ひとりのぼく

@Lurelucifer

第1話 明日の闇

「健人兄ちゃんが〇〇…」

気が動転していてなんて言っていたかすら覚えていない。

兄が死んだ。僕の入学式の直後に言われた。

兄は優しかった。僕が両親に期待されずっと勉強させられ心が折れそうになっていた時も励ましてくれた。

それなのに死んだことを聞いた時涙ではなく汗が全身から吹き出した。

自分がまだ死を受け入れられていないことからのものか、それとも家族が死んだにも関わらず悲しむことが出来ない焦りからのものなのか。

兄は僕と12個歳が離れており僕が小学生の時にはもう家にいなかった。

たまに来る優しいお兄さんみたいなもので家族という認識も薄かった、だから自分のことを冷たく酷い人間だと思ってしまったのだろう。

次の日のことは何も覚えていない。




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