13
そういえば。この学校って生徒会とか無いのかな?昔…昔か?ここ通ってた時は、学校生活のことなんて最低限しか気にしてなかったわ。
気になったので、寮の談話室に集まったメンバーに聞いてみた。ディードとデメトリアスとティモは不在だ。
「生徒会?学校の運営や改善は先生方の仕事よ。」
ですよね。
「風紀、委員会?学校のそういうのは先生と警備の仕事だよ。」
ですよね!
という訳で、この寄宿学校でそういう展開は期待出来ないようだ。がっくし。
「あ。説明忘れてたけど、この学校は鳳凰会っていう集まりがあるよ。」
「詳しく。」
何それ超面白そう。それがあれ?学園を支配する集団的なアレ?わくわく。
「鳳凰会っつーのは、この学園の…社交の場?専用のサロンで…まあお茶したり…。
そこに入る資格は公爵家以上だから、オレとアルも入ってる。あとは成績優秀者とか、メンバーの紹介で入れる。リリーも入ってるぞ。
アシュリィとディーデリックとデメトリアス殿下も参加資格あるな。」
……それだけ…か…。つまんね。
でもアル達とのんびりお茶できるのはいいかも。
「他のメンバーは?」
そう聞いたら…何故か全員黙ってしまった。何かあんの…?
「僕と…ジェイドでしょ。公爵家は現在レイと2年のアギラール公爵家の双子。
それと各学年成績最優秀者。これは成績によっては毎年入れ替わるね。
それで僕の紹介でリリー。ここにアシュリィとディーデリックとデメトリアスも参加。残念ながら従者は入れないから、三人衆とティモは駄目。
で…少し問題があって…。」
ほうほうほう???ずずいと身を乗り出してアルの話を聞く。
「今年の5年の成績優秀者がスプリングフィールド侯爵家の令嬢なんだが…鳳凰会は、その…彼女に乗っ取られた…。」
「……なんで?」
私と三人衆は頭にハテナを浮かべるばかり。なんだかやつれてるアルとリリーとアシュレイの代わりに、ジェイドが説明してくれた。
「えーと…問題のパメラ・スプリングフィールド嬢。
彼女は去年から鳳凰会に入ったんだけど…美しさ至上主義で、入った途端に自分の取り…友人達も大量に入会させたんだ。
それだけでも…「鳳凰会の気品と威厳が損なわれる」って言ってアギラールの双子は一切サロンに来ない。
更にその取り巻…友人ってのが皆似たような容姿の令嬢ばっかりで。「それなりに美しい方のみ、この鳳凰会への参加を許可致しますわ」と言ってリリーナラリス嬢も追い出そうとして…。」
おおう…なんでリリー駄目なの?と言ったらララが「多分自分より美しい方は駄目なのでは?」と言った。納得。
「もちろんそんな権限彼女には無いけど…彼女を窘める者がいなくて。」
「アルは?ジェイドは??」
何しとんねんお前ら。王子だろコラ。
「いやー、僕はそんなに鳳凰会に参加したい訳じゃないし、面倒だし。こっちから近付かなければ、サロンで威張ってるだけだし。」
「僕も、正直言って彼女は違反をしている訳じゃ無いから…真正面からぶつかるのは得策じゃない。
リリーナラリス嬢を追い出そうとしてるのだって言葉だけだし。」
なるほど。面倒くさがってるアルと慎重に行動するジェイド。で、アシュレイは?
「オレは…関わりたくないから逃げた。取り巻きも値踏みする目でこっち見てくるし。」
ついに取り巻きっつっちゃったよ。しかしそんな令嬢、興味湧くわ!
リリーに危害を加えないなら放っておいてもいいんだけど。
「で、スプリガン嬢ってどんな人?縦ロール??」
「スプリングフィールドよ。
どんなって…性格は高飛車?外見は…メイクが濃すぎて、元のお顔が分からないのよね…。でも扇で顔を隠すのが好きみたい。」
「へー。そのスプリンクラー嬢って、「オホホホホ!!」とか言っちゃう人?」
「スプリングフィールドね。
よく分かったねー、その通り。「オホホホ」「オッホホホ!」「オーホッホッホッホ!!」の三段活用を使い分けてるよ!」
「スピリッツ嬢ってリリー以外にはどうなの?」
「スプリングフィールドだよ。
アシュレイはさっき自分で言っていたようにさっさと逃げた。僕は…流石に王子だし、出て行けとは言われてないよ。まあ彼女が追い出したいのは女性だけみたいだけど…。
問題は兄上だね…。」
「え。もしかしてスプラッシュ嬢ってアル狙い?」
「スプリングフィールドって言ってんだろ!
まあそうだな。リリーのこと蹴落として、アルの婚約者の座を狙ってるみたいなんだよな…。」
へー!!やっぱ潰しとこう。
「何か今物騒なこと考えましたね?」
チ。バレたか。
しかし鳳凰会ねえ。確かに参加する必要ないよね。こうやって別の場所で集まればいいんだしい。残念ながらこの場に「学園の伝統がうんたら」言う奴はいないようだ。
……ん?んん?
「ねえ、春場所令嬢も…同じアスル寮だよね?私、見かけたこと無いと思うんだけど。」
「ついにかすりもしなくなったな。向こうがお前を避けてるだけだ。」
「なんで?」
「うーん…それは本人に聞いてみないとね。」
なんでなんで??
しかし誰も明確な答えはくれなかった。まあ顔合わせしたらそん時また考えよっと。
その後もいつも通りのんびり過ごしていたら、ディードが戻ってきた。デメトリアスは?
「ああ、途中から不機嫌になってな…一応最後までやったが、もう部屋に戻った。」
「不機嫌…?」
「あ、オレの時もだ。やっぱり邪魔されたくないのかな…?」
へー…。最初はともかく最近は打ち解けてきたと思ったんだけどな…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます