第9話星々と神々
次の二週間は、あっという間に過ぎてしまいました。放課後は駅近辺のお店へ寄り道したり、数駅移動したところで遊んだりしました。休みの日は海へ行ったこともあります。とにかく、いろいろなところへ連れ出されました。
母様のお手伝いが出来ないのは心苦しくはありましたが、とても楽しかったです。それこそ、数日後に迫った流星群のことを忘れてしまうぐらいに。
私がそれを思い出したのは、心君に流星群を見に行こうと誘われた時でした。その日は、流星群の前日でした。
私は一瞬返事に戸惑いました。
「もしかして、星嫌い?」
私は答えに詰まりました。正直、星は好きです。特に、流星群は私たちの星とは勝手が違います。流星群は人と糸で繋がれていません。なので、他の星よりも綺麗に見えます。
でも、それでも今回ばかりは行きたくないです。行けば、役目を果たさなければならないから。
「せっかくだし、俺は星奈と一緒に見たいんだけど……」
心君はズルいです。そんな言い方されて断れるハズがないのですから。
「分かりました。行きます」
「ホント? よかったぁ」
心君は本当に嬉しそうに笑いました。その笑顔に胸が熱くなりました。心なしか頬も熱いです。
家に帰ってすぐ、私は絵巻物を見返しました。相変わらず分からないことばかりの絵巻物です。
「役目が果たされなければ神様は力を失ってしまう……」
そう言えば、何故そうなると分かっているのでしょうか。神様が力を失ってしまうと、どうしてこれに書かれているのでしょう。
「母様、少し良いですか?」
仕事中の母様に声をかけるのは気が進みませんでしたが、いてもたってもいられなくなってしまいました。境内の掃除をしていた母様は手を止めました。
「星神神社はいつからあるのですか?」
「そうですね……かなり前、500年以上は歴史があると聞いていますよ。いきなりどうしたんですか?」
「いえ、少し気になって」
流石に500年以上も前のことを知っているハズも無いですか。推測だけではラチがあきません。
「星奈」
呼ばれて、私は顔を上げました。3週間程前、忠告をした時と同じ表情の母様と目が合いました。
「わたしのようになってはいけませんよ。わたしは、あの時なにも言えませんでしたから。後悔だけはしないようにしなさい」
あの時がどの時を指すのかは、聞かなくても分かりました。母様が自分からその事に触れるのは珍しいです。
後悔の無いように。私は母様の言葉を心のなかで繰り返しました。
「ありがとうございます。母様」
母様はいつも私の背中を押してくれます。だから、私はそれに答えなければいけません。
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