだったわ」
「ち、違うんだ! ……え? ……彩雪、いまなんて」
「別に怪しいところはないといっただけよ」
「お前、もしかして……」
彩雪が庇ってくれた…… そういえば、彩雪は俺の仕事について知っていたな……
本当は他にも怪しい写真があったり、仕事のことが完全にわかるようなログもあったのだが、彩雪は雨乃を騙してまで隠してくれた。
「うーん。サユちゃんがそう言うなら大丈夫、かな……?」
「じゃ、じゃあその手を放してくれるか?」
俺がそういうと雨乃は素直に肩から手を放してくれた。しかし馬乗りになった体勢は変わらないままだ。
「雨乃さん? どいてくれませんかね……?」
俺がそう言っても、雨乃は俺から視線を放さず右手を振り上げた。そのまま俺の胸を殴るように振り下げて、俺の胸倉を掴んで顔を俺の耳に近づけた。
「次にこんなことがあったら……容赦しないからね?」
「は、はひっ!」
この後、最悪な雰囲気での練習になったことは言うまでもないだろう。
あ、パソコンもシャットダウンしておいたからな?
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