第2話星と出逢い
それから私は時間を見つけては毎日のように人の多い場所へ行くようにしました。当然、神様を探すためです。しかし考えてみれば、17年間生きてきて一度も見たことが無いのですから、そう簡単に見つかるはずも無いのです。そうは分かっていても、少し残念です。本当は昼間から探しに出たいのですが、私は高校に行かなければならないのでそう言う訳にもかないのです。
なので、私と同じ制服に身を包んだ神様が私の前に現れた時は奇跡とさえ感じました。
色白な肌に真っ白な髪。身長は少し高め。つり目の瞳はとても綺麗で、優しそうな印象を受けます。そして何より、糸がどこからも出ていません。
「神月心です。よろしく」
「神様……」
探し求めていた糸が無い人を見て、私はついそう呟いてしまいました。
「え、なになに? もしかして転校生くんに惚れちゃったの?」
「え、いえ。そうではないです! 断じて」
私の力について言うことは出来ないので、当然彼が神様であると言うことを明かす訳にはいきません。
「えっと、寝ぼけてしまっていて」
私は無難なことを言ってなんとかその場をやり過ごしました
SHRが終わってすぐに、私は神様に声をかけました。しかし、なんと言えばいいのでしょう。あなたは神様ですか? でしょうか? しかし、神様は記憶をなくしている事があると母様が言っていたので、混乱させてしまうかも知れません。
声をかけたは良いが、私は何も言えなくなっていました。
「キミ、名前は?」
「星神星奈です」
「せいな……良い名前だね」
神様はにこりと微笑みました。それはそれは優しい笑みで。
この日は生憎、これ以上神様と話すことが出来ませんでした。みんな転校生の彼に興味津々だからです。
「母様、神様を助けるために私は何をすればよいのですか?」
私は帰ってただいまを言ったすぐ後に、母様に訪ねました。神様の記憶を取り戻せばいいのでしょうか? しかしどうやって?
「神様に会ったのですか? 星奈」
「はい! 本当に糸がありませんでした!」
私は嬉しさのあまり意気揚々と答えました。少なからず、自慢したかったんだと思います。
「そうですか。では、星奈。これから納屋へ行ってこの紙に描かれた物を取ってきなさい。わたしは見たことがないのであまり詳しいことを言えませんが、きっと役に立つはずですよ」
母様はどこからか一枚の紙を取り出しました。少し古そうな紙です。
「母様はなぜ見たことがないのですか?」
「それは神様にお会いできた者だけが見ることを許されたものですから」
神様にお会いできた者だけが見ることを許されたもの……。何かは分かりませんが、それだからこそ今から期待が膨らみます。
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