手紙
郵便受けのダイヤルを回し、中を覗いた。ぽつんと何かがある。取り出すと、それは真っ白な洋封筒だった。宛名はどこにも書かれていない。すなわち、送り主が直接投函したのだ。雨の日の夜という状況も手伝って、ひどく不気味に感じた。
その場で開けた。中には半分に畳まれた手紙が一枚。そのおもて面には、ボールペンで書かれた文章が。
一読するが、理解できない。封筒を再び覗いた。もう何も入っていなかった。
まるで犯行予告のような手紙。あまりに不可解で、恐怖すら覚えない。部屋に持ち帰り、ベッドの横のデスクに置いた。
字は端麗であった。しかし内容は、間違っても美しいとは言えない。これを美しいと呼ぶのであれば、そいつは殺人鬼か何かだ。そう思って、もう一度読み返した。
『愛する彼女の犯す罪
お前は知った 彼女詰み
お前の叱咤 あとの祭り
臍噬む 程なく ほろ苦く
阿鼻叫喚したがその日
他に共感するがごとし
さになき女 みなが殺し 哀』
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