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 そういえば。この学校って生徒会とか無いのかな?昔…昔か?ここ通ってた時は、学校生活のことなんて最低限しか気にしてなかったわ。

 気になったので、寮の談話室に集まったメンバーに聞いてみた。ディードとデメトリアスとティモは不在だ。



「生徒会?学校の運営や改善は先生方の仕事よ。」


 ですよね。


「風紀、委員会?学校のそういうのは先生と警備の仕事だよ。」


 ですよね!


 という訳で、この寄宿学校でそういう展開は期待出来ないようだ。がっくし。





「あ。説明忘れてたけど、この学校は鳳凰会っていう集まりがあるよ。」


「詳しく。」


 何それ超面白そう。それがあれ?学園を支配する集団的なアレ?わくわく。



「鳳凰会っつーのは、この学園の…社交の場?専用のサロンで…まあお茶したり…。

 そこに入る資格は公爵家以上だから、オレとアルも入ってる。あとは成績優秀者とか、メンバーの紹介で入れる。リリーも入ってるぞ。

 アシュリィとディーデリックとデメトリアス殿下も参加資格あるな。」


 ……それだけ…か…。つまんね。

 でもアル達とのんびりお茶できるのはいいかも。


「他のメンバーは?」


 そう聞いたら…何故か全員黙ってしまった。何かあんの…?



「僕と…ジェイドでしょ。公爵家は現在レイと2年のアギラール公爵家の双子。

 それと各学年成績最優秀者。これは成績によっては毎年入れ替わるね。

 それで僕の紹介でリリー。ここにアシュリィとディーデリックとデメトリアスも参加。残念ながら従者は入れないから、三人衆とティモは駄目。


 で…少し問題があって…。」


 ほうほうほう???ずずいと身を乗り出してアルの話を聞く。



「今年の5年の成績優秀者がスプリングフィールド侯爵家の令嬢なんだが…鳳凰会は、その…彼女に乗っ取られた…。」


「……なんで?」


 私と三人衆は頭にハテナを浮かべるばかり。なんだかやつれてるアルとリリーとアシュレイの代わりに、ジェイドが説明してくれた。



「えーと…問題のパメラ・スプリングフィールド嬢。

 彼女は去年から鳳凰会に入ったんだけど…美しさ至上主義で、入った途端に自分の取り…友人達も大量に入会させたんだ。

 それだけでも…「鳳凰会の気品と威厳が損なわれる」って言ってアギラールの双子は一切サロンに来ない。

 更にその取り巻…友人ってのが皆似たような容姿の令嬢ばっかりで。「それなりに美しい方のみ、この鳳凰会への参加を許可致しますわ」と言ってリリーナラリス嬢も追い出そうとして…。」


 おおう…なんでリリー駄目なの?と言ったらララが「多分自分より美しい方は駄目なのでは?」と言った。納得。



「もちろんそんな権限彼女には無いけど…彼女を窘める者がいなくて。」


「アルは?ジェイドは??」


 何しとんねんお前ら。王子だろコラ。



「いやー、僕はそんなに鳳凰会に参加したい訳じゃないし、面倒だし。こっちから近付かなければ、サロンで威張ってるだけだし。」


「僕も、正直言って彼女は違反をしている訳じゃ無いから…真正面からぶつかるのは得策じゃない。

 リリーナラリス嬢を追い出そうとしてるのだって言葉だけだし。」



 なるほど。面倒くさがってるアルと慎重に行動するジェイド。で、アシュレイは?


「オレは…関わりたくないから逃げた。取り巻きも値踏みする目でこっち見てくるし。」


 ついに取り巻きっつっちゃったよ。しかしそんな令嬢、興味湧くわ!

 リリーに危害を加えないなら放っておいてもいいんだけど。




「で、スプリガン嬢ってどんな人?縦ロール??」


「スプリングフィールドよ。

 どんなって…性格は高飛車?外見は…メイクが濃すぎて、元のお顔が分からないのよね…。でも扇で顔を隠すのが好きみたい。」


「へー。そのスプリンクラー嬢って、「オホホホホ!!」とか言っちゃう人?」


「スプリングフィールドね。

 よく分かったねー、その通り。「オホホホ」「オッホホホ!」「オーホッホッホッホ!!」の三段活用を使い分けてるよ!」


「スピリッツ嬢ってリリー以外にはどうなの?」


「スプリングフィールドだよ。

 アシュレイはさっき自分で言っていたようにさっさと逃げた。僕は…流石に王子だし、出て行けとは言われてないよ。まあ彼女が追い出したいのは女性だけみたいだけど…。

 問題は兄上だね…。」


「え。もしかしてスプラッシュ嬢ってアル狙い?」


「スプリングフィールドって言ってんだろ!

 まあそうだな。リリーのこと蹴落として、アルの婚約者の座を狙ってるみたいなんだよな…。」


 

 へー!!やっぱ潰しとこう。



「何か今物騒なこと考えましたね?」


 チ。バレたか。

 しかし鳳凰会ねえ。確かに参加する必要ないよね。こうやって別の場所で集まればいいんだしい。残念ながらこの場に「学園の伝統がうんたら」言う奴はいないようだ。

 

 ……ん?んん?



「ねえ、春場所令嬢も…同じアスル寮だよね?私、見かけたこと無いと思うんだけど。」


「ついにかすりもしなくなったな。向こうがお前を避けてるだけだ。」


「なんで?」


「うーん…それは本人に聞いてみないとね。」


 なんでなんで??

 しかし誰も明確な答えはくれなかった。まあ顔合わせしたらそん時また考えよっと。

 



 その後もいつも通りのんびり過ごしていたら、ディードが戻ってきた。デメトリアスは?



「ああ、途中から不機嫌になってな…一応最後までやったが、もう部屋に戻った。」

 

「不機嫌…?」



「あ、オレの時もだ。やっぱり邪魔されたくないのかな…?」


 へー…。最初はともかく最近は打ち解けてきたと思ったんだけどな…?


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