第5話星と友達
翌日も神様、神月心はクラスの人たちの間で引っ張りだこです。人当たりも良いためか、男子にも女子にも人気。この調子ではすぐにクラスの中心になりそうですね。
この際神様と接触をとるのは後回しでも構いません。今はあの巻物の謎を解くのが先なのです。結局のところ、私の役目があまり掴めていないのです。調べたところ、流星群が降る日は1ヶ月後なので事を急ぐ必要はないのでしょうが。
1ヶ月後を逃すと本当に神様はただの人になってしまうのでしょうか。
一体なぜそれが言い切れるのか……。
「星奈」
名前を呼ばれて顔を上げると、神様がすぐ側に立っていました。と言うか、いきなり呼び捨てですか?
「俺、まだこの学校のこと詳しくないから案内してくれると助かるんだけど、いいかな?」
確かに、神様と行動を共にすることが出来るのは良いことです。神様が本当に記憶を無くしているのか。それ以外にも知りたいことは沢山あります。ですが、
「なぜ私なんですか? 案内を買って出てくれる方は沢山いるでしょうに」
「う~ん。キミといると面白そうだから、かな」
人を面白人間扱いするのはやめてほしいものです。かくして私は、私たちは放課後を共にすることになったのです。
そして放課後、私たちは教室から近い順にいろいろな教室を回って行きました。
「ここが視聴覚室です。頻繁に使うので覚えておいた方がいいですよ。何か聞きたいことはありますか?」
ある程度回り終わってから、私は神様に訪ねました。
「星奈は誰に対しても敬語なの?」
そう言う意味の何かでは無かったのですが……。まったく脈絡の無い人ですね。
「そうですね。癖みたいなものです。母が昔から敬語だったので」
「……へぇ。じゃあさ、俺のことは名前で呼んでよ。ホントはタメ口にしてもらうつもりだったけど、そういう理由なら代わりに。なんか仲よさそうな感じになるし」
別に仲が良い訳ではないんですけどね。呼び方なんて、何だって良いような気もします。
「ほらほら。心って呼んでよ。それが無理なら心くんでもいいけどね」
思っていた以上に強引なんですね。神様って。それとも彼が特別なだけなのでしょうか。あまり男子と仲良くした経験が無いので恥ずかしいのですが……。
「し、心……君」
私は顔を逸らして小声で名前を呼びました。あわよくば聞こえなければ良いのにと思いながら。しかし、残念なことに聞こえてしまったのか、クスっと笑い声が聞こえました。
「声ちっさ」
笑いながらも、馬鹿にした様子はなく、神様はどこか嬉しそうでした。でも、なんだか複雑です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます